ビロードモウズイカ ゴマノハグサ科
シュッと伸びた背の高い姿、もこもこの黄色い花、毛まみれで手触りの良さそうな葉、とっても特徴満載の植物です。庭に一株あってもいいなと思う植物です。観賞用として日本に入ってきたというのもうなずけます。いろいろと薬用にもなるといわれています。
ビロードモウズイカは、ヨーロッパ原産の植物です。1870年頃に入ってきたのだそうです。
大きなものは高さが2m以上にもなるといいます。二年草ですから春先からあっという間に大きく伸びるのでしょう。地面近くには30cmにもなる大きな葉がついています。ビロードモウズイカは全体に灰白色の毛を密生していますが、特に大きな葉は布のように広くてビロードという名にふさわしい感じがします。
葉の形はタバコの葉に似ているのでニワタバコという名前もあります。私が子どもの頃は豊岡市日高町の国府地区にはタバコ畑が広がっていました。そんな私にはニワタバコは納得の名前ですが、時代は移り変わります。植物の別名が伝わらなっていくのもやむを得ないのかなと思います。
花は総状花序につき、大きな花序は長さ50cmにもなります。花柄は短いので花は花序にくっついているように見えます。花は黄色で,直径2~2.5cmです。
果実は球形で、種子は長さ0.7mm、重さ0.1mg、横しわ状のくぼみが並びます。個体あたりの種子数は最大で27万個ほどあったそうです。
ビロードモウズイカは、河原や荒れ地などに生えます。線路わきに多いとも書かれています。全国に生育しますが、温度選好性が寒帯~温帯であり、東北、北海道に多いといわれています。但馬では、多くはないが珍しくもないという感じです。私が今回見たのも川の近く、空き地、JRの線路わきでした。
谷口寿仁・高橋耕一「河川敷における外来植物ビロードモウズイカの微地形の嗜好性と種子生産」には、「土地の微地形を堤防上のブロック,芝生,ヨシ群落,そして道路際の4タイプに区分した。ブロックの相対的な面積比は19%しかなかったが,ビロードモウズイカの約90%の個体はブロックとブロックの隙間に分布していた。」と書かれています。私が写真を撮った場所はまさにそんな場所でした。
昆虫たちの餌になるようで、フタモンアシナガバチとブチヒゲカメムシがやって来ていました。
おまけ
ビロードモウズイカはゴマノハグサ科です。ゴマノハグサ科というのは昔から植物に親しんでいる人間にとっては感慨深い科です。というのも私は、ものすごく乱暴にいうと花が左右対称で茎が四角ならシソ科、それ以外はゴマノハグサ科と判断していました。それが学問の進歩でゴマノハグサ科がいくつもの科に分かれてしまいました。多くはオオバコ科に移って行きました。「え~!」と思いました。すでに私の頭の中では旧ゴマノハグサ科→オオバコ科と自動変換されるようになっています。もちろん例外もあるので、この植物を調べてみるとゴマノハグサ科のままでした。そうか、君はゴマノハグサ科なんだなとちょっとうれしくなりました。