10年ほど前の但馬情報特急に、アマサギの記事を書きました。時を経て、このアマサギ、めっきり飛来数が減ってしまいました。どうやら但馬だけの現象ではなく、全国的に数が減ってきているようです。シラサギと呼ばれるグループは大きさの順に、ダイサギ、チュウサギ、コサギの3種類がいます。大中小です。アマサギはこの3種とは属が異なりますが、アマサギもシラサギの仲間に入れて考える方がわかりやすいでしょう。
アマサギの名前の由来は、見てのとおり、亜麻色または飴色で表現される橙色の美しい羽根を持っています。この羽根は繁殖期だけに出るもので、日本に繁殖のために渡って来る今の時期に見られます。秋渡りの頃には、この橙色の羽根は生え変わって、全身真っ白な羽根になり、まさにシラサギになります。大きさがコサギとほぼ同じなので、秋のアマサギとコサギの識別には注意が必要です。コサギの足指は黄色いのが特徴で、そこを識別ポイントにします。
今の時期のアマサギは、羽根の色だけでなく、婚姻色と呼ばれる目先の色が赤紫になります。同じように、ダイサギの婚姻色は緑、チュウサギは黄色、コサギはピンクと、サギの種類で変わります。ですので、繁殖期のシラサギの仲間の識別は容易です。
大中小の3種のシラサギが湿地の水の中の餌を好むのに対し、アマサギは乾いた土で餌採りをするのが特徴です。サバンナなどの広大な草原で、大型ほ乳類の後を付いてまわりながら、飛び出してくる虫を捕まえます。英名のcattle egretは「牛サギ」の意味で、牛の後を付いて回る様子から命名されたのでしょう。
さて、日本では夏鳥のアマサギの飛来数が減ってきている原因は何でしょう? 農業の変化による餌環境が原因でしょうか。それとも、他のシラサギとの競合に負けたのでしょうか。それともここにも、地球温暖化の影響が出ているのでしょうか。そのあたりの探求は研究者に任せるとして、今後とも、但馬におけるアマサギの生息状況をモニターして行きたいと思います。