たじまのしぜん

カリガネソウ

カリガネソウ シソ科

但馬ではカリガネソウには、なかなか出会えません。

初めて出会ったのは、2000年ごろです。何度も入ったことがある谷でしたが、秋に入ったのは初めてでした。特徴的な花がないのでそれまで気づけなかったようです。たくさん生えていてやっと出会えたと思いました。

2020年、久しぶりに見に行きました。シカの食害が酷い場所なので、カリガネソウがあった場所も含めてシカの不嗜好植物であるイワヒメワラビが一面を覆いつくしていました。あれ、おかしいな、カリガネソウは悪臭があってシカは食べないはずなんだけどなあと思いながら丹念に探すとわずかに生き残っていました。

2024年 コウノトリ文化館

花がほぼ終わり、未熟ですが果実がついていました。後日、種子を採取し、人と自然の博物館に送り、一部を自宅で育てることにしました。

2022年に初めて開花しました。2024年も開花しました。

カリガネソウは、不思議な花の形をしています。シソ科らしく左右対称で、上唇は2裂し、下唇は3裂します。下唇は左右に分かれ、中央裂片だけは大きく、前に向かって薬さじのような形で突き出します。この裂片に模様がついています。シソ科などの花によくある昆虫を誘導する滑走路の誘導灯の役目です。

撮影:村田美津子

中央裂片に着地して、指示通りに進んで行くとそこには蜜がありますが、花粉はありません。雄しべと雌しべは花冠から上に大きく飛び出して半円状に湾曲しています。中央裂片にマルハナバチなどが乗ると花がたわんで大きく長く曲がった雄しべの先が昆虫の背中につくようになっています。

カリガネソウという名前は、花の形を雁の飛ぶ姿に見立てたといわれていますが、私にはどう見ていいか分かりません。むしろ別名のホカケソウのほうがピンときます。

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