マルバスミレ

執筆 菅村定昌   掲載 2017年03月20日 21時21分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

本文を開く
本文を閉じる
マルバスミレ スミレ科



 数年前にコウノトリ文化館でスミレの企画展をしました。このスミレの写真はスライドでしかありませんでした。ということは、20年ほど前に撮ってそれ以後写真を撮っていないということになります。当時、但馬の高い山を通る林道に車を止めて林縁の崩れかけたところに入るとわりと簡単に見ることができたと思います。なので、特別に珍しいスミレとは思っていませんでした。



 2015年に『近畿地方のスミレ』という本が出ました。マルバスミレのところを読んでみると減少率が最も高く、滋賀県では絶滅した可能性が高いと書かれていました。そこで、一昨年にかつて見た場所を訪れてみました。4カ所回りましたがどこにもありませんでした。やっぱり減っているんだなと思いました。



 昨年、別のスミレを見るついでにかつてあった場所の周辺を見て回りました。
 ありました。かたまっては生えていませんが、離ればなれに百以上の個体がありました。少し離れたところにももう一群落ありました。どんな場所に生えているかも思い出しました。今年は、ちょっとまじめに探してみたいと思います。



 主に太平洋側の内陸側に生育するそうですが、但馬にも生育します。葉が丸いことからマルバスミレという名前になっています。4月下旬から5月中旬にかけて白い目立つ花をつけます。茎や葉や距にも毛が生えています。


ウミスズメ、ウトウ、ミツユビカモメ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年03月10日 11時11分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

本文を開く
本文を閉じる

2月半ばの竹野浜で、とても珍しい海鳥を間近に観察するチャンスがありました。まずはウミスズメです。チドリ目ウミスズメ科の鳥で、海岸から離れたはるか沖合で海上生活をする仲間です。

今回、浜辺近くに寄ってきたのは理由があります。おそらく、大型魚に追われて浜まで逃れてきたカタクチイワシの大群に、それを餌としている海鳥が一緒に付いてきたのです。


ウミスズメはスズメの名がありますがスズメより大きく、ツグミぐらいのサイズです。黒と白のモノトーンの羽は、夏羽では喉の周辺も黒くなって顔の黒とつながります。夏羽移行中の個体もたくさん見かけました。

潜水採餌をするウミスズメの足は尾羽の真下あたりに小さく付いており、水面を蹴ってすぐに水中に突っ込んで行きます。水中での推進はもっぱら翼を使い、「海の中を飛ぶ」鳥といったイメージがふさわしいです。


ウミスズメの大きな群れに混じっていたのが、沿岸では非常に珍しい観察例になるウトウでした。ウミスズメ科の仲間ですが、ウミスズメより大きくコガモくらいのサイズです。

北海道の天売島がウトウの有名な繁殖地で、北海道周辺の海にいる鳥のイメージが強いですが、今回の観察から、山陰海岸の沖合でもウトウが生息していることを認識させられました。ユニークな顔つきが印象的な海鳥でした。


もう一種、カタクチイワシに付いてきたのがミツユビカモメです。これも沖合で暮らす海鳥で、沿岸で普段目にすることのないカモメです。ウミスズメが潜水採餌するのに対し、カモメは水面近くの小魚をくちばしで捕まえます。

カタクチイワシの群れは徐々に縮小拡散した様子で、1週間ほどでこの騒ぎも収まって行きました。珍しい記録でした。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信



キチャワンタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年03月01日 00時10分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

本文を開く
本文を閉じる
キチャワンタケ   チャワンタケ目 ピロネマキン科 キチャワンタケ属 
        (Caloscypha fulgens)




キチャワンタケ、名前の通り茶碗形でレモン色から黄色が美しい。直径 2-3 cm程度で、早春から春に発生する。散生から群生。針葉樹林地内に多いようだが写真のものは針葉樹交じりの雑木林。



もろく椀の外側に少し青緑色が見られ、傷つけると黄色から青緑変する。青緑は濃いものからあまり色が出ない系統もあるようだ。




小さく、もろく、色合いからも食用に適さない。食毒不明。
黄色から青緑変しないものでキンチャワンタケという種もある。




チャワンタケ目の仲間は分類ではマツタケなど一般的なキノコと同じ菌界の真菌門であるから同じキノコの仲間といえるものの、少し別の子嚢菌亜門で盤菌綱に属する。同じ脊索動物門であるが、脊椎動物亜門の人間と尾索動物亜門のホヤぐらい別の生物である。

ルリビタキ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年02月26日 18時30分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

本文を開く
本文を閉じる

但馬で越冬した渡り鳥たちが、そろそろ北へ帰る準備を始める頃です。そんな冬鳥の中で一際存在感のある「青い鳥」がルリビタキです。冬鳥は赤系の色を持つアトリ科の小鳥が多く飛来しますが、冬の青い鳥は本種以外に思い浮かびません。

