秋が本格化する頃、私たち鳥仲間が楽しみにしているのが秋の渡り鳥観察。日替わりで次々と旅鳥や冬鳥に出会える季節です。田んぼの真ん中におりるコハクチョウやマガンとの最初の出会いは、毎年、特に楽しみにしています。
今年は10月21日に1羽のコハクチョウを見つけました。通勤途中の朝の六方田んぼでのことです。朝霧の中に、真っ白なコハクチョウが見えたときはうれしかったです。
コウノトリの百合地巣塔のすぐそばの田んぼです。下りた場所が分かるように、車を移動させて百合地巣塔を背景に入れて撮影しました。
豊岡盆地にコハクチョウが下りてくるのは、田んぼに冬期湛水が始まる12月になってからのこと。12月から1月に飛来するコハクチョウのグループは、3月の北帰行までの間、当地に留まります。数は多くありませんが、冬の田んぼにコハクチョウがいる風景は素敵です。
今回早い時期に観察した1羽は、おそらく渡りの群れからはぐれて不時着したものと思われます。この写真は初認から2日後の朝の同個体です。このときを最後に、盆地内から姿を消しました。上空を渡って行く仲間とうまく合流できたのだろうと思うことにします。
鳥取県から島根県にかけての海岸沿いの湿地や湖で、多くのコハクチョウが越冬します。六方田んぼで冬期湛水が開始された頃は、まだいくつかの休耕田に水が張られ、堪水田と二番穂の田んぼのパッチ状の自然環境がコハクチョウを呼び込むことになりました。
最近は湛水休耕田もほとんど消失し、耕作田の湛水が12月から行われるようになり、秋渡りのコハクチョウが下りて来にくくなりました。円山川流域の湿地拡大が、コハクチョウ飛来の今後の呼び水になってくれることを期待したいです。