ムラサキホコリの一種(おそらくオオムラサキホコリ)

執筆 稲葉一明   掲載 2018年01月03日 19時13分   カテゴリ たじまのしぜん » そのほか

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 ムラサキホコリの一種 Stemonitis sp.
 (オオムラサキホコリ❓ Stemonitis splendens Rostaf)
 アメーボゾア界,変形菌門,変形菌綱,ムラサキホコリ目,ムラサキホコリ科,ムラサキホコリ属  大紫埃


 昨年7月から変形菌を観察している。変形菌、粘菌とも呼ばれる。
生物の分類で、界のレベルでは植物界、動物界、菌界などが身近だが、現在は12界ほどに分類されるのが有力のようだ。少し昔までは、植物界と動物界の二つに分けられていたが、菌界をはじめ、近年すごく増えている。変形菌は菌界にあらず、「アメーボゾア界」に属されている。
 変形体と呼ばれる多核のアメーバ状栄養体が、移動しながら微生物などを摂食する動物的性質を持ち、一夜にして変身し、菌類のように子実体を作って胞子を飛ばし繁殖する生物。その形、色彩は多様で、魅力的。変形菌について、概要さえもとても書ききれないが、我々とは界のレベルで違う生き物。しかし、わりと身近に存在する、しかも人間の生活とはほとんど関係しない、それでいて観察してみると非常に興味深い生き物である。

 変形菌の観察は、変形体であったり、子実体であったり、その変化の途中の状態のものを主な対象とすることになる。変形体は時に遠方からでも確認できる大きさであることもあるが、子実体は多くの場合ミリ単位の小ささである。だから地面に這いつくばって観察することが多い。とりあえずルーペで拡大してみる。写真撮影は三脚、マクロレンズ、接写リング、多灯ストロボ、時にベローズなどの機材が必要となる。キノコ以上に厄介。出会えた時の喜びは大きい。
 写真は、ムラサキホコリ科のおそらくオオムラサキホコリ。高さ約2僉∧舛黒光していて短い。コケの上にいる様は、サンゴかケヤリムシを思い出した。驚いたことに、少し動いている。子実体が目視で分かるような速さの動きはできない。マルヒメキノコムシ?が食事をしていて、彼が単子嚢体を動かしていたのだ。体中、胞子だらけになっている。胞子の拡散にも貢献しているのだろう。
 
 こちらは、子実体形成にてこずったのか、単子嚢体がくっついている。











 翌日見に行くと、かなり開いていた。上側に白い膜状のものが見えるが、変形体が這ってきた痕跡である。胞子を飛ばすために高いところで這い出してきて、ここで変身したのである。ここにもマルヒメキノコムシ?がいる。どこからともなく、胞子につられてやってくるのだろう。

ヌメリスギタケモドキ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年12月03日 12時39分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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ヌメリスギタケモドキ   モエギタケ科 スギタケ属
滑杉茸擬    (Pholiota aurivella)

春〜秋に広葉樹の立木・枯木に発生、木材腐朽菌。カサの径は5〜12冂度、まれに15儖幣紊砲覆襦

カサは強い粘性を持つが、柄に粘性はない。近縁のヌメリスギタケは柄も粘性を帯びることで区別される。




カサに先の尖った鱗片が見られ、中心部よりも外側に多い。幼菌時にははっきりしているが、成熟とともに目立たなくなる。ツバは不完全で消失しやすい。








同じスギタケ属で、同じく古木に発生するスギタケ、スギタケモドキ、地上に発生するツチスギタケとよく似た仲間が多く、前2者は昔は食菌とされていたが中毒報告もあり現在は毒菌とされる。また、ツチスギタケは明確な毒菌とされている。分類がはっきりせず中間型とかもあるようで、さらに人によっては当たる場合もあるなど、難しい仲間であるが、ぬめりがあれば、ほぼ大丈夫のようである。

ナメコと同属でもあり、ぬめりが強く味、歯ごたえともに良好。多収も期待でき良菌と思う。





ツノフノリタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年11月04日 10時59分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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ツノフノリタケ   アカキクラゲ目 アカキクラゲ科
角布海苔茸    (Calocera cornea )
黄色〜橙黄色の高さ1.5僂曚匹両さなキノコ。少し曲がって先がとがっている。分岐するものも多い。朽ち木上に単生から束生、散策道の木材や古くなった木製ベンチなどに発生していることもある。

少し似たキノコにツノマタタケがあり、こちらの方がより多くの図鑑で紹介されていること、また、ツノマタタケの方がよく見かけることから、よく観察しないとツノマタタケと誤認して、ツノフノリタケと気が付かずに通り過ぎてしまいやすい。



和名の由来は、角のような形で、海藻である「布海苔」とよく似ているためである。布海苔はあまり馴染みがないので、角を振っているように見えるためツノフリタケと勘違いしておりました。
小さいけれど朽ち木に発生する様子は美しい。
食毒不明、食用の価値はないが飾りにはなると思う。

ツキヨタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年10月08日 20時03分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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ツキヨタケ   ハラタケ目 キシメジ科
月夜茸    (Omphalotus japonics)




