マツバウンランがついにわが家の庭にも進出しました。昨年、わずかにあったように思いますが、今年はついに群落になりました。家人に抜かれる前に写真撮影しました。あと1週間待つとちょっとしたお花畑になるところでしたが草取りされてしまいました。
このマツバウンランはどこからやってきたのでしょうか? 不思議です。散歩していると200mばかり離れたところに見事な群落がありました。小さな群落はいたるところにありました。思いの外、広がっているようです。北アメリカ原産の野生植物が、巡りめぐってわが家にもやって来たのです。
茎についている葉が松葉のように細長くて尖っているのでマツバウンランという名前になっています。
ウンランというのは砂浜に生育する植物で、兵庫県では絶滅しそうなほど数を減らしている植物です。ウンランは京都府まで行くとまだそれなりに生育しています。豊岡にもホソバウンランという外来種が増えてきていますが、花がウンランによく似ているので下に載せておきます。
マツバウンランは、但馬の各地に群落を作っています。堤防、造成地、荒れた芝生など人の手の入った裸地に多く見られます。一面がマツバウンランで、まるで栽培しているような場所もあります。こんなに広がったのは、ここ十数年のことではないでしょうか?
私とこの植物との出会いは30年ほど前になります。出会った当時、すでにその地ではありふれた雑草で、ツタバウンランという同じ属の種も一緒に見ることができました。調べてみるとそこは、マツバウンランが最も早く、1941年に確認された場所でした。その場所、京都市伏見区向島に、私は4年間暮らしました。立派なヨシ原もあって、私の自然観察の原点のような場所です。
草取りに疲れた家人は、「これを残して増やしたら草取りしなくてもいい」とか「この花とスミレは残そう」とか言っていますが、残念ながら草取りをせずにそれらの花だけを維持することは無理です。
背が高いマツバウンランの根本に葉が広がっています。この葉に日の光を浴びて栄養を稼ぎます。地面に張り付くように広がっていますから、背の高い草が生えてきたら光取り競争に負けてしまいます。他の草が生えていない裸地だからこそ我が物顔で大きくなれるのです。マツバウンランは、せっせと人がまわりの草を取ってやらない限り同じ場所に花壇のように花を咲かせ続けることはあり得ません。「増やしたら草取りをしなくていいのではなく、草取りをしないと増えないのです。」雑草との戦いに妙手はないようです。
マツバウンランのお花畑が同じ場所にとどまることは難しいですが、人が作る裸地を転々と移り住み、時に花壇のようになりながらマツバウンランは広がっていくと思います。