ススホコリ

執筆 稲葉一明   掲載 2018年04月07日 11時13分   カテゴリ たじまのしぜん » そのほか

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ススホコリ Fuligo septica
変形菌綱, モジホコリ目, モジホコリ科 ススホコリ属
 



 変形菌。ススホコリ。
動物でも植物でも菌類でもない変形菌(粘菌)の仲間。主に朽ち木の中などで微生物等を食し生活していているが、繁殖のために胞子を飛ばしやすい場所へ這い出てきて、子実体を形成する。その時に我々は彼らを目にすることが容易になり観察するチャンスとなる。移動中の変形体や子実体は、木の幹や、石の上、切り株の上などで見かけることが多い。
ススホコリの子実体は黄色くて、卵焼きや汚物を連想させる不整形な塊り。変形菌の子実体は小さいが形が特徴的で美しいものも多いが、こいつは全然違うイメージである。

子実体の周りには変形体が這ってきた痕が付着している。





日本変形菌類図鑑の説明では、子実体は着合子嚢体型または屈曲子嚢体の累積した型,高さ約3cm,長さ約10cmまで,ときにずっと大きくなる。皮層は黄色でときに欠けるとのこと。
変種としてキフシススホコリFuligo septica var. flavaというものがある。図鑑やネットではこちらもよく紹介されている。昨年ススホコリらしきものに3回ほどであったが、当初はキフシススホコリかと考えていた。ススホコリとキフシススホコリとの違いは、子実体の内部にある細毛体の一部で粒状の石灰を含んだ部分である「石灰節が黄色いもの」をキフシと区別するとのことなので、写真の個体が変種のキフシかどうかはよくわからない。ここでは基本種のススホコリとした。

甲虫類がかじりに来ているのだろう。





北アメリカで,ススホコリが大発生し、黄色い変なものが微妙に動いているようで電信柱を登っているなど未知の生物ではないかと大騒ぎになったとか、南米ではこれを食する地域があるとか、話題性の大きい種である。食べてみようとは思わない。



 クワガタを飼育していたら、腐葉土からススホコリの変形体が出てくることがわりとあるようだ。言い換えると、ススホコリは飼育も可能ということ。野外で変形体を捕獲して家で飼育すると楽しいらしい。環境が合わず飼育に失敗すると、ススホコリは単に死んでしまうのではなく、子実体を形成して胞子を飛ばし、その世代を終了させる。


飼育に失敗しても子実体形成が観察できるし、死んでしまって可哀そうということにもならないので良いペットかもしれない。粘菌類を飼育する愛好家が世の中にはいらっしゃるようであるが、私も機会があればチャレンジしてみたい。餌はオートミールとか。

ヌカホコリ

執筆 稲葉一明   掲載 2018年03月03日 12時31分   カテゴリ たじまのしぜん » そのほか

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ヌカホコリ Hemitrichia clavata
変形菌綱,ケホコリ目,ケホコリ科,ケホコリ属
 糠埃



 変形菌。ヌカホコリ、柄があり群生、密生。高さ約2弌子嚢は洋梨形。成熟すると細網体が露出し杯状体の上に乗るような形になる。細網体は杯状体から離脱する場合も多いようだ。



 変種としてホソエノヌカホコリ Hemitrichia clavata var.calyculataがあり、ヌカホコリとは別種との見解もある。こちらは杯状体がより浅く、裂開後は反転し、細網体が杯状体と強く付着、柄は円筒状で上部は広がらず、より散生するとのこと。写真のものは、複数個所で撮影しており、どちらなのか、両方あるのかよくわからないが、散生している場合もあったし、杯状体が反転しているものもあった。細柄と杯状体の反転は図鑑の記載とは一致していないように感じる。だとすれば、同一種の中の変異といえるかもしれない。ネットではホソエノヌカホコリとしての紹介の方が多くみられる。