毒キノコによる中毒は全国で毎年発生している。中でもツキヨタケによる中毒が最も多く、厚生労働省の資料によると過去10年間で患者数は746名に達しておりキノコ中毒の約半数を占めている。優秀な食菌であるシイタケ、ヒラタケ、ムキタケと似ており、全体に地味で毒々しくみえないこと、縦によく裂ける、不快なにおいや味がない、一か所で大量に採取されることなどが中毒多発につながっている。食後1時間程で嘔吐、下痢、腹痛など中毒症状が現れ、大部分は数日で回復するが死亡例もある。
ツキヨタケは晩夏から秋にかけて主にブナの枯れ木に群生。シイタケとは柄がないことから、またヒラタケ、ムキタケとは発生時期が早いこと、傘の色が茶色であることから区別できる。

決定的なのは、裂いてみて根元に黒いしみがあればツキヨタケに間違いない。これらから、慣れれば判別は容易と言えよう。




傘の色はつやのある茶色が多いが、ネット情報では薄いピンク色に近いものがあるとのこと。今回、その薄い系統に出会えた。色だけ見るとツキヨタケのイメージと違うが、色以外はツキヨタケそのものである。









ツキヨタケに小さなハエがたくさんたかっている。





ツキヨタケを家に持って帰って机の上に置いておいた。3日後、ツキヨタケはかなり水分が抜けて、赤い幼虫がはい出していた。最初見た時は既に死んでいるのかと思ったが、電気をつけた明るさの刺激のためか、やがてもぞもぞと動き出した。驚いたことに体をひねって5cmほどジャンプするのである。


ツキヨタケは発光するので夜間はぼんやり光って見えることでも有名。ヒダに発光成分を有しており、夜間はぼんやり光って見える。夜に光るキノコとして聞いたことのある人も多いのではないか。ツキヨタケという名前は、江戸時代後期の「坂本浩然」という医者・植物学者が名付けたそうで、現在でも標準和名として使われている。



ツキヨタケには4、5回であったことがあるが、夜に観察したことがないので光っているところは見たことがなかった。今回は持って帰って撮影してみたが、なかなかきれいに光ります。写真は実際の見え方をよく表していると思う。暗さに目が慣れてくるとこんな風に浮かび上がってくる。いつか真っ暗な森の中で見てみたい。家の中で見るよりもずっと幻想的ではなかろうか。

コイヌノエフデ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年09月02日 10時24分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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コイヌノエフデ  スッポンタケ目 スッポンタケ科 
子犬ノ絵筆   (Jansia borneensis)




コイヌノエフデ。主に夏、林内に単生〜群生する。高さ約4〜5cm、上部は赤褐色で、下部の柄の部分と明瞭に境界がある。中は空洞。幼菌時は白い卵状で、成長するとツボとして根元に残る。



かわいらしい和名である。スッポンタケの仲間で、図鑑を見るとシマイヌノエフデ、キツネノエフデ、キツネノロウソク、キツネノタイマツ、、、楽しい和名がたくさんある。その中の一つ。

写真のものは、下部の柄の部分もオレンジ色がかっている。下部が白いものをコイヌノエフデとし、オレンジ色のものを別種としてウスキコイヌノエフデ、あるいはコギツネノエフデとして分類する説もあるようだ。



写真のものではまだ表に出てきていないが、胞子を形成する基本体(グレバ)は黒褐色の粘液化し、それが染み出てくるので、筆にインクが付いたようになる。動物たちがそれを絵筆として使うということが連想されのが和名の由来であろう。ユニークな形とかわいらしい和名、森の中で鮮やかな色彩。たまに出会う楽しいキノコである。
無毒のようであるが、食用価値は無いというのが一般的な評価。

シロホウライタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年08月05日 11時46分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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シロホウライタケ
 キシメジ科、シロホウライタケ属
 白蓬莱茸 (Marasmiellus candidus)



カサの径は1〜3冂度、白くて小さくてかわいいキノコ。
カサの皮は薄く膜質、粉を噴くが光沢もある。ヒダは疎、分岐、脈絡がある、柄も白色であるが、下部は成熟すると黒みを帯びる。近縁のアシグロホウライタケは柄の上部まで明瞭に黒い。


純白で透明感もあり、光が透けて美しい。
夏から秋、枯木、枯枝に群生。

シロカイメンタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年07月08日 08時49分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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シロカイメンタケ   サルノコシカケ科
白海綿茸   (Piptoporus soloniensis)
初夏から秋に広葉樹・針葉樹の倒木に発生する腐朽菌。大型のサルノコシカケで大きいものは20センチ径を超える。


シロカイメンタケという名前ではあるが、幼菌のときは赤褐色が強いく、成熟するにつれて白色となる。




特に幼菌時は同じ赤系統のマスタケと似ているが、シロカイメンタケは強靱で裂けにくく、マスタタケはもろく砕けやすいので判別できる。また、シロカイメンタケは初夏、マスタケは秋の発生が傾向として見られる。



