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ハイカタホコリ

モジホコリ目カタホコリ科 Didymium dubium Rostaf.

変形菌の子実体は種ごとに発生する時期があって、春~秋にかけて幅広く出るものもあるが、梅雨時期に多いものや、秋が好きなもの、晩秋から初冬にだけ発生するものなど時期がほぼ定まっているものも多い。中でも特徴的なのは「好雪性」と呼ばれる一群で、春の雪解けの頃にだけ発生するものたちがいる。

但馬地域の変形菌相は未だよく分かっておらず、「日本変形菌誌 山本幸憲 日本変形菌誌製作委員会2021年」では、変形菌綱及びツノホコリ綱は11目に分類されているが、我々*はそのうちの3目(コホコリ目、ニセハリホコリ目、ハリホコリ目)について未だ1種も確認できてない。一方で発生時期という生態的な面から見ると、この好雪性変形菌の存在を確認することができていなかった。但馬では春の雪解けの時期に現れるスプリングエフェメラル(春のはかない命)的な変形菌の存在が確認できていなかったのである。

2021年、2022年の春に兎和野高原と上山高原を中心に、かなりの調査を行ったが確認することができなかった。好雪性の変形菌は3か月以上の根雪期間が必要と言われており、但馬地域でもスキー場のあるような高原地域など標高の高い地域ではその条件を満たしているはずである。また、中国地方でも高標高地で発生が確認されており、四国でも石鎚山や剣山を擁する愛媛、高知、徳島では確認情報がある。よって、但馬地域でも好雪性の変形菌は生息しており、単に我々が見つけられていないだけと考えられる。もしかしたら但馬地域での好雪性変形菌の存在をすでに確認している人もいるかもしれないが、そのような報告や記録も見たことがないのである。

このように、但馬地域での好雪性変形菌の存在確認は我々にとって大きな課題となっていたが、ようやく2023年3月28日に代表的な好雪性変形菌の一種であるハイカタホコリを見つけることができた。思えば2021年3月より何回も但馬の好雪性変形菌を探しては撃沈し、フェイスブックの粘菌・変形菌グループ**でいろいろ教えてもらいながら、ようやく見つけることができたのである。
見つけた場所はスキー場のトイレの前の駐車場の横のアジサイの植え込みのすぐ横は池という、変形菌の発生場所としては典型的な場所といってよいようなところであった。すなわち人間による攪乱がある程度あるところ、遊歩道の脇や公衆トイレの近くというのは要注意場所の一つなのである。
当初は好雪性変形菌の中でも金属光沢系の構造色が美しいルリホコリ属を期待し探していたのであったが見つからず、今回もダメかとあきらめかけていた。ふと鳥のフンのようなものをみつけて、直前にハイカタホコリのことを粘菌・変形菌グループで教えてもらっていたので、かろうじてカタホコリ属のことに気づき、但馬地域における好雪性変形菌の初見となったのであった。

ハイカタホコリ、子実体は屈曲子嚢体型から単子嚢体型、群生または散生し無柄。扁平または枕型で長さ30㎜、幅10㎜、厚さ0.5㎜程度。細かい白色星形の石灰結晶に覆われる。雪解け頃に草本やリターに発生とのこと。今回はアジサイの茎で確認。

*我々と言っても、但馬地域において真面目に変形菌の調査を行っていると言えるのは、但馬粘菌クラブの会員である3名だけである。
**日本の変形菌に関する情報が最も集まっていると思われる。https://www.facebook.com/groups/250396615090456

 

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