但馬地域においては、春の雪解けの時期にだけ発生する好雪性変形菌と呼ばれる一群の存在が未確認であったが、その好雪性変形菌の一種であるハイカタホコリが昨年2023年3月28日に養父市のスキー場の駐車場脇の植え込みで確認された。
好雪性変形菌は多種多様であるが、中でもルリホコリ属のものには際立って美しいものがあり、何とか見つけてみたいものであった。
フェイスブックの粘菌グループで「ハイカタホコリがいれば近くにルリホコリがいる可能性が高い。」、
「白は目立つので、これがいると付近を捜索するのだ。」という旨の指導を受けたので、二日後に探しに行ったのである。
その結果、同じ場所で美しいルリホコリ属の一種を確認することができた。
持ち帰って種同定を試みたところ、子実体は有柄、子嚢壁は残存性で細片化しない、細毛体の先端はロウト状ではない、胞子は疣型または刺型、細毛体は褐色~暗褐色で先端部のみ淡色、以上よりヒカリルリホコリと同定した。
ヒカリルリホコリ、子実体は単子嚢体型、群生し短い柄が立って高さ1.4㎜まで。子嚢は長球形~球形~亜球形で、子嚢壁は金・銀・銅・青銅・青・すみれ色の金属光沢を発しとても美しい。
軸柱は子嚢の高さの半ばに達し、細毛体は放射状。好雪性で子嚢壁に斑紋はない。
胞子は細かい疣型で直径9.5~11μm。
「日本変形菌誌 山本幸憲 日本変形菌誌製作委員会2021年」では、雪解け頃にリター・生きた草・低木などにややふつうとのこと。今回は、養父市関宮町のスキー場駐車場わきで確認されたが、鳥取県でも確認されているので、しっかり探せば但馬の他の場所で確認できると思われる。