カタクリの保護に向けて
2003年 香美町
カタクリは、中部地方以北に多く、兵庫県では但馬に多いと思われがちですが、近年まで香美町の1カ所でしか知られていませんでした。
2016年 豊岡市
昔に見たことがあるという情報を得て、何カ所か調べに行きましたが、見つけることができませんでした。そんな中で朝来市の1カ所で確認され、そこは植生保護柵で保護されています。そして、今年、豊岡市の1カ所で確認されました。こんなところに残っていたのかと思うような人家近くの裏山でした。そこに残っているのなら各地に残っている可能性は高いです。
2009年 香美町 この年はなかなか見事に咲きそろった。
香美町の自生地は、山全体に何カ所も自生があり非常に規模の大きなところもあります。最大の群生地で2002年に大規模な盗掘が起きて、将来が心配されましたが、その後個体数が増えて我々を安心させてくれました。
それが、2013年くらいからニホンジカによる自然植生への食害が顕著になり、カタクリへも悪影響が見られるようになりました。
2012年 香美町 植生被害前年。
2016年 香美町 上の写真と全く同じ場所 兵庫県で3カ所しか知られていないヒメバライチゴ。
2015年には、林床の草本がほぼ失われましたが、その中でカタクリは比較的よく残っていました。いろいろな方々のご協力のおかげでここで植生保護柵が設置され始めました。まずは生育地の入り口付近に2カ所です。
2016年 香美町 今年は4株開花した。
2016年 香美町 今年は2株開花した。
2016年 香美町 心配なのは、網にシカが絡まること。巡回してメンテナンスする必要がある。
カタクリの生育地は、他の植物がほとんど生えません。ここは自然の力で裸地が維持されています。急傾斜にたくさんの雪が流れることで地表を削られて自然と裸地ができるのです。こんなところに植生保護柵を作るのですから大変です。雪が降ると柵が壊れてしまいます。なので雪の降る前に柵の網を降ろし、反対に雪が溶けると網を上げないといけません。
2016年 香美町 こんな急傾斜に生育する。
香美町のカタクリは標高の高い中核部分について植生保護柵が設置できないか検討をしています。
2016年 香美町 低木が密生しているところにかろうじて残っている。
2016年 香美町 シカの口が届かないところに残る。
2016年 香美町
2016年 香美町 ニリンソウ、キクザキイチゲ、こちらの方がはるかに少ない。これらも一緒に守れないと意味がない。
豊岡市で新たに発見されたカタクリについても兵庫県但馬県民局環境課に情報提供し、植生保護柵設置に向けて検討をしています。