六方田んぼの猛禽類

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年10月16日 18時17分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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稲刈りが終わり、田んぼに餌を求めて小鳥が集まってくる季節になると、その小鳥を餌にする猛禽類(もうきんるい)も集まってくるようになります。

海岸の断崖で暮らすハヤブサも、この時期は田んぼが格好の餌場となります。電柱の上でじっと獲物のスキを狙って急襲します。


田んぼでハヤブサを見る機会はそう多くはないですが、同じ仲間のチョウゲンボウはよく見かけます。カラスより少し小さくスリムな体をした茶色い鳥で、小鳥のほか、今の時期はバッタをよく捕まえて食べています。


タカ科の中でトビに次いでポピュラーな秋冬の猛禽類がノスリです。後ろから見るとトビと同じような羽根の色に見えますが、前からと、飛んだ時に見上げる姿は、クリーム色をしているのでトビとの区別がつきます。


かつては希少種として扱われてきたオオタカは、最近はよく見かける猛禽類の一つになりました。この時期は、茶色い色をした今年生まれの幼鳥を観察する機会も多いですが、成鳥のキリっと締まった姿はかっこいいです。


ときどきオオタカとの区別が難しいこともあるハイタカは、オオタカより少し小形の猛禽類です。

六方田んぼでは、これらの猛禽類が秋から冬にかけてよく観察されます。彼らの餌採りの待ち伏せ場所である田んぼ中の電柱を注意してみれば、今回紹介した鳥がきっと見つかると思います。運がよければ、猛禽類の捕食シーンに出会うこともあります。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

ツキヨタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年10月08日 20時03分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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ツキヨタケ   ハラタケ目 キシメジ科
月夜茸    (Omphalotus japonics)




毒キノコによる中毒は全国で毎年発生している。中でもツキヨタケによる中毒が最も多く、厚生労働省の資料によると過去10年間で患者数は746名に達しておりキノコ中毒の約半数を占めている。優秀な食菌であるシイタケ、ヒラタケ、ムキタケと似ており、全体に地味で毒々しくみえないこと、縦によく裂ける、不快なにおいや味がない、一か所で大量に採取されることなどが中毒多発につながっている。食後1時間程で嘔吐、下痢、腹痛など中毒症状が現れ、大部分は数日で回復するが死亡例もある。
ツキヨタケは晩夏から秋にかけて主にブナの枯れ木に群生。シイタケとは柄がないことから、またヒラタケ、ムキタケとは発生時期が早いこと、傘の色が茶色であることから区別できる。

決定的なのは、裂いてみて根元に黒いしみがあればツキヨタケに間違いない。これらから、慣れれば判別は容易と言えよう。




傘の色はつやのある茶色が多いが、ネット情報では薄いピンク色に近いものがあるとのこと。今回、その薄い系統に出会えた。色だけ見るとツキヨタケのイメージと違うが、色以外はツキヨタケそのものである。









ツキヨタケに小さなハエがたくさんたかっている。





ツキヨタケを家に持って帰って机の上に置いておいた。3日後、ツキヨタケはかなり水分が抜けて、赤い幼虫がはい出していた。最初見た時は既に死んでいるのかと思ったが、電気をつけた明るさの刺激のためか、やがてもぞもぞと動き出した。驚いたことに体をひねって5cmほどジャンプするのである。


ツキヨタケは発光するので夜間はぼんやり光って見えることでも有名。ヒダに発光成分を有しており、夜間はぼんやり光って見える。夜に光るキノコとして聞いたことのある人も多いのではないか。ツキヨタケという名前は、江戸時代後期の「坂本浩然」という医者・植物学者が名付けたそうで、現在でも標準和名として使われている。



ツキヨタケには4、5回であったことがあるが、夜に観察したことがないので光っているところは見たことがなかった。今回は持って帰って撮影してみたが、なかなかきれいに光ります。写真は実際の見え方をよく表していると思う。暗さに目が慣れてくるとこんな風に浮かび上がってくる。いつか真っ暗な森の中で見てみたい。家の中で見るよりもずっと幻想的ではなかろうか。

トサカギンポ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年09月30日 17時59分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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トサカギンポ  スズキ目 イソギンポ科

 この魚はあまり馴染みがないかもしれません。全長5センチほどの小さな魚です。内湾や大きな川の汽水域に住んでいます。但馬では、今のところ円山川でしか確認されていません。岩の間やカキ殻の隙間などに潜んでいることが多いです。肉食性でゴカイなど小さな水生動物を食べているようです。




