2007年 鉢伏高原 まだシカによる食害は軽微
ニホンジカによる植生被害もいよいよ最終局面のようです。
これまで2014年、2018年にニホンジカによる野生植物への植生被害について書いてきました。最後の聖地だと考えていた扇ノ山山系にも甚大な被害が及んでいます。
但馬へのシカの侵入は南但馬から始まりました。1990年代は南但馬を中心に農業や林業への被害報告がありました。
2006年には南但馬地域の落葉広葉樹林で下層植生がほとんど消失したという報告がありました。自然林の中でも被害は進行していたのです。
2010年には氷ノ山にも大きな被害が出ていることが報告されました。兵庫県による自然林の調査も行われるようになりました。2014年までの4年間で森林の下層植生の衰退が進行した樹林域は但馬全体の約4割にもなることが分かりました。
2014年 但馬はすでに真っ赤です。
2015年 香美町の三川山の近くの道を夜間に車で走ってみました。ライトに照らし出されたシカの数です。道沿いだけでこれだけいたのです。
2017年 カメラに写る範囲でこれだけいたのです。
海岸もボロボロです。砂浜から姿を消した植物たちが細々と生き残る最後の避難地でした。
同じ場所に行ったのは11年ぶりでした。おそらくは5年後くらいには丸裸になっていたのだと思います。
トチの実も全て食べられてしまいます。これでは山に入るのが楽しくありません。大げさに言うと自然を利用する文化も失われてしまいます。
このモミジカラマツは、兵庫県で2番目に発見された個体群で、近畿地方最大級の規模のものでした。2008年には開花できなくなりました。
ここが最後の砦、扇ノ山です。
2014年は、おいしいと思うものだけを選択的に食べていたのでしょう。花が咲き、種子をつけるものもありました。
2015年には背の高い個体はなくなってきました。花が咲くものは稀になりました。種子をつけるのはよほど運のよい個体だけです。
2018年になると地面がはっきりと見えるようになりました。もう大きくなることはできません。多年草であれば丁寧に探すと2014年に見られた植物は非常に小さいものの大概見つけられます。地下茎が頑張って生き残っていたのです。しかし、春先に見られたものが秋に見られることはまずありません。あと数年で弱り果てて死んでしまうのだと思います。
但馬の自然の植物を救うのは今が最後の機会かもしれません。及ばずながらも努力したいと思います。