群生していない。





群生している。





細網体が離脱し杯状体のみのものが見られるが数は少ない。





細柄。





細柄ではない。杯状体の反り返り反転が見られる。











秋に朽ち木上などに出てくる。比較的出会いやすい変形菌だと思う。

ウツボホコリ

執筆 稲葉一明   掲載 2018年02月03日 17時00分   カテゴリ たじまのしぜん » そのほか

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ウツボホコリ Arcyria denudata
変形菌綱,ケホコリカビ目(Trichiida ),ウツボホコリ科,ウツボホコリ属
  靫埃



ウツボホコリ、変形菌の一種である。
和名のウツボ(靫)は、魚のウツボ(靭)ではなく、矢を入れて背に負う細長い入れ物のことで、形から連想されたもののようだ。



未熟時のソーセージのような形の子嚢のなかで圧縮されていた細網体が、成熟とともに先の方から伸びだして、胞子を飛ばし、やがて細網体がたわしの塊のような感じになる。若い子嚢は赤褐色が強く、老熟とともにくすんだ褐色となるが、色の変異は広い。子嚢の伸びる方向は上下斜め関係無いようである。


子実体の形成に失敗したものが見られる。

 



胞子につられるのか、小さな甲虫、陸生巻貝、ダニの仲間がよく見られる。






 




こちらは、同じ変形菌で別種のおそらくツヤエリホコリの子実体と混在して発生している。にぎやかな小さな世界。




ウツボホコリは変形菌のなかでもよく見られる種のようで、世界に広く分布する普通種。但馬においても普通種だと思う。
春から秋、朽ち木などに群生。子嚢は6伉度まで。
よく似たものにコウツボホコリ、キウツボホコリなどが知られている。

ムラサキホコリの一種(おそらくオオムラサキホコリ)

執筆 稲葉一明   掲載 2018年01月03日 19時13分   カテゴリ たじまのしぜん » そのほか

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 ムラサキホコリの一種 Stemonitis sp.
 (オオムラサキホコリ❓ Stemonitis splendens Rostaf)
 アメーボゾア界,変形菌門,変形菌綱,ムラサキホコリ目,ムラサキホコリ科,ムラサキホコリ属  大紫埃


 昨年7月から変形菌を観察している。変形菌、粘菌とも呼ばれる。
生物の分類で、界のレベルでは植物界、動物界、菌界などが身近だが、現在は12界ほどに分類されるのが有力のようだ。少し昔までは、植物界と動物界の二つに分けられていたが、菌界をはじめ、近年すごく増えている。変形菌は菌界にあらず、「アメーボゾア界」に属されている。
 変形体と呼ばれる多核のアメーバ状栄養体が、移動しながら微生物などを摂食する動物的性質を持ち、一夜にして変身し、菌類のように子実体を作って胞子を飛ばし繁殖する生物。その形、色彩は多様で、魅力的。変形菌について、概要さえもとても書ききれないが、我々とは界のレベルで違う生き物。しかし、わりと身近に存在する、しかも人間の生活とはほとんど関係しない、それでいて観察してみると非常に興味深い生き物である。

 変形菌の観察は、変形体であったり、子実体であったり、その変化の途中の状態のものを主な対象とすることになる。変形体は時に遠方からでも確認できる大きさであることもあるが、子実体は多くの場合ミリ単位の小ささである。だから地面に這いつくばって観察することが多い。とりあえずルーペで拡大してみる。写真撮影は三脚、マクロレンズ、接写リング、多灯ストロボ、時にベローズなどの機材が必要となる。キノコ以上に厄介。出会えた時の喜びは大きい。
 写真は、ムラサキホコリ科のおそらくオオムラサキホコリ。高さ約2僉∧舛黒光していて短い。コケの上にいる様は、サンゴかケヤリムシを思い出した。驚いたことに、少し動いている。子実体が目視で分かるような速さの動きはできない。マルヒメキノコムシ?が食事をしていて、彼が単子嚢体を動かしていたのだ。体中、胞子だらけになっている。胞子の拡散にも貢献しているのだろう。
 
