豊岡市一日市地区の田んぼは、土地が低く、昔ながらの水路が田んぼの高さで隣接して流れています。土地改良を受けた田んぼは、水路は田んぼのはるか下を流れ、ポンプアップしないと田んぼに水が入りません。ところが、ここの田んぼは水量が増えると田んぼへの湛水が容易に起こります。
そんな湿地環境を好む大型の水鳥が、この地区の田んぼにはよく飛来するのです。もちろん野外のコウノトリもその一種。農家の方々には苦労の多い田んぼでしょうが、特に冬越しのために豊岡にやってくる水鳥には貴重な生息環境になります。
今回飛来したのはオオハクチョウの4羽の群れ。灰色の羽根をした幼鳥3羽と、真っ白な成鳥1羽のグループは、おそらく家族なのだろうと思われます。もう1羽の親鳥はどこかではぐれてしまったのでしょうか。
成鳥が羽ばたいたシーンです。圧倒的に大きな鳥です。翼開長はコウノトリと同じ2mを少し超えます。体重は12kgほどあって、コウノトリの5kgにくらべて2倍以上重いです。コウノトリはその場からワンクッションで飛び立つのに対し、オオハクチョウは長い助走路を走って重い体を浮かせます。
これはコハクチョウです。小坂地区の田んぼで旅の一休み中のところに出くわしました。オオハクチョウにくらべ全体的にスリムで、首の長さや太さも違います。2種の識別で一番わかりやすいのが、くちばしの黒と黄色の割合。オオハクチョウは黄色の割合が多く、コハクチョウは黒の割合が多いです。
豊岡盆地に越冬飛来するのはコハクチョウがほとんどで、オオハクチョウが飛来することは稀です。かつては、お隣の久美浜湾がオオハクチョウの越冬飛来地として知られていました。近年では久美浜湾にもオオハクチョウが来なくなってしまいました。
オオハクチョウが豊岡盆地に飛来するのも、迷い鳥としてときどき単独で見かけるようなことですが、今回は、4羽のグループで飛来したことが珍しいと思います。このままこの冬をここで越すのか、注目してみたいと思います。