ゴイサギに、ほんとうに久しぶりに出会いました。英名Night Heronは直訳で「夜のサギ」。夜行性で、昼間は川辺のヤナギなどの木陰で休み、夜になると田んぼでカエルなどの小動物を捕らえます。
かつては普通に見られた、というか、夜に「クワッ」と短く鳴きながら飛ぶ声を、よく耳にしたものでした。ああ、ゴイサギが飛んだなと、その声で存在が知れたものです。それが、ここ10年以上の間に、とんと声を聞かなくなりました。理由はよくわかりませんが、ゴイサギにとっての適正な生息環境が変わって行ったせいなのでしょうか。
豊岡盆地の田植えの終わった水田で、ゴイサギの成鳥数羽のグループを観察しました。成鳥には白く細長い冠羽が伸びていますが、それの無い成鳥個体もいました。水田を見下ろす里山で、繁殖しているのでしょう。他のサギと混群を形成してコロニーを形成します。繁殖期は、ヒナへの給餌のために、昼間でも水田などに姿を現すのでしょう。
水田を歩きながら「入れ食い」状態で次々に餌を捕らえます。撮影画像を拡大すると、その餌はカブトエビであることがわかりました。カブトエビはエビと名が付きますがエビの仲間ではなく、ミジンコに近い原生的な生物だそうです。農薬の影響を受けやすいとされ、カブトエビの発生する水田は、自然度の高い田園環境といえるでしょう。コウノトリも、このカブトエビをよく餌として食べています。
飛んだときの姿です。シラサギやアオサギのような、すらっとした姿ではなく、ずんぐりとしています。青灰色をベースカラーにした、シックな色合いの美しいサギです。成鳥の虹彩は赤いです。
数を著しく減らしたゴイサギは、今後また復活の兆しを見せてくれるのでしょうか。コウノトリ野生復帰を契機に、田んぼの自然環境が改善されてきました。コウノトリが野生復帰し、ゴイサギの生息数も増えて行くとすれば、鳥たちが私達の住む自然環境の改善の指標を示してくれることになるでしょう。