ヤマフジ マメ科
ヤマフジ 大杉峠
山にあるからヤマフジ、藤棚にあるからフジというわけではありません。山にあっても多くはフジです。藤棚のフジも台木はヤマフジです。
ヤマフジ 花穂は短くて10~15cm。花は同時に咲く。花は横を向いて咲く。
フジ 花穂は長くて20~50cm。花は基部から順に咲く。花は正面を向いて咲く。
但馬のヤマフジはなかなか興味深い生え方をしています。例えば、豊岡市日高町と香美町村岡区の間には蘇武トンネルという長いトンネルがあります。このトンネルの日高側にはフジが、村岡区側にはヤマフジが見事にすみ分けています。養父市関宮町の鉢伏高原ではフジですが、隣の村岡区のハチ北高原に行くとヤマフジが見られます。養父市大屋町では、大杉峠はヤマフジですが、峠を下るとフジが圧倒的です。詳しく調べるときっちりと線が引けそうです。
ヤマフジ 花の房が短いので運転しながらでもヤマフジと分かる。
フジ
ヤマフジの分布は昔から調べられていて、兵庫県では、「兵庫県では円山川と市川が分布の東限で、これらを結ぶ地域から東側では、自生は知られていない。」兵庫県大百科事典1983、「加古川が分布の境界と思われる」『兵庫県の植物誌』1995、「市川・朝来川流域以西にしか分布しない」『人と自然』「兵庫県産維管束植物」1999、などと言われています。これはよほどお気に入りの内容なようで兵庫県の環境白書には毎年「ヤマフジは九州、四国と中国地方にあり、姫路市の市川より東の地域にはありません。」2016 と書かれています。分布の東限なのですから特記したくなる気持ちはよく分かります。
赤○;市川の源流と河口 紫○;加古川の源流と河口 オレンジ○;円山川の源流と河口
緑○;ヤマフジが普通にたくさんあるところ。
ところで、京都府レッドデータブック2002 には、「兵庫県以西の西日本に分布域をもつとされ、京都府では1996年になって北部地域で記録された(村田・津軽, 1998b)。」とあります。京都府レッドデータブック2015では、「府内の分布記録区域 丹後地域、中丹地域。とくに減少しているわけではないが、学術的価値の高さを重視してランクを上げた。中丹は白花、丹後は薄紫の花。」とあります。
ヤマフジ 小葉は4~6対。
フジ 小葉は5~9対。
『樹に咲く花』2000、には、「本州(近畿地方以西、中部地方にまれにある)、四国、九州」とあります。
ヤマフジ 葉の表裏に毛がある。特に裏面には絨毛が密生する。
フジ ほとんど無毛。この写真は春先なので毛が残っている。やがて脱落する。
少し慣れれば花の時期は、一目でヤマフジと分かります。花がなくても葉を見れば間違えません。探してみて下さい。