 名前のとおり頭にトサカがあります。ギンポの仲間はほとんどが海水魚ですが、汽水域に住んでいる種類もいくつかいます。


 こちらの写真は魚類調査で採集したときの写真です。兵庫県レッドデータのランクでは要調査になっており、県内の生息状況は十分に把握されていないようです。個体数もそんなに多くないようです。

写真・文 コウノトリ市民研究所 北垣 和也

ヤブレガサ

執筆 菅村定昌   掲載 2017年09月25日 14時06分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

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ヤブレガサ キク科



 依頼があって20年ほど前に見つかった植物を探しに行きました。
 この植物、兵庫県では2か所でしか見つかっていなくてどちらの場所も現状不明になっています。頑張って探しましたが結局見つけることはできませんでした。もう一度行こうと思っています。



 さて、目的の植物はありませんでしたがヤブレガサはたくさんありました。状況から見て、シカが食べ残したようです。花が咲いているものもいくつかありました。ちょっと不思議な山で、高いところほどシカの食害がひどく、ふもとの方は、イノシシ用の低い柵で囲われた畑も被害を受けていませんでした。ヤブレガサは最も被害のひどいあたりに生えていました。




 ヤブレガサというのは、文字通り「破れた傘」です。確かに頑丈そうで大きくて立派な葉ですが、さすがに人が傘にするには小さすぎます。葉は、中心近くまで深く切れ込み、さらに裂けたそれぞれがまた裂けています。破れているというような生やさしい状況ではありません。もう裂けまくっています。この開いた葉から傘を連想するのはちょっと難しいです。



 この植物が芽生えた春先の姿は、なるほど傘です。やがて落ちてしまう白い毛が生えてなかなか風情もあります。この姿ならヤブレガサは納得です。近い仲間のモミジガサ、タイミンガサ、ニシノヤマタイミンガサなどみんな同じような姿をしています。

 シカにほとんど食べられていないヤブレガサでしたが、中にはしっかり食べられているものもありました。





クロジ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年09月15日 13時06分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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クロジという鳥がいます。ご存知でしたか? 兵庫県レッドデータBランクの希少種。漢字で「黒鵐」と書き、「黒字」ではありません。ホオジロ科の鳥で、同じ仲間のアオジは冬の間、平地の笹薮でよく見かける鳥なのに対し、クロジは夏の山の上でないと観察できない鳥です。ちなみに、「赤字」という鳥は存在しません。


写真で見るとおり、黒い色をした超地味目な鳥です。クロジの姿を開けたところで見ることはほとんどなく、山の笹薮の中から聞こえる特徴的な囀りで、その存在を知ることができます。高く「ホ〜イ・チョイチョイチョイ」と鳴く声の主が、このクロジです。


長い間、野鳥観察を続けてきて、この夏ようやくクロジの姿を写真に収めることができました。明るいところでもこのように地味ですから、これが藪の地面近くに潜んでいれば、まず姿を見つけることは困難でしょう。

クロジは山で繁殖している期間、虫を食べて暮らしており、秋以降は暖かい地方に移動して植物の種子などを食べる雑食性の鳥です。ひょっとしたら、冬の但馬の里山周辺にもひっそり潜んでいるかも知れませんね。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

コイヌノエフデ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年09月02日 10時24分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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コイヌノエフデ  スッポンタケ目 スッポンタケ科 
子犬ノ絵筆   (Jansia borneensis)




コイヌノエフデ。主に夏、林内に単生〜群生する。高さ約4〜5cm、上部は赤褐色で、下部の柄の部分と明瞭に境界がある。中は空洞。幼菌時は白い卵状で、成長するとツボとして根元に残る。



かわいらしい和名である。スッポンタケの仲間で、図鑑を見るとシマイヌノエフデ、キツネノエフデ、キツネノロウソク、キツネノタイマツ、、、楽しい和名がたくさんある。その中の一つ。

写真のものは、下部の柄の部分もオレンジ色がかっている。下部が白いものをコイヌノエフデとし、オレンジ色のものを別種としてウスキコイヌノエフデ、あるいはコギツネノエフデとして分類する説もあるようだ。



写真のものではまだ表に出てきていないが、胞子を形成する基本体(グレバ)は黒褐色の粘液化し、それが染み出てくるので、筆にインクが付いたようになる。動物たちがそれを絵筆として使うということが連想されのが和名の由来であろう。ユニークな形とかわいらしい和名、森の中で鮮やかな色彩。たまに出会う楽しいキノコである。
無毒のようであるが、食用価値は無いというのが一般的な評価。

