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但馬のシカを考える

3月8日に「氷ノ山周辺の自然を考える報告会」がありました。私も発表したので、ここでも簡単に報告をしておきます。

国定公園の特別保護地区に相当するので、本来、植物の採取等、落葉落枝の採取も出来ない場所だが、シカには意味がない。
 以下は、とっても暗い話です。そんな話の嫌いな方はパスして下さい。
 但馬のシカ害は、南から北へ向かって現在進行中です。
 被害には濃淡がありますが、一言で言うと、人のいないところは、どこもシカ害が深刻です。
 奥山ではこんなことが起きています。
 奥山には、人が入れない秘境があります。特別な技術を持った人が、万全の装備をして入らないと命を落とします。そこから兵庫県新産種ですとか、すでに兵庫県からは姿を消したと疑われていた植物たちが続々と出てきました。植物たちの最後の避難場所、聖域と呼べる場所です。人が入らない場所なので、これからも大丈夫だろうと考えていた場所です。

モミジカラマツ (近畿では、京都府、滋賀県、奈良県(絶滅?))。兵庫新産。

ザリコミ(近畿では、滋賀県、奈良県、三重県)。木だが2m位にしかならない。兵庫新産。
 人には命がけの場所ですが、シカにはそうではありません。私が訪れたのは、2010年です。案内していただいた方によるとこのときにすでに、かつての姿はないと言うことでしたが、まだ緑は残り、痛めつけられてはいてもほとんどの種は残っていました。

薄くなっているが、緑は残っていた。翌年もこんな状況だった。

メタカラコウ。かろうじて開花には至っていた。しかし、種子を散布することは難しいと思われる。翌年も残っていて、開花していたが、個体は小さくなっていた。
 分布の限界にいる植物たちなので、まさにシカによって絶滅に瀕していることになります。
 川については先月書きましたが、人の影響で生育域を狭められている植物たちが、シカにとどめを刺されそうになっています。
 次は、海です。
すでに海岸をシカが走るというようなことが起きています。
 写真の場所は面積の広い特異な岩場でした。すでに砂浜から追われて姿を消していた植物が生き残っている場所でもありました。それがこの惨状です。海岸固有の植物は、帯状に実に狭い範囲にしか生育できません。ここの植物たちも絶滅の危機にあります。

2009年。京都府との境に近い。

2013年。上田尚志氏撮影。

カセンソウ。豊岡市の砂浜からは姿を消した。ここには群落があった。
 神鍋の山々です。
最近、夜に飛んでくる蛾が激減したと聞きます。山には下草も低木もないのです。それを食べる昆虫が生きていけるはずがありません。その昆虫を食べる鳥が生きていけるはずがありません。下草も低木もないので藪を利用する鳥が巣を作ることも出来ません。豊岡市でこの辺りにしかないという植物がいくつもありました。地域の個体群が絶滅しようとしています。

2009年。トチノキ巨木林。兵庫県で最も状態のよいトチノキ林だった。
 神鍋は、スキー場とスキー場の間に状態のよい山が残っていました。それは人が昔から上手に山を利用してきたおかげです。

同じ場所の2013年の姿。
 その代表にトチノキがあります。栃の実は縄文時代から綿々と利用されてきています。その栃の実をシカが食べるようになりました。栃の実は、アクが強くて野生動物は利用しないと思っていましたが、最近のシカは食べるようになっています。その他、ゼンマイもコゴミもイタドリも無くなりました。山の幸が失われているのです。

2013年。こんなに落ちていたのは、私が山に入って下りてくる間に落下したのだろう。採取は禁止されているが、果たして人の手に入ったのだろうか?

サンカヨウ。シカの好物のようで真っ先に食べられた。姿を見かけることは稀で、まず開花には至らない。
 山登りをしても面白くありません。変化のない地面むき出しの山を歩くのです。かつては、四季折々いろいろな花が咲いていて、目を楽しませてくれました。鳥のさえずりを聞き、チョウに出会うこともありました。こんな全てが失われようとしています。これでは山に入る気になりません。早晩、山と親しみ賢く利用するという文化が消失します。生物多様性と共に文化も危機に瀕しています。実は、賢い利用があって、この地域の生物多様性は守られてきたのです

オオキヌタソウ。数年前から姿を見ない。豊岡市にはあと一カ所知っているが、確認に行くのが怖い。

2013年春。緑に見えるのは、コゴミ。この写真の少し前に行った時は、おいしそうなコゴミが一面にあった。この時点では、上部はシカに食べられて無くなっている。秋には、裸地になっていた。 
 
 ここでは、災害面は触れていませんが、下草のない山からは大量の土砂が流れ出ます。
そのことも心配される昨今です。

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