ユクノキ・フジキ マメ科
いつものように絶滅危惧種の巡視をしていました。運転していると谷筋に白い花が目立ちました。おそらくはユクノキかフジキです。どちらも稀な木なので、花は滅多に見ることができません。時間があったら帰りに寄ろうと思いました。
1カ所目が終わって次の絶滅危惧植物の自生地に行きました。目的地の数十m手前に大きな木がありますが、この木の高いところに先ほど見た白い花がついています。この木、もう長年見てきています。でも、全く無視していました。花を見たのが初めてのことなのでこれまで目に入らなかったのでしょう。
私はこれまで何度かユクノキやフジキを見ていますが、ゆっくりと見たことはほとんどありません。もともと珍しい木な上に、花がないと見つけられないの仕方がありません。
今回、この開花をFacebookで紹介すると知人から4年ぶりの開花だとコメントがつきました。4年に1回なら私が偶然任せで開花に出会うのが稀なのは当然ですね。
知人の観察では2012年、2016年、2018年、2022年開花です。ネットを眺めてみると3年周期で開花する木もありました。どうやら2~4年くらいの周期で咲く木のようです。
昔、写真を撮った覚えがあるなとハードディスクの中を探しました。2012年と2018年のものが出てきました。花期の短さから考えると意外と運良く出会えているのかもしれません。それとも予想以上にたくさん生えているのかもしれません。
ユクノキにはフジキというよく似た木があります。遠目で見るとそっくりです。いいえ、近くで見てもよく分かりません。2カ所目で目的の植物の無事を確認して、大きな木を見ました。葉の形、側脈の数、小葉の小托葉、葉の基部の毛の様子、・・・。ユクノキでした。高さが20mもありそうな大きな木です。花は上の方に咲いています。花の観察はできませんでした。
最初の発見地に行きました。
ユクノキと思って写真を撮りました。結構近くに花が咲いていますが、手は届きません。望遠レンズの出番です。この記事を書くために細部を詳しく見てみました。葉の形、側脈の数、葉の基部の毛の様子、どうもフジキの方が近そうです。
困りました。
そういえば、昔からフジキといわれている巨木が生えている神社があります。見に行くことにしました。写真の小葉はフジキっぽいですが多くの小葉の形はユクノキです。小葉の小托葉がないのもユクノキです。でもまあこれは落ちてしまうこともよくありますが。一方で側脈の数はフジキです。葉の基部に赤褐色の縮れ毛がないのもフジキです。若い枝の線状の白い皮目もフジキです。
あれあれ、解決しませんね。幸い、葉は手の届くところにあります。最後の切り札である冬芽の観察ができます。秋には解決するはずです。それにしても私の近くのユクノキ、フジキは図鑑通りではありません。フジキ、ユクノキ、どっち? 花期も同期するの? すっきりしません。しっかり観察しなさいということのようです。
ユクノキというのは雪の木が転じたものだという説があります。ミヤマフジキという別名もあります。フジキは、フジに似た葉をつけることからの名前でしょう。ヤマエンジュという別名もあります。