川と海の間を往き来する魚がいます。川で生まれて海へ下ったり、逆に海で生まれて川へ上るものもいます。また、川で生まれて海へ下り、すぐに川へ戻ってくるものもいます。このような魚のことを「通し回遊魚」と呼び、遡河回遊魚、降河回遊魚、両側回遊魚の3タイプがあります。
春になると但馬の川でも、これらの稚魚が川と海を往き来する光景が見られます。今回はタイプごとに1種類ずつ紹介します。
サケは遡河回遊魚というタイプです。秋、産卵のため海から川へ帰ってきます。産卵のために河川を遡上することから“遡河”回遊魚と呼ばれます。但馬の主要な河川では、サケが産卵します。
親魚は産卵後、その一生を終えます。冬にふ化した稚魚は、ちょうど今の時期、海へと下り始めます。
サケの稚魚の群れの中を、桜の花びらが流れていました。春らしい光景です。
海へ出たサケたちは、4年かけて北米アラスカ湾まで旅をして、生まれ故郷の川へ帰って来ます。
アユカケは降河回遊魚です。サケとは逆で、秋、産卵のため“降河”、つまり川から海へ下ります。冬、沿岸近くで産卵し、ふ化した稚魚は春になると川を遡ってきます。
環境省レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類、兵庫県レッドリストではBランクに選定されており、絶滅の危険が増大しています。但馬の川にもアユカケが生息しています。
川を遡ってきたアユカケです。2センチほどの小さな稚魚です。大きくなると20センチ以上に成長します。
スミウキゴリ
スミウキゴリは両側回遊魚というタイプです。冬から春にかけて川で産卵します。ふ化した稚魚はすぐに海へ下り、しばらく海で過ごした後、川へと戻ってきます。
但馬では、ほぼ全ての川に生息しています。稚魚の遡上は但馬では4~5月頃がピークでして、群れをなして川を遡上します。
これら通し回遊魚が生息していくためには、障害物が少なく、海との連続性が良好な河川でなければいけません。