珍しいサギが豊岡盆地内で観察されました。コウノトリ人工巣塔の営巣状況を継続観察しているコウノトリ文化館職員が、「汚いアオサギがいる」と撮影した写真を見せてくれて判明しました。
たしかにパッと見ではアオサギに見えますが、翼上面の色が濃い紫色なのと、首の側面に明らかなラインが入ります。
警戒心が強く、一定の距離以内への接近を試みると、すぐに飛んでしまいました。飛翔時の色も、アオサギより黒っぽいです。
豊岡に飛んできた証拠に、コウノトリとの2ショット。
アオサギと一緒に飛んだところ。これを見るとアオサギとの違いがよく分かります。
名前のとおりアオサギは青っぽく、ムラサキサギは紫っぽいです。
「但馬野鳥の会」によれば、当地への飛来は過去2回しか記録されておらず、今回が3回目とのこと。日本では沖縄地方で留鳥として観察されますが、このあたりへの迷行飛来は珍しいです。今回飛来したのは若鳥。成鳥になるとさらにコントラストが強くなります。
近年、おなじく沖縄地方で留鳥のシロハラクイナが豊岡に飛来したり、南方系の留鳥の北への進出が目立つようになっています。これもやはり、地球温暖化の影響と考えてよいのでしょうか。
今回飛来したムラサキサギは、一週間ほど同じエリアに滞在したのち、どこかに飛んで行ってしまいました。本種の今後の動向に注目したいと思います。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信