アカトンボと言えば秋というイメージですが、水田では6月下旬から7月上旬にかけてたくさんのアカトンボが見られます。その大半はアキアカネ。まだ稲の茎がまばらに見える水田で一斉に羽化します。
イネの茎をよく見ると、小さな羽化殻がたくさん付いています。
水田で羽化したアキアカネはしばらく付近で過ごし、やがて山に向かいます。そのため、この時期に目に付くことはあまりありません。山で十分に餌をとり成熟する秋、10月ごろ産卵のため田んぼに帰ってきます。真夏に氷ノ山などの高い山の尾根で無数のアキアカネに出会うのはこのためです。
アキアカネは泥の見えるような浅い水たまりに産卵します。稲刈り後の田んぼに少し水がたまっているような場所があると、たくさんのアキアカネが集まっています。近年アキアカネが減少しているのは、秋に田んぼが乾いてしまって産卵場所がないことが原因の1つです。全国的には2000年前後から使われ始めた育苗箱用の殺虫剤が影響していると言われています。
アキアカネはロシア、中国、朝鮮半島、九州以北の日本に分布します。どちらかと言えば北方系の湿地が生息場所です。日本では田んぼがあることでここまで広がったトンボです。