2㎜ほどの柄の先にきらきらと輝くほぼ球形の子嚢を乗せた子実体が群生する。銀灰色から時に真珠光沢のある青銅色~金色の輝きはとても美しい。この美しい子嚢壁は剥がれ脱落しやすく、老熟胞子飛散後も一部が柄に襟状に残存する。エリホコリの和名の由来だろう。キラキラ系の変形菌の中では比較的見つけやすい仲間だと思う。
但馬では夏から秋に倒木腐木を探すと、ツノホコリやウツボホコリ、ホソエノヌカホコリ、マメホコリ、アオモジホコリなど定番のものと比べるとずっと珍しいが、何回か探せばシーズン中に一度は出てきてくれるといった感じだろうか。
変形菌の美しさの一つは金属光沢を放つものたち。色素ではなく構造色によるかがやき。構造色とは光の波長あるいはそれ以下の微細構造による、分光に由来する発色現象ということなので、色褪せたりはしない。
ツヤエリホコリが属するルリホコリ類は美しい変形菌の代表的なものだと思うが、その多くは図鑑や写真集でしか見たことがないものばかりで、初心者の私はなかなかお目にかかることができなかった。初めて目にしたきらきら系の変形菌がこのツヤエリホコリだった。比較的身近で親近感があるツヤエリホコリ。庶民的だがとても美しく見飽きない。
以前エリホコリ属はムラサキホコリの仲間に入れられており、図説日本の変形菌(山本幸憲1998東洋書林)ではムラサキホコリ目ムラサキホコリ科エリホコリ属と分類されていた。しかし、日本変形菌誌(山本幸憲2021日本変形菌誌製作委員会)ではモジホコリ目ルリホコリ科ルリホコリ属と分類されている。
高さ2.5㎜程度まで、春から秋に腐木上に普通、汎世界的。