私が植物の勉強を始めた30年ほど前にはタンポポは次の二つに分けられました。
*昔から日本に生えているタンポポ(在来種)
*外国からやって来たタンポポ(帰化種;今は外来種と呼(よ)ぶ)
それで帰化種は、これまで紹介(しょうかい)したようにセイヨウタンポポとアカミタンポポに分けられていました。ところがこんな平和な時代は終わってしまいました。
日本のタンポポと外国からやって来たタンポポの間に雑種ができていることが分かってきたのです。お母さんが日本のタンポポで、お父さんが外国のタンポポです。
それまで外国からやって来たタンポポは、受粉をせずに種子を作るといわれており、花粉はできても役に立たないといわれていました。そんな常識をくつがえして、非常に数が少ないものの正常に働く花粉もできていることが分かったのです。その正常に働く花粉が日本のタンポポ(関西だとカンサイタンポポ、関東ならカントウタンポポ、・・・・)のめしべにくっついて雑種が生まれたのです。
この雑種タンポポの出現で、タンポポは昔のように二つには分けられなくなりました。
昔の図鑑(ずかん)を見ると次のように書いてあります。
外総苞片(がいそうほうへん)が反り返る・・・・・・・・・・帰化タンポポ
外総苞片が反り返らずぴったりとくっつく・・・・・在来タンポポ
なんと雑種タンポポは、「外総苞片が反り返らずぴったりとくっつく」タイプから「外総苞片が反り返る」タイプまで連続するのです。
密着タイプを、0°とすると完全に反り返るものは180°となりますが、0~180までどんな角度もあるといいたいほどの状態です。
もはや安易に「これはカンサイタンポポです」「これはセイヨウタンポポです」などと言っていられない時代になりました。でもまあ、カンサイタンポポは違いますね。最初の写真がカンサイタンポポです。分かりますか?