ミナミメダカ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2016年09月29日 22時33分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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ミナミメダカ   ダツ目 メダカ科

 日本に生息するメダカは、キタノメダカとミナミメダカの2種とされています。丹後・但馬地方はそれぞれの分布域の境目にあたり、両種とも生息しています。キタノメダカについては、2013年7月の投稿http://www.tajima.or.jp/modules/nature/details.php?bid=481
を参照してください。
 今回はミナミメダカです。分布域は、日本海側では京都府以西、太平洋側では岩手県以西となっています。





 生息環境はキタノメダカと同じです。小川や田んぼ横の水路、沼地など、流れの緩やかな水域に住んでいます。これらの写真は、但馬のとある河川流域で撮影しました。但馬ではそれぞれの河川流域ごとにメダカの種類や遺伝的なタイプが異なります。それぞれの地域のメダカを大切にしなければなりません。


 上:ミナミメダカ 下:キタノメダカ

 キタノメダカとミナミメダカの、気になるその見分け方です。両種はとても似ているので、ぱっと見ただけでは分からないでしょう。背びれにある大きな切れ込みが浅いか深いかで見分けることもできるそうですが、それよりも確率が高いのが、尾びれの付け根にある黒い部分と言われています。


左:ミナミメダカ 右:キタノメダカ

赤線で囲った、この黒い粒状の集まりが、ミナミメダカでは二つの楕円を上下に並べたようになっていますが、キタノメダカでは弓状です。(キタノメダカの方は鱗の黒い模様があるので注意)今回採集した個体全てにこの黒色の斑紋があった事と、採集地がミナミメダカの分布域であるという事から、ミナミメダカと同定しました。


 水路の水草の陰に潜むミナミメダカ

 今回撮影した生息地は、あまり広くない水田エリアです。限られた場所で何とか存続しているような状態です。宅地造成などが行われれば、瞬く間にここの群れは消滅してしまうでしょう。また、メダカたちはそれぞれの地域ごとに環境に適応して進化してきており、遺伝的にも異なります。ペットショップで購入したものや、他の地域のメダカの放流は、その特性を壊してしまう事が考えられるので、止めなければいけません。
 それぞれの地域で生き延びてきたメダカたちが滅びることがないよう、私達は気を付けなければなりません。

 写真・文 コウノトリ市民研究所 北垣和也

ハグロソウ

執筆 菅村定昌   掲載 2016年09月21日 22時18分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

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ハグロソウ キツネノマゴ科



 この写真は、標高10m以下のところで撮りました。
 ハグロソウは、もう少し山深い標高の高いところの植物だと思っていたのでちょっと驚きました。もっともすぐ隣に標高600mあたりで見たことがあるジャコウソウも生えていたのでそんなものなのかとも思いました。

 

 ハグロソウは、日本には仲間が少ないキツネノマゴ科の植物です。キツネノマゴ科は熱帯には多数の種が生育しますが、日本にはほんのわずかの種しか生育しません。キツネノマゴ科の植物は兵庫県には5種類、但馬には2種類しか生育しません。

 但馬にはキツネノマゴとハグロソウの2種類が生育します。


キツネノマゴ

 キツネノマゴは、道端などに普通に生えています。8月〜10月に小さな淡紅紫色の花をたくさんつけます。


ハグロソウ

 ハグロソウは、山裾などの少し湿った半日陰の場所に生えています。数は多くありませんが珍しいというほどでもありません。8月〜10月に2〜3cmの紅紫色の花を数個つけます。


左;キツネノマゴ、右;ハグロソウ 30mほど離れていたところに生えていた。

 ハグロソウの花は、唇状の2枚の花びらでできているように見えますが、萼が5つに分かれていることから分かるように本来は5数性でゆ合によって2枚になっています。



 ハグロソウと聞いてきっとこれは「お歯黒」だろうと思いました。調べてみると確かにそんな意見もあるようです。「歯黒草」ですね。しかし、それだけではなく「葉が黒い」という意見もあります。「葉黒草」です。
「歯黒草」は、花びらの内側にある赤褐色の模様を見立てた物なのでしょう。
 「葉黒草」は、字の通りで葉が黒っぽいことからの名前でしょう。


確かに比較すると黒っぽいが、この程度の植物はたくさんある。

 いずれにしても名前の由来として正しいのかどうかは不明です。

オオルリボシヤンマ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2016年09月13日 10時11分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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夏のトンボの代表格はヤンマの仲間で、オニヤンマやギンヤンマといったポピュラーな種は子供たちの人気の的です。虫好きの大人にも人気のヤンマが、今回紹介するオオルリボシヤンマです。

豊岡盆地では山際のため池で少数が生息しており、9月に入ってから古くから知られている産地で確認できました。7月、8月の盛夏の間、何度か通ってチェックしましたが、暑い時期には見つけることができませんでした。

このオオルリボシヤンマを、9月10日のコウノトリの郷公園のビオトープ池で確認しました。ここでは、おそらく初めての観察記録になると思います。


オニヤンマやギンヤンマのように、遠目からでも分かる色模様が目立たないため、うっかりすると見逃してしまいそうです。体長はギンヤンマと同じか、少し大きい程度。望遠レンズで引き寄せてみると、このトンボの美しさが分かります。胸の条紋は緑色で、腹部のストライプや斑点がルリ色。複眼もルリ色です。色は個体差があり、緑っぽいのや青っぽいのがいます。