成長時カサの縁部は柔らかいため、拡大するにあわせ接触する異物を取り込んで、植物の茎や枝などがカサを貫通している場合が見られる。




有毒との記載は見当たらず、味見をすると酸味があるらしい。幼菌の時であれば食べられないことはないと思うが、食べてみようとは思わない。不食。

アイタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年06月03日 09時12分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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アイタケ   ベニタケ科 ベニタケ属
 藍茸  (Russula virescens)

このアイタケは、和名の由来は藍色から来ているようであるが、薄い藍染であればイメージできるかもしれない。少し青みがかった緑〜草色のキノコ。

傘は10cmを超えるやや大型のキノコである。傘の表面はひび割れたようになって、モザイク模様、かすり模様になる。成熟すると傘は中央部がへこみ、ロート状になる場合もある。



また、縁部が裂けることも多い。ヒダはやや密で白色、柄も白色で充実。ベニタケ科の共通で全体にもろい。緑色のキノコはあまり見かけない。成熟すれば外見の特徴から判別は容易である。



味、臭いともに温和で、ベニタケ科らしく歯ごたえは悪くぼそぼそ感があるが、まずまずの食菌といえると思う。夏のキノコなので多くの場合虫が入っており、持ち帰って食べようかと思うようなものに出会うことは少ない。



初夏から秋に広葉樹林の地上部に単生から群生する。珍しいものではない。

カワタケの一種

執筆 稲葉一明   掲載 2017年05月03日 11時51分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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カワタケの一種   ヒダナシタケ目 コウヤクタケ科
 皮茸         (Peniophora sp.)




枯木に膏薬状に広がっているものをときどき見かける。コウヤクタケと呼ばれるキノコの仲間である。




この写真はカワタケ(Peniophora quercina)ではないかと思うが、外見だけで種の同定はなかなか困難である。同一種でも様々な形状と色彩を表す。コウヤクタケの仲間であることは間違いない。









広葉樹枯木に膏薬状に樹皮に張り付くように広がっている。最初は小さな円状から発生し、やがて合体して大きな膏薬状になっていくようだ。




端は少しめくれ上がる場合がある。背着生〜半背着生のキノコ。縁部は白く、中心部は淡い肉色〜肌色。カワタケは世界的に分布しているとのこと。形状から不食。木材を腐朽させるが、人間との関りはほとんどないと言って良かろう。
 

ノビル

執筆 稲葉一明   掲載 2017年04月02日 12時13分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

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ノビル   ヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属Allium macrostemon
(野蒜)




円山川の河川敷に生えている。
ネギに近い植物で千切ってみると強い葱臭がする。時に大きな群落を形成する。
葉は空洞であるが断面は三角。土の中の白い部分は球根型に膨らみ、小さならっきょうのようである。


春先のノビルをさっと湯がいてお浸しで食べると、とてもコク、甘味良好で、野趣に富んで美味しい。同じく円山川の河川敷ではネギに近いアサツキも採取できるのだが、こちらの方がより柔らかく味もさわやかで、さらに扱いやすいので、これまで私はもっぱらアサツキの方を好んで採取していた。


野生動物写真家で著名な宮崎学氏が「ギョウジャニンニクを醤油漬けにすると大変おいしい。」とおっしゃっていたのを思い出し、ノビルでしてみてはどうかと、今回やってみた。すると、予想以上に美味である。



シャキシャキした歯ごたえと、ニンニクよりも穏やかな風味、わずかに残るネギ類の辛味。ちなみに市販の九条ネギの白い部分を同様に醬油漬けにして比べてみたが、ネギの辛味が残り、歯ごたえ、甘味、風味どれもノビルと比べて落ちる。



ノビルで厄介なのは、収穫後の調整作業。つまり泥を落としたり、古くなった外皮や黄色くなった葉先を取り除いてきれいにする作業である。採取現場では、まず、移植ゴテを株の周りに差し込み、株ごとごっそりと掘り取る。



次にノビルを一本づつ分けていき、できるだけ球根の大きなものを選抜する。細いものは埋め戻す(資源保護の面からも重要)。土をできるだけ払い落として、緑の葉の部分は大胆に半分くらい切り落としてから持ち帰る。



キッチンで水洗いし、古い外皮を取り除き、根を切り落とす。ここまでの作業は結構面倒であるが球根部を利用するのであるから仕方がない。あとは適当に切って瓶に入れてしょうゆを注げば、半日もすれば馴染んでくる。



ご飯に載せて食するととてもよく合い最高クラスのご飯の友となる。チャーハンに入れたり、中華の薬味とか、様々な利用方法が思いつく。また、漬け込んだ醤油も調味料に使える。保存もできるし、山菜メニューの新たな定番となりそうである。



円山川河川敷のノビルは、洪水対策の河川改修により表土がめくられることにより、その場所では壊滅的打撃を受ける。しかし、それは一時的なもので、私がフィールドとしていた場所については、徐々に回復してきている。河川敷は広大で、おそらく資源量は豊富と言って良いと思う。山菜としての採取が少々広まっても問題ないと考えている。

なお、ネギの仲間は、分類ではユリ科と思っていたが、近年はヒガンバナ科とされているようである。

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