ルリビタキはヒタキ科の鳥で、スズメとほぼ同じ大きさ、冬の間は里山周辺で暮らしています。オスの羽根は、この写真のように鮮やかなルリ色で、脇のオレンジ色がアクセントカラー。


こちらはルリビタキのメスです。多くの鳥と同じように、メスは地味な褐色をしています。尾羽の付け根に少し青い色を持っているのと、脇の橙色はオスと共通です。

ルリビタキは普段、林の中にひっそり潜んで姿を見せませんが、餌を求めて出て来るときが観察チャンスです。道路際のウルシの実や、路上の小さな虫を食べにやってきます。


さて、ルリビタキの識別で注意が必要なのは、若いオス個体です。オスは若い間はメスと同じような羽根色をしており、次第に青い羽根に生え変わって行くのです。この写真の個体は、メスに比べて全体的に青っぽい色が滲んでいることでオスだとわかります。

ルリビタキは冬の渡り鳥というより、漂鳥として区分される短い移動を行う鳥です。繁殖期には高い山の中や、少し北のエリアに移動します。但馬の普段の生活範囲では、冬の間でしか観察できない、美しき「青い鳥」なのです。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信


シシガシラ

執筆 菅村定昌   掲載 2017年02月20日 22時00分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

本文を開く
本文を閉じる
シシガシラ シシガシラ科



シダ植物は、どれもこれもよく似ていて難しいものです。そんな中にも分かりやすいものがあります。それがこのシシガシラです。海岸沿いの低地から高い山まで至るところに生えていて一目で分かる特徴的な形をしています。



葉は放射状についていますが、斜面に生えていることが多いので、たいがい斜め下方向に垂れ下がっています。葉は大きなものは長さが40cmくらいあって、両側がくしの歯のように切れ込んでいます。こんな形の葉のシダは兵庫県にはシシガシラ、ミヤマシシガシラ、オサシダの3種類しかありません。シシガシラ以外は、生育する場所が限られているので、私たちが普段生活する中で出会うのはシシガシラだと思ってまず間違いありません。


ミヤマシシガシラ 日本海側の高標高地にわずかに生える。

日本では至るところに普通に生えているシシガシラですが、日本以外には生えていません。シシガシラは日本の固有植物なのです。


シシガシラの葉の基部。下のミヤマシシガシラと比べると羽片の形と葉柄の色の違いがよく分かる。

 シシガシラの名前は、葉の生えている様子がシシ(ライオン)の頭(たてがみ)のように見えるというところから来ているそうですが、葉柄に密生する鱗片の様子がシシ(イノシシ)の頭のように見えるという説もあるそうです。なるほど、イノシシもシシですね。


ミヤマシシガシラ




 
 
 

越冬マガン

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年02月13日 10時56分   カテゴリ たじまのしぜん

本文を開く
本文を閉じる
豊岡盆地で越冬中のマガンの飛来状況を、記録として書き記しておきます。


2016年12月15日
冬期湛水に向け、トラクターで土起こし中の伊豆地区の田んぼに、10羽のマガンが飛来しました。この群れは、短い時間で飛び去りました。


2016年12月22日
一週間後、冬期湛水が始まった同地区の田んぼに、4羽のマガンが飛来しました。先の10羽の群れの一部かもしれませんし、別の越冬グループかもしれません。外観から判断して、この4羽は少し若いマガンのグループです。

成鳥が付いていないせいもあるのか、非常に警戒心の強い群れで、田んぼ1枚分の距離をとっても飛び立ってしまいます。遠くからの観察しかできません。


2016年12月31日
大晦日の伊豆地区堪水田、4羽のマガンが5羽になっていました。別のはぐれ鳥が、4羽の群れを見つけて合流したようです。以降、年があけてからも、この5羽のマガンは同じエリアで冬を過ごしています。


2017年1月29日
1月の終わりにまとまった雪が降りました。堪水田という安全地帯と、隣接する二番穂の田んぼの餌場を、マガンはうまく使い分けながら、やがて訪れる北帰行の時を待ちます。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

サガリハリタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年02月01日 01時30分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

本文を開く
本文を閉じる
サガリハリタケ   ヒダナシタケ目 コウヤクタケ科
 懸垂針茸         (Radulomyces copelandii)




広葉樹の枯木に膏薬状に樹皮に張り付くように広がり、1冂度の針状の突起を垂らす。背着生のキノコ。




幼菌時は白く少し青みがかって透明感もあり、鍾乳石を思い出すような感じで美しい。




やがて黄褐色に色づ老熟すると針状突起が遠目には毛が密生しているように見える。
分類が進むにつれ変遷しており、図鑑等により記載が違う場合が多い。以前は属名がコゲチャハリタケ属あるいはサガリハリタケ属Mycoaciaだったが、現在はアカギンコウヤクタケ属Radulomycesとされているようだ。



特徴的なキノコであるが普通種で豊岡周辺でもよく見かける。
 

トラツグミ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年01月27日 12時39分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

