豊岡市立野大橋周辺の円山川堤防、春の景色、以前は黄一色であったが、いつの間にか白に変化していった。黄色い花はカラシナであったようだ。ある年齢以上の方であれば豊岡市街地周辺堤防の春は黄色一色であったことを覚えていらっしゃると思う。
少し上流の日高町国府地区の2007年の様子が報告されている。国府地区も当時は黄色一色であったが、現在はほぼ白一色である。
菜の花咲く円山川河畔 <春の息吹き>
上の写真は今の国府地区桜堤の堤防。
豊岡市街地周辺では、2000年ぐらいからだろうか、黄色一色のカラシナが徐々に白っぽいハマダイコンに変わっていった。正確な時期は残念ながら写真が残っていないのでよく分からない。下流域のハマダイコンが徐々に生息域を拡大してきたのかと思っていたが、本当のところはどうなのだろうか。出石川に入ると加陽湿地のあたりから黄色が出てくる。
伊豆橋の辺りになると黄色と白が混在しやがて黄色一色になる。
ハマダイコンは、栽培されているダイコンが野生化したものであると説明している図鑑等が多い。栽培大根が野生化したものであるから、肥料をやって育てれば根が太くなりダイコンとして食すことができると記載されているものまである。一方で、古く中国から渡来したダイコンの原種か何かの子孫との説や、根は太くならず、食用に適さずと断定しているものもある。なかなか見解の幅が広い。
海岸近くの砂地に生えている場合が多く、円山川流域のハマダイコンも元々はもっと下流部の砂地を中心に生息いるイメージが強かった。豊岡市街地周辺を内陸部と言えるかどうかは疑問だが、内陸部で野生化したものは「食べられる野生植物大辞典」(橋本郁三2007柏書房)によるとノダイコンなどと呼ばれる。豊岡市街地周辺にも多くのダイコン栽培者がおり、収穫残さ等を河川敷に投棄することもあろうから、それらが不定期に円山川堤防に供給され進出し、あるいはもとからいるハマダイコンとも交配し、世代を重ね次第にノダイコンとなり繁茂、もとからいるカラシナを駆逐し置き換わっていったということも考えられる。
3月下旬、花が咲き始めた個体を順番に観察してみた。
すると非常に多様であることが分かった。
花弁の赤が強いものや白が強いもの、花が多いものや少ないもの。
根茎は細いものや太いもの。写真では花弁と額の色の組み合わせを少し載せてみた。微妙な違いを入れるといくらでも増えていきそうだ。
詳しいことは分からないが、多様な形質が出現しているということは一代雑種の子孫とか、いろいろな品種の子孫が混じっているのかもしれない。
ありがたいのは、根茎が太いものは小さいながらもいわゆるダイコンであり、十分に食用になる。私は毎年2月か3月に採取して浅漬け等にして食しているが、野趣に富んで美味である。
少し硬いが味が濃い。茎や葉も美味い。景観も変わったが、堤防で大根収穫ができるようになったということは有難いことだと思う。