マダイオウ タデ科
こんな植物。いわゆる「しなと」の仲間。大きなものは1.5mくらいになる。
2012.06.03撮影
2012年は、いろいろあってフィールドにほとんど出ることができない残念な年でした。そんな中で最も足繁く観察に通ったのがこの植物です。
葉はこんな感じ。基部はハート形になっている。2012.06.03撮影
一目見て、これは怪しいと感じました。しかし、名前ははっきりしません。ノダイオウかマダイオウだろうとは思いましたが、特徴がはっきりとは出ていません。
開花直前の花序。2012.06.17撮影
葉しかないときに、マダイオウとノダイオウを区別する特徴は、葉の裏に毛が生えていることです。ある図鑑の図にはびっしりと毛が書かれています。これなら明らかに区別できるはずです。
葉を裏返して見てみると確かに細い脈の上に毛はがえているように思えます。しかし、非常にまばらです。これで毛が生えていると言っていいの? という生え方です。
マダイオウ。2012.06.17撮影
ノダイオウ。2012.06.24撮影
エゾノギシギシ。図鑑の図はこれに近い。2012.07.08撮影
果実の時期に萼片を見ると間違えることはありません。花が咲き、果実できるまで通うことにしました。それがまたなかなか果実にまでならないのです。
ぎざぎざ? ある? 2012.06.17撮影
兵庫県版レッドデータブックによると、ノダイオウは但馬の各地にあります。一方でマダイオウは但馬の一カ所でのみ確認されています。
これまでに果実の時期ではなかったので、確証はないもののどちらかだろうと思っているものに数カ所で出会っています。いい機会だと思って、なんとか時間を作り、それらの場所にも行ってみました。
その時の成果の一部は「エゾノギシギシ増える」と題して2012.7.31に情報特急に書いています。https://www.tajima.or.jp/modules/nature/details.php?bid=433 を見てください。あと数カ所知っているので、それは2013年の宿題です。
花が咲きました。まだよく分かりません。萼片の縁にあるというギザギザが目立ってきません。
ぎざぎざが目立ってきた。2012.06.24撮影
見つけたのは一株だけです。きっともっとあるに違いないと考え、上下流を調べました。川に沿っての上り下りですからなかなか大変です。滝もありますので、調べられなかった区間も結構あります。いずれにしても見つかりませんでした。
果実がつきました。どうやらマダイオウのようです。
でも確信がないので、こんな時にいつもお世話になっている知人に写真をメールしました。写真ではよく分からないということで、標本にして送ることになりました。必要最小限の小さな標本を作りました。
その標本を持って別の方が博物館に行かれました。博物館の標本と比較検討されてマダイオウに間違いなかろうということになりました。
もう間違いない。2012.07.08撮影
尋ねた知人によるとマダイオウは、兵庫県では、十数年前に確認されたのが最後で、以後現状不明になっている植物でした。以前確認されていたのは、私が確認した場所から直線距離で10kmほどの場所です。その場所にも行って周辺を見て歩きましたが、見つかりませんでした。
最終的に2012年に確認できたのは、一株だけです。兵庫県で唯一の株です。2013年には知人が調査に来られます。たくさん見つかることを期待しています。
こんなところに生育する。2012.06.17撮影