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クロアミホコリ 

アミホコリ目 アミホコリ科 アミホコリ属 アミホコリ亜属 Cribraria atrofusca G.W.Martin & Lovejoy

クロアミホコリ、単子嚢体型で群生し、有柄でふつう直立し、高さ1~2.2㎜。子嚢は球~倒卵~洋梨形、若い時はほとんど黒から暗黒褐色~紫褐色、老熟して褐色。

杯状体は子嚢の高さの約1/2で、柄から放射状に隆起線及び同心円状の紋が見られ、縁から長い突起で壁網につながる。壁網は規則的で節は拡大するが肥厚せず、連結糸の遊離端は少ない。また、暗色の壁小粒が見られる。

胞子は球形またはやや角張り、反射光で暗赤褐色、透過光で灰褐色、細かい疣型で時に弱い不完全で大きな網状紋があり、直径7~8µm。

春から秋に腐木上にやや稀とのこと、但馬地域では晩秋での確認が多いように思う。

クロアミホコリ、変形菌の図鑑では最初の方に掲載されている場合が多い。クロアミホコリというぐらいだから黒いのだろうとイメージしていたが、専門書の写真で見るとあまり黒く見えない。どうみても褐色(茶色)である。

私がはじめて採取したクロアミホコリは、どちらかというと紫色だった。そのためスミレアミホコリの可能性があるのではないかと思ったのだが、フェイスブックの粘菌グループで検討してもらったところクロアミホコリと同定できた。つまり何が言いたいかというと、「クロアミホコリは、あまり黒くないのではないか?」という疑いをつい最近まで持っていたのである。

昨年の秋、初めてクロアミホコリの大発生に出会うことができた。しかも変形体から子実体への変身中のものや、既に古くなったものを含んだ大群落で、観察するには絶好と言って良いものだった。それを数日おきに何回か観察することで、クロアミホコリの色の謎が自分なりに解けたと思う。

結論を書いてしまうと、クロアミホコリの子実体は、未熟時は黒であるが老熟時は褐色になる。詳しく書くと、未熟の時はほとんど真っ黒で、成熟するにつれ褐色に変化する。その時、強弱があるが紫色を呈していることが普通であり、紫黒色や紫褐黒色に見えるものが多い。

黒から褐色への変化については、黒と褐色のツートンになっている場合もある。完全に老熟してしまうと黒っぽさはなくなり褐色になる。

ちなみに、子嚢の色について「日本変形菌誌」では「紫褐色からほとんど黒」、山渓の「変形菌」(発見と観察を楽しむ自然図鑑)では、「褐色から紫褐色」と記載されている。あくまでも私の観察したものから表現すると、「若い時はほとんど黒から紫褐色、成熟して褐色」という感じだろうか。

もう少し丁寧に書けば、「クロアミホコリの子嚢の色は、未熟時は黒~紫黒、その後、成熟するにつれて、紫褐色~褐色となる。ときに紫が強く見えることもある」。いずれにせよ、文章で表すのは難しい。

個体差や環境、いろいろな条件でクロアミホコリの色の変化パターンも変わってくるのかもしれないが、重要なことはクロアミホコリの色に関する私の疑念、つまり、「クロアミホコリは、あまり黒くないのではないか?」という私のこの種に対する疑念は晴れたということです。出来立てのクロアミホコリの子実体は真っ黒でした。ちなみに学名の意味を調べてみると、アトロフスカ(atro-fusca)はラテン語で「暗黒褐色」を意味するようです。標準和名をクロアミホコリと命名されたことは自然なことのようです。
(「日本変形菌誌」(山本幸憲 日本変形菌誌製作委員会2021年)を参考にさせていただいております。)

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