ドンコと聞くと、人によっては東北地方の「どんこ料理」に使う深海魚が思い浮かぶかもしれません。また、特定の種類ではなくハゼ類やカジカ類など、ずんぐり体型の底生魚をまとめてドンコと呼ぶ方もあるようです。しかし、ドンコという種類の魚もいます。
ドンコはハゼの仲間の淡水魚です。河川中流域に多く、小川や田んぼ横の農業用水路にも棲んでいます。砂や石が多い所を好みます。水生昆虫やエビ、小魚などを食べます。非常に貪欲で、自分と同じくらいの大きさの獲物にも食いつきます。
ハゼ科ではなくハゼ亜目ドンコ科という独立した科に分類されます。ハゼ科魚類の多くは左右の腹びれがつながって1枚の吸盤状になっているのに対し、ドンコは吸盤状にならず、左右に分離しています。ハゼ亜目の中では大きく、20センチを超えるものもいます。背びれは二つあり、胴体には3本の黒い縞模様があります。純淡水魚でして、海へ下ることなく一生を川で過ごします。
同じような場所には、姿がそっくりなカジカとアユカケが棲んでいることがあります。この2種はスズキ目カジカ科に分類される魚です。
見分けるポイントは、ドンコにはウロコがありますが、カジカ、アユカケにはウロコがありません。またドンコは下顎が前に出る受け口ですが、カジカ、アユカケは上顎が前に出ます。
但馬では円山川や矢田川、岸田川水系などに分布しています。円山川水系では時々見つかる程度ですが、それに比べ西但馬の川では見かける機会が多いです。この画像も西但馬の川で撮影しました。2匹写っています。
私が小学生の頃、豊岡市内を流れる蓼川水路で何度か捕まえました。20センチを超える大きくて武骨な外観の魚は迫力があり、捕まえるたびに興奮したことを覚えています。
写真・文 コウノトリ市民研究所 北垣和也