池の上を行ったり来たりしながら、自分の縄張りを宣言しています。速いスピードで直線的に飛び、観察中はホバリングを見せることもなかったので、動体撮影はなかなか難しいものがありました。


このときは、おそらく3頭のオオルリボシヤンマがいたと思います。ときどき2頭、3頭が激しく空中で絡み合うシーンが見られました。縄張り争いか、メスを巡る攻防かは分かりませんでした。

9月に入ってから2ヶ所でオオルリボシヤンマを確認したことから、本種の豊岡盆地での出現時期が推測できそうです。また、コウノトリの郷公園という新たな産地が加わり、本種の勢力拡大の可能性にも今後注目したいと思います。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

オオシロカゲロウ

執筆 稲葉一明   掲載 2016年09月04日 14時13分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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オオシロカゲロウ  カゲロウ目 シロイロカゲロウ科Ephoron shigae (Takahashi)
大白蜉蝣
通勤帰宅途中、R312八鹿町下網場付近で、夏だというのに大きなボタン雪が降っているような錯覚に陥った。白い風花が舞っている。地面にも一面に落ちている。しかしすぐに見えなくなった。

走行中のため観察はできない。何か資材が道路に投げ出されたのかな、ブロイラーの羽が大量に散出したのかななどと思いながら、しばらく行くとまた、宿南あたりで同じ光景が。江原付近でも少し見られた。同じ車から時々漏れ落ちているのかなと思いながら進む。土居の踏切付近でようやくじっくりと観察することができ、「カゲロウの仲間である」と推測された。

カゲロウの大量発生のことはうっすらと知っていた。こういう機会は滅多にないであろうと思いながら、次の遭遇を期待しながら車を走らせる。しかし次がなかなか出てこない。



円山川発生のカゲロウであれば、旧豊岡市内の汽水域エリアではもう出ないのだろうと思い、帰宅モードを観察モードに切り替え思い切って引き返すこととした。おそらく土居の踏切付近については、マックスバリューの照明に集まっているのだろうと予想。
案の定、駐車場の照明機付近は一面カゲロウだらけであった。

調べてみるとこのカゲロウ、「オオシロカゲロウ」と言って、河川中下流域に生息し、幼虫時は川底の砂に潜って生活。9月の上旬の夕刻に一斉羽化する。短時間のうちに交尾し産卵、羽化後数時間で一生を終える。川に産み落とされた卵は川の中の石などに引っかかり、来春に孵化するとのこと。


カゲロウの命は短いといわれるが、それは我々が目にする羽化後の成虫での命が短いということなのであるが、特にこのオオシロカゲロウは短い。1〜2時間と記載されている資料が多い。



私が最初に八鹿で気づいたのが19時50分ごろ。その日の観察を終えたのが21時半ごろ。その時点では、飛ぶことはできないが地面で羽ばたいている個体は感覚的に50%程度か。まだ元気に飛んでいるものもいたが、羽化後数時間の命というのはオーバーな表現ではなかろう。


体色はほぼ白〜透明であるが、メスは胴体に黄色い卵塊を2つ持っており、やがて尾端が破れて徐々に出てくる。なので、しっぽが二本に分かれているように見れる時期がある。私にはこのことが観察当初は理解できなかった。黄色い卵塊がカゲロウの大きさと比べると非常に大きいので、卵塊であると思いつかなかったからである。








時間経過とともに黄色い卵塊が産み落とされて地面に散乱する数が増えていく。おなかが空っぽの胴の短い個体が増えてくる。それらはもう羽ばたかない。カゲロウ側の想定としては力尽きて落ちるのが川の水面で、母体は溺死するが卵塊は水中に落ちていくということらしいが、照明に誘引されたために駐車場の地面に散乱しているということのようだ。

一生の大部分である半年程度の幼虫期間を水底ですごし、最後の数時間に飛び立ち、交尾し、産卵する。オオシロカゲロウの大イベントである。




羽化は年一回でおおむね一週間くらいであるが、大部分が一晩に同調するらしい。
マックスバリュー駐車場は、円山川から250mほどの場所。照明に誘引されて集まった大量のオオシロカゲロウたちであるが、生涯の目標ともいえる一大イベントを果たしたものの、本来の目的である次世代を残すという点では、ほぼすべての卵塊は川へ到達しないだろうから大失敗である。
卵塊は黄色が美しい。今年の大イベントは9月2日で、1日の帰宅時は全く気が付かなかったし、翌3日も確認しに行ったが照明に飛翔している個体はわずかであった。

蜘蛛の巣に引っかかっている。

















生態的には、個体群により雌雄比がほぼ1:1のもの、メスが大部分のもの、すべてメスの個体群もあるようで、メスのみの単為生殖を行うよう進化している可能性があるようだ。
円山川の個体群はというと、今時点の私には何とも言えない。

しばしば大発生し、灯火に集まる習性で局所的に集中するため、オオシロカゲロウの集団のために視界不良で交通渋滞が起きたり、死体が雪のように積もり、卵塊に含まれる油成分のために車がスリップし事故が発生することがある。



大発生すると雪のように積もるらしい。

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