11月の終わり、豊岡盆地南部の代かき中の田んぼで、見慣れないカモメ1羽を見つけました。ユリカモメです。但馬地方では沿岸部での飛来もほとんどなく、ましてや内陸への飛来はめったにありません。
水が入った田んぼで大慌てしている土中のミミズがお目当てで、コウノトリやサギなども寄ってきていました。
翻(ひるがえ)った場面で、本個体が第1回冬羽の幼鳥であることがわかりました。尾羽先端の黒い帯が幼鳥の特徴です。
春先に夏羽に変わると頭部が黒くなることから、英名をBlack-headed Gullと言います。冬羽の間は頭は白いままです。
ユリカモメは近畿エリアでは京都の鴨川や、大阪の淀川下流域などで群れで観察される、冬の風物詩的な鳥です。東京ベイエリアでは新交通システムの愛称にもなっています。
日本には冬鳥として飛来。ユーラシア大陸のヨーロッパから極東エリアにかけて広く分布する小型カモメで、日本に飛来するユリカモメ越冬群は、カムチャツカ半島で繁殖している個体群であることが専門家の調査で分かっています。
豊岡盆地に迷い込んだ幼鳥、ひと時をここで過ごしたあと、次はどこに飛んで行くのでしょう。