越冬マガン

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年02月13日 10時56分   カテゴリ たじまのしぜん

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豊岡盆地で越冬中のマガンの飛来状況を、記録として書き記しておきます。


2016年12月15日
冬期湛水に向け、トラクターで土起こし中の伊豆地区の田んぼに、10羽のマガンが飛来しました。この群れは、短い時間で飛び去りました。


2016年12月22日
一週間後、冬期湛水が始まった同地区の田んぼに、4羽のマガンが飛来しました。先の10羽の群れの一部かもしれませんし、別の越冬グループかもしれません。外観から判断して、この4羽は少し若いマガンのグループです。

成鳥が付いていないせいもあるのか、非常に警戒心の強い群れで、田んぼ1枚分の距離をとっても飛び立ってしまいます。遠くからの観察しかできません。


2016年12月31日
大晦日の伊豆地区堪水田、4羽のマガンが5羽になっていました。別のはぐれ鳥が、4羽の群れを見つけて合流したようです。以降、年があけてからも、この5羽のマガンは同じエリアで冬を過ごしています。


2017年1月29日
1月の終わりにまとまった雪が降りました。堪水田という安全地帯と、隣接する二番穂の田んぼの餌場を、マガンはうまく使い分けながら、やがて訪れる北帰行の時を待ちます。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

サガリハリタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年02月01日 01時30分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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サガリハリタケ   ヒダナシタケ目 コウヤクタケ科
 懸垂針茸         (Radulomyces copelandii)




広葉樹の枯木に膏薬状に樹皮に張り付くように広がり、1冂度の針状の突起を垂らす。背着生のキノコ。




幼菌時は白く少し青みがかって透明感もあり、鍾乳石を思い出すような感じで美しい。




やがて黄褐色に色づ老熟すると針状突起が遠目には毛が密生しているように見える。
分類が進むにつれ変遷しており、図鑑等により記載が違う場合が多い。以前は属名がコゲチャハリタケ属あるいはサガリハリタケ属Mycoaciaだったが、現在はアカギンコウヤクタケ属Radulomycesとされているようだ。



特徴的なキノコであるが普通種で豊岡周辺でもよく見かける。
 

トラツグミ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年01月27日 12時39分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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今冬はツグミの数が多いです。年によってはまったく渡って来ないこともあります。里を代表する冬の渡り鳥で、放置された柿の実にたくさんのツグミが寄ってきます。


ツグミの仲間でもトラツグミは一年中いる留鳥です。雪のない季節は山の中や暗い林の中にひっそり暮らしており、しかも夜行性の鳥なので姿を目にする機会はほとんどありません。「ヒーーン・ヒーーン」と長く伸びるか細い声は、日中でも山の中でたびたび耳にすることがあります。

そんなトラツグミも、雪が降ると餌を求めて山から出てきます。この写真は林縁のシロダモの赤い実を食べているところです。


ウルシの実は、いろいろな野鳥の冬の食料になります。ヒヨドリ、シジュウカラ、ツグミ、シロハラ、ジョウビタキなどがよく食べに来ます。トラツグミもやってきました。


雪のない季節、トラツグミは土の中や落ち葉の下をひっくり返して、ミミズや昆虫類を餌にしています。雪が降ると木の実を食べに来ますが、雪の積もっていない湿地を見つけて、湿った泥の中の生きものを探して食べます。

大雪になると、森の生きものたちは餌を求めて人目につく場所に出てきます。冬の野鳥観察は大雪のときこそ出会いのチャンスが増えます。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

フジバカマのお引っ越し

執筆 菅村定昌   掲載 2017年01月22日 20時37分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

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フジバカマ キク科



 秋の七草で知られている植物ですが、生育場所が失われて絶滅危惧種になっています。畑などに栽培されているものや花屋で売られているものは、フジバカマと呼ばれていますが、本当のフジバカマではないと言われています。



 フジバカマは兵庫県では、揖保川、千種川、加古川、武庫川、円山川などで知られています。但馬では、大屋町、豊岡市、城崎町で記録されています。現在、大屋町では現状不明。城崎町も現状不明。豊岡市では、2カ所で消失し、2カ所で健在です。



 豊岡市には比較的規模の大きな群落がありますが、道沿いの非常に人目に立つ場所なのでこれまで写真を公開することは避けてきました。フジバカマの背景から分かる人にはすぐに分かってしまうからです。それを今回公開します。もはや隠す必要がなくなったからです。2004年に大きな被害をもたらした台風23号によって設置が始まった特殊堤の工事がフジバカマ自生地に及び、自生地が消失することが確定したのです。


