ヒメシロアサザ ミツガシワ科
ヒメシロアサザの発見は偶然でした。
円山川の中州であるひのそ島に生育する保護上重要な植物の生育条件を探るために実験が行われていました。ヒメシロアサザは、その場所でたまたま発見されました。日本海側で2例目、但馬では初めて、兵庫県下では非常に稀で、淡路島と神戸にわずかに知られているだけでした。
実験現場は、少し前に増水によって泥をかぶっていたので、そのヒメシロアサザの種子が、ひのそ島由来なのか上流由来なのか分かりませんでした。
その後、ひのそ島でも確認され、さらに円山川の人工湿地でも確認され、円山川下流域に生育することが分かりました。
最初に発見されたときに、種子が採取されており、その種子が数カ所で栽培されています。どの場所でも葉の大きさは直径が3cmほどで、その大きさは安定していました。
野生下では姿を消していたヒメシロアサザが久しぶりに発見されたのは、今年(2009年)のことです。場所は、整備されたばかりの「ハチゴロウの戸島湿地」です。
ここのヒメシロアサザは、葉の大きさが一定せず、直径10cm近いある大きなものも混じっていました。これはひょっとすると、但馬ではすでに見られないガガブタかもしれないと期待しました。葉の形がよく似たガガブタとヒメシロアサザですが、花の様子は大きく異なります。観察をされていた方に花の写真を送っていただきました。一目でヒメシロアサザと分かりました。残念でした。
ヒメシロアサザは、生活史がよく分かっていませんので、来年もこの湿地に出てくるとは限りません。保険のために種子を保存してもらっています。