カワヒガイは河川の中流域や小川に棲んでいる魚です。大きさは10~15センチほどです。
亜種ビワヒガイとよく似ていますが、体型の違いや、カワヒガイは大きくならない(ビワヒガイは20センチ)ことなどから識別できます。ビワヒガイは琵琶湖固有種ですが、昭和初期に日本各地へ放流され定着しています。今のところ、但馬においてビワヒガイは確認されていないようです。
ヒガイは漢字で「鰉」と書きます。これには由来があります。明治時代、滋賀県の瀬田で獲れたヒガイが明治天皇に献上された事がありました。そのヒガイがとても美味だったので、明治天皇は大変好まれたそうです。それからこの漢字があてられたといいます。そのときのヒガイはビワヒガイだったようです。
但馬のどの水系でもいるのではなく、棲んでいるのは一部の水系のようです。
この写真のように、石や流木などの陰に潜んでいることが多いです。握りこぶし~漬物石サイズの石が転がっている川でよく姿を見ます。私見ですが、但馬では近年よく姿を見るようになりました。
タナゴの仲間と同じく、イシガイなどの淡水二枚貝に産卵します。そのため、二枚貝が生息していないと、カワヒガイも子孫を残すことができません。
水生昆虫や石に付いた藻類などを食べます。
頭から尾にかけた一本の黒い筋と、黒い斑紋がある黄色い背びれが特徴です。環境省レッドリストでは準絶滅危惧(NT)、兵庫県レッドリストではCランクに指定されています。
この写真を撮影した川では、まとまった姿をみることができました。
こちらは河川調査の時、水槽に入れて撮った写真です。春になるとオスはこの写真のように美しい婚姻色が出ます。春から夏にかけて繁殖期です。ちょうど今、カワヒガイが美しくなる季節です。
写真・文 コウノトリ市民研究所 北垣和也