この地のフジバカマは石垣に生育する。ここから下流に広がることがあるが数年で消えてしまう。


石垣の隙間にがっちりと根を張っている。


少し前まで石垣の縁まで水田があった。稲作のための管理で石垣は日当たりがよい状態で維持されてきた。隙間のある石垣と水田耕作が重なってここにだけフジバカマが生き残ったのだと思われる。


耕作されなくなるとフジバカマは草におされてかつてほどの勢いはなくなった。しかし、予想に反して洪水でヨシが破壊されたあとに広く侵入した年もあった。

 幸いなことにこの自生地は失われますが、種子の採取、苗の育成、移植実験が行われてうまくいっています。移植先の候補も複数検討され、移植後のモニタリングも計画されていますので、なんとか円山川の別の場所で生育できそうです。自生地が失われることが分かったときには、かつて、加古川で行われたように、フジバカマの苗を里親に預けて、種子を送り返してもらったり、校区である五荘小学校や城崎小学校に苗を預けて、河原に植え戻すことも考えましたが、そのようなことをしなくてもいけそうです。

 数年前に小規模ですが、別の場所で生育していることも確認できました。また、保険のためにと、知人の家の庭に移植したものは旺盛に繁茂しています。

コミミズク

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年01月13日 13時27分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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円山川河川敷で、2シーズンぶりにコミミズクを観察することができました。年末の夕刻、ヤナギの枝に止まる大きめの鳥を遠くから目撃して、逆光のシルエットでフクロウだと思いました。識別可能な距離まで寄ってみて、それはフクロウではなく、このあたりで冬鳥のコミミズクだと分かりました。

コミミズクは黄色い虹彩が魅惑的で、白い毛で縁どられた丸い顔面が可愛らしいです。


日が落ちると、河川敷の上を活発に飛び回るようになります。獲物は野ネズミ。かつて、コミミズクのねぐら入りの場所を特定し、そこに落ちていた無数のペリット(未消化物の吐き戻し物)を回収して餌生物を調べたことがあります。出て来た頭骨から、餌はハタネズミであることが分かりました。


暗くなるにつれ、1羽だったコミミズクが2羽になり、この時の観察時には3羽のコミミズクが活発に動き出しました。

但馬で冬の河原を餌場にするフクロウ科はフクロウ、コミミズク、トラフズクの3種類がいます。河原のネズミは、日中はノスリなどのワシタカに狙われ、夜はフクロウの仲間に狙われます。つまり24時間、野ネズミは絶えず命を狙われ続けており、たくさんの野ネズミが住んでいないと、その上位にいる鳥たちも暮らしてゆけないのです。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

ハカワラタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年01月02日 12時55分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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ハカワラタケ   ヒダナシタケ目 タコウキン科 シハイタケ属 
        (Trichaptum biforme)




小さなサルノコシカケで、枯木倒木に折り重なるように発生し、白腐れで枯木を分解していく。




普通にみられるが食用に適さずほとんど顧みられないシハイタケ属というキノコのグループの一種。シハイタケ、ウスバシハイタケ、ハカワラタケ、シロハカワラタケの4種が分類されているが、これらは非常によく似ており、特にハカワラタケとシロハカワラタケは同種と見る説が強い。



ハカワラタケは若い時には紫色が出て美しい。




老熟しても簡単には腐らないので紫が消えて干からびたように折り重ねって倒木に付着しているのを見かける機会のほうが多い。




ハカワラタケとシロハカワラタケが同じ倒木から発生している。





ヒダナシタケ目だからヒダはない。管孔面はヒダナシタケ目に多い穴状ではなく、歯牙状、薄歯状になっている。




ハカワラタケ、シロハカワラタケは広葉樹の倒木、古木に発生する。北半球で普通種。
 和名ハカワラタケの漢字表記は歯瓦茸?

ウラジロ お正月によく見ます

執筆 菅村定昌   掲載 2016年12月22日 22時37分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

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ウラジロ ウラジロ科



 ウラジロは、これから目にする機会が非常に多いシダです。といっても山の中とは限りません。鏡餅の下に敷かれたり、しめ縄に使われたりするのをよく見ると思います。あのシダがウラジロです。



 飾り物に使われるのには諸説あります。
 曰く、
「葉の裏が白いところから、こころは白いとか清浄を表す」
「裏の白いところから、白髪を連想して長寿を表す」
「葉が代を重ねて伸びて、しだれるところから、長寿を表す」
 まあ、とにかく縁起がよいということのようです。



 ウラジロは常緑のシダです。低木がまばらに生えるようなところに生えるので葉が落ちる冬にはよく目立ちます。乾燥した斜面で大型のシダがあって裏が粉がついたように白ければまずこのウラジロと思って間違いないでしょう。大群落ができているところもあります。