 こちらは、子実体形成にてこずったのか、単子嚢体がくっついている。











 翌日見に行くと、かなり開いていた。上側に白い膜状のものが見えるが、変形体が這ってきた痕跡である。胞子を飛ばすために高いところで這い出してきて、ここで変身したのである。ここにもマルヒメキノコムシ?がいる。どこからともなく、胞子につられてやってくるのだろう。

ヌメリスギタケモドキ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年12月03日 12時39分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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ヌメリスギタケモドキ   モエギタケ科 スギタケ属
滑杉茸擬    (Pholiota aurivella)

春〜秋に広葉樹の立木・枯木に発生、木材腐朽菌。カサの径は5〜12冂度、まれに15儖幣紊砲覆襦

カサは強い粘性を持つが、柄に粘性はない。近縁のヌメリスギタケは柄も粘性を帯びることで区別される。




カサに先の尖った鱗片が見られ、中心部よりも外側に多い。幼菌時にははっきりしているが、成熟とともに目立たなくなる。ツバは不完全で消失しやすい。








同じスギタケ属で、同じく古木に発生するスギタケ、スギタケモドキ、地上に発生するツチスギタケとよく似た仲間が多く、前2者は昔は食菌とされていたが中毒報告もあり現在は毒菌とされる。また、ツチスギタケは明確な毒菌とされている。分類がはっきりせず中間型とかもあるようで、さらに人によっては当たる場合もあるなど、難しい仲間であるが、ぬめりがあれば、ほぼ大丈夫のようである。

ナメコと同属でもあり、ぬめりが強く味、歯ごたえともに良好。多収も期待でき良菌と思う。





ツノフノリタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年11月04日 10時59分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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ツノフノリタケ   アカキクラゲ目 アカキクラゲ科
角布海苔茸    (Calocera cornea )
黄色〜橙黄色の高さ1.5僂曚匹両さなキノコ。少し曲がって先がとがっている。分岐するものも多い。朽ち木上に単生から束生、散策道の木材や古くなった木製ベンチなどに発生していることもある。

少し似たキノコにツノマタタケがあり、こちらの方がより多くの図鑑で紹介されていること、また、ツノマタタケの方がよく見かけることから、よく観察しないとツノマタタケと誤認して、ツノフノリタケと気が付かずに通り過ぎてしまいやすい。



和名の由来は、角のような形で、海藻である「布海苔」とよく似ているためである。布海苔はあまり馴染みがないので、角を振っているように見えるためツノフリタケと勘違いしておりました。
小さいけれど朽ち木に発生する様子は美しい。
食毒不明、食用の価値はないが飾りにはなると思う。

ツキヨタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年10月08日 20時03分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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ツキヨタケ   ハラタケ目 キシメジ科
月夜茸    (Omphalotus japonics)




毒キノコによる中毒は全国で毎年発生している。中でもツキヨタケによる中毒が最も多く、厚生労働省の資料によると過去10年間で患者数は746名に達しておりキノコ中毒の約半数を占めている。優秀な食菌であるシイタケ、ヒラタケ、ムキタケと似ており、全体に地味で毒々しくみえないこと、縦によく裂ける、不快なにおいや味がない、一か所で大量に採取されることなどが中毒多発につながっている。食後1時間程で嘔吐、下痢、腹痛など中毒症状が現れ、大部分は数日で回復するが死亡例もある。
ツキヨタケは晩夏から秋にかけて主にブナの枯れ木に群生。シイタケとは柄がないことから、またヒラタケ、ムキタケとは発生時期が早いこと、傘の色が茶色であることから区別できる。

決定的なのは、裂いてみて根元に黒いしみがあればツキヨタケに間違いない。これらから、慣れれば判別は容易と言えよう。




傘の色はつやのある茶色が多いが、ネット情報では薄いピンク色に近いものがあるとのこと。今回、その薄い系統に出会えた。色だけ見るとツキヨタケのイメージと違うが、色以外はツキヨタケそのものである。









