キノコショウジョウバエ属の仲間
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
キノコには、よく虫が入っている。しかも幼虫である場合が多い。ショウジョウバエが卵を産み付け、孵化して幼虫となり、内部から食い荒らす。無数の幼虫、いわゆる蛆虫になって、キノコはバグサレ状態となってしまう。特に夏のキノコは足が速くて、外見はきれいでも、割いてみるとうじゃうじゃと這い出してきたり、家へ持って帰るうちに成長していたり、少しの間テーブルにおいていたりするとキノコが乾燥して居心地が悪くなって、たくさんの幼虫が這い出して、なぜか体をよじらせて数センチ飛び跳ねていたりする。だからキノコを料理する前に塩水につけて虫出しをすることは、わりと一般化されているのだ。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
ショウジョウバエなど幼虫類はキノコの内側から食害をするが、一方で、外側からキノコを食害する生き物もおり、ナメクジ以外は羽のある鞘翅目に属する昆虫(甲虫)が主体のようである。ハネカクシ科、デオキノコムシ科、ゴミムシダマシ科、ケシキスイ科、オオキノコムシ科、ヒラタムシ科、エンマムシ科、ムクゲキノコムシ科、タマキノコムシ科など多様で、逃げ足が速いものが多いが、キノコムシやハネカクシの仲間などはキノコの中に潜り込んでいるものをよく見かける(写真はおそらくキノコハネカクシ属の一種)。イグチ類の管孔部に穴が開いており、そこから食いかすのようなものがぼろぼろとこぼれ出ていたりしていて、その穴から大急ぎでこれらの甲虫類が逃げ出していくのをよく見かける。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
さて、今回は、おそらくキノコショウジョウバエ属の仲間であろうものを紹介したい。さすがに幼虫を掲載するのははばかられるので、成虫を紹介したい。成虫は幼虫とは違って、比較的美しいと思ったのである。
もう夏も終わり9月11日の豊岡市目坂森林公園で、ウスヒラタケを見つけた。遠目には状態は良さそうに見え、採りごろに見えた。しかし近づいてみると、ショウジョウバエが無数に群がっている。もう夏も終わりである。夏のキノコなら、もっと幼菌の間にしっかりと卵を産み付けられ、このくらいの成菌になることにはすでに幼虫は大きく育っていてもおかしくないのだが、季節的な問題なのだろうか、ここぞとばかりに群がっているという感じであり、菌体自体はまだしっかりしている感じである。ショウジョウバエの撮影を試みたがなかなかうまく行かない。あまり良い写真ではなくて申し訳ない。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
少し調べてみると、ショウジョウバエは非常に種類が多く、ショウジョウバエ科の昆虫は世界でおよそ60属3000種が知られており、日本では21属257種(岡田, 1988)が報告され固有種は100近くに上る。キノコ依存の種類も多数いるようで、キノコショウジョウバエ属は17種が知られている。ネットで見る限りではクロキノコショウジョウバエというのが良く見つかる。写真のものは、ネットでは種名はわからなかったが、もしかしたら名前もついていないものかもしれない。また、必ずしもキノコショウジョウバエ属であるとも限らないかもしれない。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
腹がやけにパンパンに見える。卵をぎっしり抱えているのかもしれない。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
写真ではわかりにくいが、キノコに停まっているもの以外にも回りを多数飛びかっている。今回発生しているウスヒラタケだけでは、とてもこれだけのショウジョウバエたちの子供たちを養うだけの量ではないだろう。キノコ依存のショウジョウバエたちの生態、どんな生活をしているのでしょうかね、、、キノコ栽培の世界では、ショウジョウバエ対策がかなり研究されているようですが、こういったショウジョウバエ本来の生態や分類なんてほとんど研究されていないのではないでしょうか。