但馬ではこの植物を見ると山の中に入ってきたなと思います。
他の植物がまだ生育しない頃に花を咲かせるのでよく目立ちます。他の植物たちが大きくなった頃には姿を消してしまいます。
但馬ではイチリンソウに比べて生育している範囲が狭く、多くの場合、ブナ林やブナ林を伐った後にできるミズナラやコナラの林の中に生えています。山地にある落葉広葉樹林を特徴づける植物の一つのようです。
雪解け水がしたたるような場所の下の広いところや、渓流の両端に広がる平らな場所や窪地によく見られます。
例外的に、円山川の河畔林内に知られていました。きっと河畔林の環境が山地の落葉広葉樹林と似ているのでしょう。河畔林のキクザキイチゲは、残念なことに近年姿を見かけません。
花びらのように見えるのは全て萼(がく)です。8枚くらいから13枚くらいまであります。純白に近いものもありますが、ピンクを帯びるものや青を帯びるものもあります。
お隣の京都府と鳥取県では準絶滅危惧種となっています。幸いなことに但馬には各地に結構あります。落葉広葉樹の伐採などに気をつけていつまでも咲き続けてほしいものです。