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但馬北西部でも深刻化する植生被害

南但から始まったニホンジカによる植生被害もいよいよ最終局面を迎えています。
南但の山々の林床を丸裸にし、やがて妙見山~蘇武岳~三川山の広域基幹林道に沿って被害が拡大し、海岸線を走るシカも見られるようになりました。そんな中で小代や扇ノ山周辺など西但馬は植生被害が少ない場所でした。そこは、但馬における、いえ、兵庫における最後の聖域と呼べる場所でした。そこに、シカの影響が目に見えて現れてきました。

シカ問題について兵庫県が作成した最新の資料は、「第2期ニホンジカ管理計画平成30年度事業実施計画資料編(PDF:4,079KB)」としてHPにあります。
https://web.pref.hyogo.lg.jp/nk27/documents/30sika_siryou.pdfです。

その中の2枚の図を引用しています。

一つの例として霧ヶ滝について書いてみます。

霧ヶ滝もここ1,2年で一気に裸地が目立ってきました。
以下の写真は、2018年11月5日のものです。

登山道の入り口からしばらくは道の両脇に緑がよく残っています。注意深く見るとシダ植物が大半です。シカの好む花を咲かせる植物たちは食べられてしまったのだろうと思います。

やがて裸地が目立つ場所に着きました。シカによる食害が激しいと思われる場所です。

食べられていない植物の中にテツカエデがありました。この植物はシカの不嗜好植物です。葉がゴワゴワしていて毛がたくさん生えているのが理由かもしれません。不嗜好植物はシカが食べ残すのでシカの食害が広がり始めた頃には増えることがよくあります。テツカエデは兵庫県では希少な植物で保護上重要な種に指定されていますが、最近ではよく見かけます。ただし食べるものがなくなってくると不嗜好植物も食べられてしまいます。

これはミヤマイラクサです。触ると痛い刺毛が葉柄や茎にあります。そのせいか不嗜好植物の一つになっていますが、すでに根元近くまで食べられています。多年草なので翌年も出てきますが、食べ続けられて数年経つと枯れてしまいます。また、このような裸地ができると土中に眠る種子が発芽します。その植物も花を咲かせて種子を落とす前にシカに食べられてしまいます。このようなことを繰り返すうちに土中の種子はなくなってしまいます。ここに至ると多年草の根も種子も失われ、自力での復活は非常に困難になります。

これはハイイヌガヤという低木です。草が少なくなった場所で食べられています。また、常緑なので草が枯れてくる秋以降は盛んに食べられているようです。葉を全て食べられるとやがて枯れてしまいます。この植物が枯れてしまうと私たちのような植物を調べている人間は大変困ります。私たちは道のないところを登りますがそのときにこの木は格好の手がかりになります。この木が枯れてしまって登れなくなった場所が多くなりました。困ったものです。

登山道を進んでいくと食害を受けて間もない場所に行き着きました。ウワバミソウが根元から5cm位を残して食べ尽くされています。

もう少し進むとその1~2年後と思われる状況が見られました。もうはっきりと裸地です。こうなってくると土が流れ出るなどの防災上の懸念も生じてきます。この場所は渓谷の右岸側です。

ここは先ほどの場所の反対側、左岸側です。斜面の傾斜が急なので植生が健全に残っています。しかし、この程度の傾斜であればやがてシカに食べられてしまいます。そんな場所をたくさん見てきました。

こんな場所もところどころですが残っていました。

滝に着きました。昨年は手前の岩の上には背丈が2mほどあるケナシミヤマシシウドやアザミの仲間がびっしりと生えていました。草がなくて滝を見る人にはよいかもしれません。途中の渓谷も遮る高茎の植物がなくよく見えます。事情の分からない都会の人たちにはよく整備された渓谷に見えるのだろうと思います。
但馬北西部のシカによる植生被害は、妙見山~蘇武岳~三川山に比べるとまだ軽微です。植生保護柵を設置すれば十分に回復可能であると思います。しかし、兵庫県にはそのような制度がありません。神奈川県のように自然林を植生保護柵で囲うような事業が兵庫県でも実現できればと願います。

暗い話が続きましたが、この日は、よいこともありました。イヌワシのペアの写真を撮ることができました。2年ほど前に新しいペアができたらしいのですが、久しぶりに確認することができました。まだ若い子のようです。繁殖を期待したいです。

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