ヤマザトタンポポ キク科
このタンポポは但馬を特徴(とくちょう)付ける在来タンポポです。
兵庫県では但馬にしか生育しません。
一番大きいのがヤマザトタンポポ
シロバナタンポポ
セイヨウタンポポ
しばらく前までこのタンポポが但馬にあることは知られていませんでした。長らくカンサイタンポポと誤認(ごにん)されてきましたが、カンサイタンポポよりは明らかに大きく、一度認識(にんしき)すれば決してまちがえません。
じつは、このタンポポが植物学者によって最初に見つけられて名前がつけられたのは、但馬産の標本です。名前をつけた時の証拠(しょうこ)となる標本のことをタイプ標本とよびますが、ヤマザトタンポポのタイプ標本は、高知県にある牧野(まきの)植物園に保管されており、そのラベルには採集地が兵庫県出石郡東床尾(とこのお)山と書かれています。
ヤマザトタンポポは、京都府北部、兵庫県北部、鳥取県、岡山県、広島県と中国山地周辺に分布します。但馬には、広く各地に分布します。産地によっていろいろなタイプがあります。特に総苞外片(そうほうがいへん)に大きな突起(とっき)があるものがあり、これはケンサキタンポポとよばれるものかもしれませんが、タンポポ調査2005では、とりあえずケンサキタンポポをヤマザトタンポポの中にふくめてあつかいました。
ヤマザトタンポポ
ケンサキタンポポ?
ヤマザトタンポポは、兵庫県レッドデータブックでは絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)になっています。そのランクはAで、絶滅にきわめて近いというあつかいです。ところが私たちの調査で、普通(ふつう)とまではいかないものの決して珍(めずら)しい植物ではないことがわかりました。絶滅危惧種であるというのはまちがいです。実際に調べてみることの大切さを教えてくれた植物です。