ニセガマグチフクロホコリ
この種は一見ガマグチフクロホコリのように見えるが、少し雰囲気が異なる。なんとなく上品な感じがする。
類似種の見分け方、検索の仕方はいろいろとあるのだが、ガマグチフクロホコリは子嚢上面に白色石灰の縁取りがあるがニセガマグチフクロホコリにはない、また、ガマグチフクロホコリの石灰節は丸みを帯びているが、ニセガマグチフクロホコリの石灰節は角張っている、という点が分かりやすいのではないかと思う。
そして、これは数少ない標本だけからの印象なので全く当てにならないことではあるが、ニセガマグチフクロホコリの方が上品である。
今回報告したニセガマグチフクロホコリは、日本変形菌研究会会員で但馬在住の西垣由佳子氏が、令和4年8月4日にクリのイガが投入されていた自宅のコンポスト容器で発見したものである。
そして、「ガマグチフクロホコリにしてはどうも様子が違うので、つらつらと「日本変形菌誌 山本幸憲 日本変形菌誌製作委員会2021年」を眺めてみたのであるが、ニセガマグチフクロホコリのような気がする、、、。」と、標本を持ってきてくれたのである。
「日本変形菌誌 山本幸憲 日本変形菌誌製作委員会2021年」によると、ニセガマグチフクロホコリは夏に針葉樹の腐木樹皮や落葉などのリター上に発生。普通種とも稀であるとも書かれていない。
子嚢壁は2層、石灰節は大きく白色で不規則で分岐するか角張る。
胞子の直径は10.4~11.7μmと記載されている。
この標本では胞子の直径が8~10μm程度でガマグチフクロホコリとの差がみられなかったが、私の計測精度に信頼がないことや、他の特徴については問題がなく、他に該当する種がないのでニセガマグチフクロホコリと同定した。
前回報告したガマグチフクロホコリと比べてみてほしい。