コハクオナジマイマイ オナジマイマイ科
雨の日の散歩もいいものです。晴れた日には見えないものが見えます。
7月10日、梅雨の末期、運動不足の私は、雨の切れ目に堤防を歩くことにしました。そこで小さなカタツムリに出会いました。殻の直径が1cmにも満たない本当に小さなカタツムリでした。一度気づくと、至るところで堤防天端を川側から家側に移動しているのが目に入ります。調子よく歩いていた先ほどとは打って変わって、うっかり踏まないように慎重に歩くようになりました。
Facebookで「見たことのないカタツムリを見つけた」と報告するとコハクオナジマイマイというカタツムリだと教えてもらえました。思い出してみると何年か前に兵庫県立人と自然の博物館の鈴木武さんから私の家の近くの無人駅にいるという話を聞いていました。当時、結局、見つけられなかったのですが、・・・。
コハクオナジマイマイは日本の固有種です。ひとはく通信「ハーモニー」98号(2017)に鈴木さんの解説がありますが、兵庫県にはもともとは生息しない国内外来種です。兵庫県は本来の分布地である岡山県のお隣ですから、いててもおかしくないような気もしますが、遠く離れた関東地方でまとまって見つかっているのは不思議な気がします。どう考えても自力で移動できる距離ではありません。野菜をはじめとするいろんなものにくっついて運ばれたていったのでしょう。
コハクオナジマイマイは殻の大きさが2cm以下で殻高は1.2cmくらいまでの小さなカタツムリです。オナジマイマイという似たカタツムリがいるのだそうですが、生きているコハクオナジマイマイは殻の真ん中あたりが黄色なので簡単に区別できるそうです。ちなみにこの黄色ですが、殻の色ではありません。殻の中にいる本体の色なのです。殻が薄いので中が透けて見えるのだそうです。きっとコハクの由来はこの色なのでしょう。
鈴木さんの記事によるとカラムシやクズが好きなようです。12日に確かめに行きました。カラムシの群落を見つけ、中を探ってみました。なかなか見つかりませんでしたが、堤防を横断していたものよりは明らかに大きな個体をいくつか見つけることができました。これが大人の大きさのようです。先日見た範囲にはカラムシやクズはほとんどありません。何を食べているのでしょうか?
鈴木さんの観察では、飼育下では一度に産む卵の数は、100~200個くらいで、1~2週間後に孵化するそうです。飼育条件下では、ほとんど秋に孵化しているので、おそらく小さい貝で越冬しているのではないかと思われます。
数年生きるカタツムリが多い中で、コハクオナジマイマイは秋に卵を産んで死んでしまう、一年生のカタツムリです。
ネットで調べてみると、「ミョウガの葉、トマト、菊芋の葉などどんな農作物にも付着し被害を及ぼします。」という記載もありました。いろいろな意味で要注意なカタツムリだと思います。
コハクオナジマイマイの発生地の上では幾種ものチョウが舞っていました。