秋はカネヒラの繁殖期です。この画像のようにオスが鮮やかな婚姻色になります。タナゴの仲間は繁殖期になると、オスが鮮やかな婚姻色になります。日本産淡水魚の中では特に色鮮やかなグループです。先月の記事にあげたオイカワに勝るとも劣らない鮮やかさです。但馬の川にも、こんな美しい魚が生息しています。
タナゴ類など、コイ科魚類の多くは春から夏が繁殖期ですが、このカネヒラは秋が繁殖期です。タナゴ類の産卵場所はイシガイなど淡水生二枚貝の体内です。産卵時期をずらすことによって、他のタナゴ類と産卵する貝の奪い合いを避ける戦略であると考えられています。
但馬では円山川水系に生息しています。兵庫県レッドリストではBランクに指定されており、県内では絶滅の危機が増大していると考えられています。
このように群れていることがあります。
雑食性ですが、水草や藻類などを好んで食べます。この画像のように、石に付着した藻類をこそぎ取って食べます。
日本産タナゴ類では大型の種類で、大きな個体は全長10センチを超えます。
こちらはメスです。メスはオスと比べて地味な体色です。お尻から長く伸びているものは産卵管です。この長い産卵管で二枚貝の体内に産卵します。9~11月頃に産卵し、数日でふ化します。稚魚は二枚貝の中で越冬し、春になると外に泳ぎだします。
調査で採集したときの画像です。オスとメスの違いがよくわかります。
カネヒラなどのタナゴ類が生息する環境は、梅雨時期の氾濫で浸水する氾濫原とよばれる環境です。現在では氾濫原の多くは水田地帯として利用されています。田んぼ際の水路や小川などは、タナゴ類にとって重要な生息場所です。川だけでなく、小さな農業用水路なども、魚類にとっては大切な生息場所です。