ウラジロの裏面


葉(正しくは羽片)は、二つに分かれて、そこから新しい芽が出る。

 ただし、同じような場所にやはり同じように裏が白いシダが生えます。コシダです。このシダはウラジロと同じように葉が二岐に分かれるところも似ていますが、写真で分かるように全体が五角形のような形に見えます。


コシダの裏面


コシダの表面
 コシダの方がより乾燥した場所に多いようです。
 
 自然界には、非常に多くあるシダなので栽培は容易なのかと思っていたらかなり難しいのだそうです。造成された斜面にありふれているのですっかり誤解していました。自然というのはなかなか思い通りにはいかない手強いものだなのだと思います。


川虫トビケラの成虫

執筆 上田尚志   掲載 2016年12月21日 10時49分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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コウノトリ文化館のデッキにホタルトビケラの成虫がいました。幼虫は河川上流域の流れの緩い場所に棲み、砂でミノムシのような巣をつくります。成虫は秋に出現します。ここにはババホタルトビケラの生息記録もありますが、大きさからホタルトビケラとしました。ババホタルトビケラは東日本の平地に多く生息する種で、兵庫県ではコウノトリの郷公園でのみ見つかっています。




これはヨツメトビケラ。コウノトリ文化館の上にあるビオトープの横を流れる溝で見つかります。こちらは春に出現し、あちこちの渓流でたくさん飛翔するのが見られます。幼虫は同じような砂の巣をつくります。





ムラサキトビケラは大きく目だつ種類です。これも、文化館のデッキで発見。落ち葉で巣をつくり、里山の緩やかな流れに住みます。

川の中の石をめくると、小さな虫が這いまわります。これはカゲロウとカワゲラの幼虫。トビケラと合わせて代表的な川虫で、淡水魚の餌としても重要です。川に多様な環境があると、川虫も種類と量が多くなります。


               写真(ホタルトビケラ)高橋信  
               写真(ヨツメトビケラ・ムラサキトビケラ)・文 上田尚志

オオハクチョウ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2016年12月13日 10時40分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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今年の10月22日に、久美浜湾内で1羽のオオハクチョウを見つけました。羽が灰色の幼鳥です。おそらく、渡りの途中、親鳥とはぐれてしまったのでしょう。ときどき空を見上げてコーコーと寂しげに声を上げており、西の越冬地に向かう他の渡り鳥と合流できるよう願いました。


2日後の10月24日のことです。自宅近くの六方川の橋にさしかかったとき、なんと、真下にオオハクチョウ幼鳥がいるではありませんか。久美浜湾で出会ったのと同じである確証はありませんが、直線距離で13Kmしか離れておらず、状況からしても同一個体が飛んできたものと考えました。


六方川には越冬コハクチョウが時々入りますが、オオハクチョウが入ったのは私は初めて見ます。幼鳥とはいいながら、圧倒的に大きな存在感の水鳥です。同じ場所で、一日中、草をむしって食べていました。


夕方には水面に浮かんでまったり過ごしていましたが、翌朝以降、豊岡盆地内でこのオオハクチョウを見かけることはありませんでした。


1ヶ月後の11月21日、久美浜湾沿いの堪水田でオオハクチョウ成鳥2羽の飛来を確認しました。継続観察で、この2羽はここで越冬しそうな気配をみせています。

かつての久美浜湾はオオハクチョウの越冬飛来地として名が知られていましたが、近年はぱったりと来なくなっていました。今回、幼鳥1羽に続いて成鳥2羽が飛来し、オオハクチョウの久美浜湾での越冬も再び定着するかもしれません。

久美浜湾から近い豊岡盆地でも、コハクチョウに次いでオオハクチョウが越冬する可能性も将来的には考えられます。ラムサール条約湿地の円山川下流域が、さらに多様な生物生息環境になってゆけばよいですね。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

アシナガタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2016年12月03日 14時18分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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アシナガタケ    ハラタケ目 キシメジ科 クヌギタケ属 
脚長茸        (Mycena polygramma )
アシナガタケ。広葉樹林の落葉、落枝などから秋に発生。写真のものは、豊岡市内の自宅庭で発生したもの。


傘は幼菌時は卵型で徐々に開き円錐形から中央部が突出する。











カサの径は2僂曚鼻
柄は5〜10センチ程度になり、弱弱しく地味ながらも森の妖精感がある。




ごく近縁種にニオイアシナガタケがあるが、こちらはヨードチンキの臭いがするという。そのような臭いはしないのでアシナガタケとした。

また、アシナガタケの特徴としては柄に縦線がみられることである。明確なものではないが、かろうじて縦線が確認できた。




普通種。無毒であるが食用の価値はない。

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