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ヨシススキ 早めに手を打ちましょう

ヨシススキ イネ科

ヨシススキは、巨大で特徴的なイネ科植物です。少し慣れると車中からでも一目で見分けることができます。

ヨシススキ

ススキ

ヨシススキはインド~東南アジア原産の植物で、茎は太く、株立ちします。茎の高さは3mほどになり中には6mに達するものもあるようです。葉も長く90~150㎝あります。円すい花序はススキほどには広がらず50~100㎝あります。内穎(ないえい)には短い芒(のぎ)をつけますが、芒が長いススキと異なり目立ちません。

ヨシススキは1935年以前には渡来し、沖縄で逸出、野生化していましたが、「兵庫県産維管束植物10」(2008)に記載がありませんので、兵庫県では最近まで気づかれていなかったようです。

2021年 豊岡市日高町

2022年 豊岡市日高町 左:オギ 右:ヨシススキ 

私がヨシススキに最初に出会ったのは、2022年、カワラハハコの調査で円山川の丸石河原に出かけたときです。(探してみると前年に撮った写真に小さい株が写っていたので、2020年くらいにはすでに芽生えていたと思われる。)

丸石河原に見たことのない巨大なイネ科の植物が1株あり、持ち帰った穂を調べるとヨシススキに思われました。

2024年 豊岡市竹野町

2023年、2024年と株は年々大きくなりますが、個体数は1のままです。他の場所では見ていないので珍しいのかなと思っていると不思議なもので、この11月になって、一気に目に入りだしました。

まずは円山川河口に川嵐を見に行った時です。海岸道路の上の斜面に大きな群落ができていました。何度も何度も来ている場所です。目には入っていたのに気づかなかったのですね。

豊岡市のコウノトリ共生課から電話がかかってきました。「ビオトープに巨大なイネ科の植物が入って来てて困っています。」という相談でした。「たぶんヨシススキだと思う。」と回答しました。

2024年 朝来市 上:ヨシススキ 下:ススキ

12月になって結構な山奥に調査の下見に行きました。目的地近くの道の上にヨシススキがありました。

2024年 朝来市 和田山IC

数日後、本調査に行きました。北近畿豊岡自動車道を使って向かいます。すると驚いたことにヨシススキが目に入るではありませんか。1ヶ所ではありません。点々と日高から和田山まで続きました。最も密度が濃いのは、和田山ICの出口へ向かう道沿いでした。ところが出口を抜けて目的の山までは、まったく出てきません。出てきたのは数日前に見た場所だけでした。

2024年 北近畿豊岡道 養父市

2024年 北近畿豊岡道

果たして、ヨシススキは増えているのか? 増えているとしたらいつからどんな場所に増えているのか?

 

どうやら法面緑化で増えているようには思えます。

調べてみると法面緑化には「郷土種」を播くことが薦められています。「郷土種」というのは「施工対象地周辺地域やその地方に自生分布している植物」です。ところが、そんな但し書きなしに植物の種名のみが工事業者に指定されるために安価で入手しやすい「外国産の在来緑化植物」が使用される事例が多く、中国産のススキの種子の中にヨシススキが混じっていることがあるということが分かりました。様々な失敗事例が報告され、それではまずいと業界自粛として2016年7月からススキ種子の輸入が停止されました。

 

ヨシススキの現状を北近畿豊岡道だけでも調べてみようと思いました。開通日は以下の通りです。

春日和田山道路 開通日 : 2006年7月22日
和田山八鹿道路 開通日 : 2012年11月24日
八鹿日高道路  開通日 : 2017年3月25日
日高豊岡南道路    開通日 : 2020年11月1日
豊岡道路    開通日 : 2024年9月23日

ススキ種子の自粛が2016年ですから八鹿日高道路以前(以南)は、ヨシススキが生えているに違いないと思ったものの、ついでだからと開通したばかりの豊岡から春日まで調べることにしました。

走り始めてすぐに予想は裏切られました。2020年開通の日高豊岡南道路日高北ICに大量に生えています。一方で、最初期の春日和田山道路は和田山ICを越えると全くありません。あれれ? です。

2024年 豊岡市日高町 北近畿豊岡道直下

ということでここまでの結論です。

ヨシススキは増えているのか?
減っているとは思えません。法面緑化された場所以外では特に増えているようには見えませんが、北近畿豊岡道に隣接する水田ビオトープで見ました。円山川でも見ました。稔性の低い種のようですが、一度入ると非常に強いという点から緩やかに増えていくように思えます。ヨシススキは「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト (生態系被害防止外来種リスト)」No.99に載っています。

円山川の生育地は、水際です。周りのツルヨシやオギなどの植物は大きな増水があると根こそぎ流されます。周りの石も総入れ替えになります。2024年の増水はそれなりの大きさだったようで、ヨシススキ直下のツルヨシは群落ごと流されました。にもかかわらずこの個体は、数年間の増水に耐えています。非常にしっかりとした根張りを持っているのだと思います。

ヨシススキが一度入ると姿を消すことはなさそうです。種子を大量に散布します。少しずつかもしれませんが着実に増えていきそうです。見つけ次第、抜き取るのがよさそうです。

 

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