春を告げる身近な鳥としてウグイスが有名です。法華経と聞こえるわかりやすい鳴き声は、姿が見えなくても誰もがすぐにウグイスだと反応します。ウグイスが鳴き始める頃、より人家の近くで囀る鳥がいます。それが今回紹介するホオジロです。ごく普通種なので、話題にのぼることが少ない野鳥ですが、この時期はホオジロを知るよい季節なので、ぜひ覚えてもらいたいと思います。スズメ目ホオジロ科の鳥のグループの代表選手です。
写真はホオジロのオスです。頭頸部以外はスズメの羽根色によく似ています。ただし、尾羽はスズメより長く、全長もスズメより少し大きい鳥。繁殖期は昆虫を食べますが、非繁殖期は主に植物の種子を拾って食べます。留鳥として1年中見られますが、但馬では冬は雪のない地方へと移動しているようです。
ホオジロの名前は、頭部の頬の部分(目の下の部分)が白いことに由来します。ここが赤いホオアカというホオジロ科の鳥もいます。
こちらはホオジロのメスです。オスに比べて茶色が薄く、オスの黒い部分も茶色くなっています。河原や山地などの低木に巣を作って子育てをしますが、人家の庭木の目立たない場所で営巣することも珍しくありません。
多くの鳥は、繁殖期にはきれいな声で囀って縄張り宣言をします。囀りを行う場所は、縄張り内の見晴らしの良い枝先などで、そこはソングポストと呼ばれます。
さて、ウグイスが法華経と鳴くなら、ホオジロはどのような鳴き方をするのでしょう。鳥の声を人間の言葉に置き換えて覚えることを「聞きなし」といいます。ホオジロの聞きなしには沢山の種類があり、聞いた人のセンスによりそれぞれ。
「一筆啓上仕り候」
「源平ツツジ白ツツジ」
「札幌ラーメン味噌ラーメン」
などが有名な聞きなしですが、ネットで調べているとこんなのもありました。
「ちょっとExcuse me」
みなさんの覚えやすい聞きなしで、ホオジロの囀りを覚えてください。春から夏にかけて、身近な場所で長く囀ります。声が聞こえてくる枝先などを探せば、一生懸命歌い続けるホオジロの姿が見つかることでしょう。