キツネアザミ
アザミという名前ですが、アザミの仲間ではありません。その証拠に、アザミにつきものの鋭いトゲがありません。春に花が咲くアザミはノアザミしかありません。こちらは鋭いトゲがあります。近づいて触ってみて痛かったらノアザミ、痛くなかったらキツネアザミです。
葉の写真を見てください。ノアザミはトゲが鋭いですね。不用意に触るととても痛いですが、若い時はお浸しにすると気になりません。キツネアザミにはトゲがありません。柔らかくてお浸しにするとノアザミよりもおいしそうです。でもノアザミより葉が小さいので集めるのは大変かもしれません。
キツネアザミの葉の裏には白い毛がたくさん生えています。ヨモギみたいですね。ヨモギと同じように草餅に使えるそうです。試してみたいですが、結構な量がいるので手間がかかりそうですね。
キツネアザミは、越年草です。秋に芽生えて、ロゼットで冬を越します。4月の終わりくらいから咲き始め、夏頃には枯れてしまします。キツネアザミは本州以南の各地に普通に生育します。数十年前には道ばたや空き地などで見ましたが、最近は、急増した休耕田の中でよく見ます。
写真のものは、加陽湿地で見たものです。
自然再生のために湿地造成の工事中は、表土を集めて残しておいて、工事後に撒き戻しました。残念ながらその際の指示が徹底しておらず、表土をもともとあった場所に戻すことができませんでした。そのために水辺に乾燥した場所に生える植物が出たり、その反対だったりとちぐはぐな再生をしていましたが、年数が経って本来の自然に近づいてきたように思います。キツネアザミは、ここ数年で多く見られるようになりました。ただ、草地管理のための種子が完熟する前に刈られてしまうので爆発的に増えていると言うほどではありません。
キツネアザミのキツネは、キツネに似ているとかではなく「化かす」という意味です。「アザミと思ったら違うじゃないか。だましたな。化かされたなあ。」という理由からの命名です。しかしタヌキでなくキツネなのはなぜなのでしょうね。