本文を開く
本文を閉じる

今冬はツグミの数が多いです。年によってはまったく渡って来ないこともあります。里を代表する冬の渡り鳥で、放置された柿の実にたくさんのツグミが寄ってきます。


ツグミの仲間でもトラツグミは一年中いる留鳥です。雪のない季節は山の中や暗い林の中にひっそり暮らしており、しかも夜行性の鳥なので姿を目にする機会はほとんどありません。「ヒーーン・ヒーーン」と長く伸びるか細い声は、日中でも山の中でたびたび耳にすることがあります。

そんなトラツグミも、雪が降ると餌を求めて山から出てきます。この写真は林縁のシロダモの赤い実を食べているところです。


ウルシの実は、いろいろな野鳥の冬の食料になります。ヒヨドリ、シジュウカラ、ツグミ、シロハラ、ジョウビタキなどがよく食べに来ます。トラツグミもやってきました。


雪のない季節、トラツグミは土の中や落ち葉の下をひっくり返して、ミミズや昆虫類を餌にしています。雪が降ると木の実を食べに来ますが、雪の積もっていない湿地を見つけて、湿った泥の中の生きものを探して食べます。

大雪になると、森の生きものたちは餌を求めて人目につく場所に出てきます。冬の野鳥観察は大雪のときこそ出会いのチャンスが増えます。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

フジバカマのお引っ越し

執筆 菅村定昌   掲載 2017年01月22日 20時37分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

本文を開く
本文を閉じる
フジバカマ キク科



 秋の七草で知られている植物ですが、生育場所が失われて絶滅危惧種になっています。畑などに栽培されているものや花屋で売られているものは、フジバカマと呼ばれていますが、本当のフジバカマではないと言われています。



 フジバカマは兵庫県では、揖保川、千種川、加古川、武庫川、円山川などで知られています。但馬では、大屋町、豊岡市、城崎町で記録されています。現在、大屋町では現状不明。城崎町も現状不明。豊岡市では、2カ所で消失し、2カ所で健在です。



 豊岡市には比較的規模の大きな群落がありますが、道沿いの非常に人目に立つ場所なのでこれまで写真を公開することは避けてきました。フジバカマの背景から分かる人にはすぐに分かってしまうからです。それを今回公開します。もはや隠す必要がなくなったからです。2004年に大きな被害をもたらした台風23号によって設置が始まった特殊堤の工事がフジバカマ自生地に及び、自生地が消失することが確定したのです。


この地のフジバカマは石垣に生育する。ここから下流に広がることがあるが数年で消えてしまう。


石垣の隙間にがっちりと根を張っている。


少し前まで石垣の縁まで水田があった。稲作のための管理で石垣は日当たりがよい状態で維持されてきた。隙間のある石垣と水田耕作が重なってここにだけフジバカマが生き残ったのだと思われる。


耕作されなくなるとフジバカマは草におされてかつてほどの勢いはなくなった。しかし、予想に反して洪水でヨシが破壊されたあとに広く侵入した年もあった。

 幸いなことにこの自生地は失われますが、種子の採取、苗の育成、移植実験が行われてうまくいっています。移植先の候補も複数検討され、移植後のモニタリングも計画されていますので、なんとか円山川の別の場所で生育できそうです。自生地が失われることが分かったときには、かつて、加古川で行われたように、フジバカマの苗を里親に預けて、種子を送り返してもらったり、校区である五荘小学校や城崎小学校に苗を預けて、河原に植え戻すことも考えましたが、そのようなことをしなくてもいけそうです。

 数年前に小規模ですが、別の場所で生育していることも確認できました。また、保険のためにと、知人の家の庭に移植したものは旺盛に繁茂しています。

コミミズク

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年01月13日 13時27分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

本文を開く
本文を閉じる

円山川河川敷で、2シーズンぶりにコミミズクを観察することができました。年末の夕刻、ヤナギの枝に止まる大きめの鳥を遠くから目撃して、逆光のシルエットでフクロウだと思いました。識別可能な距離まで寄ってみて、それはフクロウではなく、このあたりで冬鳥のコミミズクだと分かりました。

コミミズクは黄色い虹彩が魅惑的で、白い毛で縁どられた丸い顔面が可愛らしいです。


日が落ちると、河川敷の上を活発に飛び回るようになります。獲物は野ネズミ。かつて、コミミズクのねぐら入りの場所を特定し、そこに落ちていた無数のペリット(未消化物の吐き戻し物)を回収して餌生物を調べたことがあります。出て来た頭骨から、餌はハタネズミであることが分かりました。


暗くなるにつれ、1羽だったコミミズクが2羽になり、この時の観察時には3羽のコミミズクが活発に動き出しました。

但馬で冬の河原を餌場にするフクロウ科はフクロウ、コミミズク、トラフズクの3種類がいます。河原のネズミは、日中はノスリなどのワシタカに狙われ、夜はフクロウの仲間に狙われます。つまり24時間、野ネズミは絶えず命を狙われ続けており、たくさんの野ネズミが住んでいないと、その上位にいる鳥たちも暮らしてゆけないのです。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

一番上へ
サイドナビ
サイトマップ