円山川河川敷のヤナギの枝中に、トラフズクの姿がありました。越冬のために当地に飛来する渡り鳥のフクロウです。ふつうのフクロウは一年中同じ場所に棲んでいますが、フクロウの仲間でもトラフズクとコミミズクの2種は、越冬飛来した個体しか観察することができません。飛来数もごく少数なので、トラフズクやコミミズクを見つけるのは冬の野鳥観察の楽しみのひとつです。
トラフズクはコミミズクより大きく、耳のように見える羽角(うかく)と呼ばれる飾り羽もよく発達しています。ミミズクの名前の由来にもなっています。コミミズクの羽角は短くあまり目立ちません。留鳥のフクロウには羽角がなく、頭巾のような形をしています。
夜行性で、日中はヤナギの込み入った枝の中にじっと目を閉じて眠っていますので、見つけるのはなかなか難しいです。しかし時々、丸見えの状態でコロンと枯れ草の折り重なった上などに出てきていることもあります。
トラフズクはワシタカ同様、猛禽類の仲間です。するどい鉤爪とナイフのようなくちばしで、夜の野ネズミを捕まえて餌にしています。トラフズクの虹彩は橙色で、大きく見開いた目は夜行性の猛禽類としての威厳に満ちています。
トラフズクの飛翔姿です。平面的な顔をまっすぐ前に向けて飛ぶその様子は、丸太が飛んでいるような感じにも見えます。トラフズクの活動時間は日が落ちてからで、日中にこのように飛び回ることはまずありません。隠れているのに気づかず人が近寄ってしまったときなど、飛び出して逃げてしまうことがあります。
トラフズクの越冬飛来は、たいてい複数羽のグループでやってきます。滞在期間や渡去時期など、くわしい生態はよくわかりません。春が来るまでに、いつの間にかいなくなってしまいます。トラフズクが越冬飛来する円山川河川敷には、餌となる野ネズミがたくさん棲んでいます。日中はノスリなどのタカの仲間に、夜はフクロウの仲間に、野ネズミは24時間狙われ続けています。