夏鳥の季節を迎えました。南の国で越冬した鳥たちが、繁殖のために但馬に戻ってきます。そんな渡り鳥を「夏鳥」と呼んで、当地に越冬のためにやってくる「冬鳥」と区別しています。
夏鳥のうち一部のチドリなどは水田環境で繁殖しますが、多くの夏鳥の繁殖場所は森林です。今回話題にするツバメは、人の暮らしに最も近い場所で繁殖する身近な夏鳥です。
水田周辺を飛び交うツバメはみな同じものに見えますが、実は3種類のツバメが混じっています。今回はその3種類のツバメを識別するポイントを説明します。チェックポイントは「腰」です。
まず普通のツバメ。燕尾(えんび)と呼ばれる二股に分かれた長い尾羽が特徴ですが、腰にかけて黒一色です。腰が尾羽と同じ黒なのがツバメです。
腰の白いツバメがいます。ツバメに比べずんぐりとした体型で、燕尾も短くあまり目立ちません。イワツバメです。名前のとおり岩場で繁殖をしてきたツバメですが、近年は人工物の隅っこを利用して営巣しています。特に多い営巣場所は、コンクリートの橋の下です。山間部の橋の下などは、イワツバメが多く営巣しています。
これは一目瞭然で赤い腰が目立ちますね。その通りの名前が付けられています。コシアカツバメです。ツバメの仲間の中では、もっとも遅く南から渡ってきます。イワツバメやツバメが3月後半には渡ってくるのに対し、コシアカツバメは5月ごろになって見かけるようになります。
ツバメとコシアカツバメは、人家の軒下で営巣します。ツバメはお椀型の巣を、コシアカツバメは徳利型の巣を泥玉で作り上げます。
3種のツバメの「腰」の色をまとめます。これからは飛んでいるツバメの腰を見て識別してみてください。
ツバメ:黒
イワツバメ:白
コシアカツバメ:赤