ツキヨタケに小さなハエがたくさんたかっている。





ツキヨタケを家に持って帰って机の上に置いておいた。3日後、ツキヨタケはかなり水分が抜けて、赤い幼虫がはい出していた。最初見た時は既に死んでいるのかと思ったが、電気をつけた明るさの刺激のためか、やがてもぞもぞと動き出した。驚いたことに体をひねって5cmほどジャンプするのである。


ツキヨタケは発光するので夜間はぼんやり光って見えることでも有名。ヒダに発光成分を有しており、夜間はぼんやり光って見える。夜に光るキノコとして聞いたことのある人も多いのではないか。ツキヨタケという名前は、江戸時代後期の「坂本浩然」という医者・植物学者が名付けたそうで、現在でも標準和名として使われている。



ツキヨタケには4、5回であったことがあるが、夜に観察したことがないので光っているところは見たことがなかった。今回は持って帰って撮影してみたが、なかなかきれいに光ります。写真は実際の見え方をよく表していると思う。暗さに目が慣れてくるとこんな風に浮かび上がってくる。いつか真っ暗な森の中で見てみたい。家の中で見るよりもずっと幻想的ではなかろうか。

コイヌノエフデ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年09月02日 10時24分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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コイヌノエフデ  スッポンタケ目 スッポンタケ科 
子犬ノ絵筆   (Jansia borneensis)




コイヌノエフデ。主に夏、林内に単生〜群生する。高さ約4〜5cm、上部は赤褐色で、下部の柄の部分と明瞭に境界がある。中は空洞。幼菌時は白い卵状で、成長するとツボとして根元に残る。



かわいらしい和名である。スッポンタケの仲間で、図鑑を見るとシマイヌノエフデ、キツネノエフデ、キツネノロウソク、キツネノタイマツ、、、楽しい和名がたくさんある。その中の一つ。

写真のものは、下部の柄の部分もオレンジ色がかっている。下部が白いものをコイヌノエフデとし、オレンジ色のものを別種としてウスキコイヌノエフデ、あるいはコギツネノエフデとして分類する説もあるようだ。



写真のものではまだ表に出てきていないが、胞子を形成する基本体(グレバ)は黒褐色の粘液化し、それが染み出てくるので、筆にインクが付いたようになる。動物たちがそれを絵筆として使うということが連想されのが和名の由来であろう。ユニークな形とかわいらしい和名、森の中で鮮やかな色彩。たまに出会う楽しいキノコである。
無毒のようであるが、食用価値は無いというのが一般的な評価。

シロホウライタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年08月05日 11時46分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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シロホウライタケ
 キシメジ科、シロホウライタケ属
 白蓬莱茸 (Marasmiellus candidus)



カサの径は1〜3冂度、白くて小さくてかわいいキノコ。
カサの皮は薄く膜質、粉を噴くが光沢もある。ヒダは疎、分岐、脈絡がある、柄も白色であるが、下部は成熟すると黒みを帯びる。近縁のアシグロホウライタケは柄の上部まで明瞭に黒い。


純白で透明感もあり、光が透けて美しい。
夏から秋、枯木、枯枝に群生。

シロカイメンタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年07月08日 08時49分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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シロカイメンタケ   サルノコシカケ科
白海綿茸   (Piptoporus soloniensis)
初夏から秋に広葉樹・針葉樹の倒木に発生する腐朽菌。大型のサルノコシカケで大きいものは20センチ径を超える。


シロカイメンタケという名前ではあるが、幼菌のときは赤褐色が強いく、成熟するにつれて白色となる。




特に幼菌時は同じ赤系統のマスタケと似ているが、シロカイメンタケは強靱で裂けにくく、マスタタケはもろく砕けやすいので判別できる。また、シロカイメンタケは初夏、マスタケは秋の発生が傾向として見られる。



成長時カサの縁部は柔らかいため、拡大するにあわせ接触する異物を取り込んで、植物の茎や枝などがカサを貫通している場合が見られる。




有毒との記載は見当たらず、味見をすると酸味があるらしい。幼菌の時であれば食べられないことはないと思うが、食べてみようとは思わない。不食。

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