シモフリシマハゼ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年08月31日 13時14分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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シモフリシマハゼ   スズキ目 ハゼ科

 あまり聞きなれない名前の魚かもしれません。シモフリシマハゼは汽水域に住んでいるハゼの仲間です。大きさは10cmほどになりますが、5cmくらいのものをよく見ます。名前のとおり、縞模様が目立ちます。円山川では城崎あたりに多いようです。川岸の石の隙間などに住んでいます。


 こちらが近づくと、石積みの隙間に入っていきました。撮影した川岸は、石積みで護岸がされています。もしコンクリート護岸であれば、シモフリシマハゼは住んでいなかったかもしれません。雑食性でして、エビなどの水生動物の他、藻類なども食べるようです。


 2匹います。円山川の下流部には、割と多く住んでいるようです。


 水が澄んでいる時であれば、上から眺めていても見つけることができます。

写真・文 コウノトリ市民研究所 北垣和也

ニシノヤマタイミンガサ

執筆 菅村定昌   掲載 2017年08月23日 22時05分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

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ニシノヤマタンミンガサ キク科



 これは兵庫県では大変に珍しい植物です。
 『兵庫県版レッドデータブック2010』には、県内分布に「但馬、東播、丹波」、特記事項に「県内では1カ所で知られている。」と書かれています。かつては何カ所かで知られていたものの1カ所しか残っていないということです。


これはタイミンガサ。タイミンガサによく似たヤマタイミンガサという植物があって、その西日本タイプのようなのがニシノヤマタイミンガサ。タイミンガサは但馬にはたくさんあったがシカに好まれて激減している。お隣の京都府には少なく絶滅危惧種の指定を受けている。


ニシノヤマタイミンガサ。準不嗜好性種。今年はシカの食害が低減しているようで7月末でも多くが残っていた。

 依頼を受けて2か所を見に行きました。一か所目は過去の記録がある場所です。広い範囲を示す地名だけなので、無理だろうなと思いながら最も自然度の高い谷を中心に探しました。やはり見つけることができませんでした。もう一か所は、京都の方が林道を車で走っていて見つけられたという場所です。写真と印のついた地図を送っていただいていたので楽勝と思って見に行きました。車から見えると思って何度も印の周辺を探しましたが何もありませんでした。


こちらの群落は食害がひどく8〜9割方食べられていた。

 なんかもう今すぐにでも絶滅しそうな感じですが大丈夫です。実は、ニシノヤマタンミンガサは、シカが好んで食べようとはしない植物の一つなので、生育場所は少ないのですが、生育しているところでは数千〜数万株という大群落をつくっています。
 春には食害を受けることが稀で、季節が進んで他の植物が食べられて姿を消すにしたがって食べられるようになり、夏から秋には姿を消すことが多いのだそうです。


大群落。食害はひどくないが開花株はぎりぎり2桁。

 この春に、たくさんある場所を教えていただいて見に行きました。少し苦労しましたが見つけることができました。大群落でした。その周辺を歩き回りました。以前、京都の方が見つけられた場所は、教えていただいた場所から極近いので、そこは特に丁寧に歩きました。すると大群落がありました。前回、車を止めた場所のすぐ上です。あと10mほど登っていたら見つかっていたんですね、惜しかったです。



 見つかるときは見つかるものです。その日は、別の植物を見にすぐ近くの山に行きました。そこでも2群落見つけました。これは新産地になります。さらに、6月に別の山系で1群落を見つけました。但馬にはまだまだたくさんの産地があるようです。



これはテツカエデ。尾根から見るとニシノヤマタイミンガサに見えた。この群落に隣接してニシノヤマタイミンガサがあった。林床を覆うほどの個体数があったのはこの2種のみ。

アオバズク

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年08月11日 14時34分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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アオバズクはフクロウ科の鳥で、日本には夏鳥として東南アジアの国から繁殖のために戻ってきます。青葉のしげる頃、日中でもその姿が観察されることからの命名でしょう。

夜行性で、フクロウがネズミを中心とする小型哺乳類を捕まえるのに対し、アオバズクは昆虫を捕まえて食べています。フクロウは「ホーホー・ゴロスケホッホ」と低く鳴き、アオバズクは「ホーホーホーホー」と連続的に高く鳴きます。


アオバズクの繁殖地として、人里の神社杜がよく選ばれますが、神社にはケヤキの古い巨木が立っていて、長い年月のうちに樹洞があき、その穴をフクロウの仲間が巣として利用するのに適しているからです。神聖な場所なので、眠っている日中、人々の喧騒もありません。


豊岡市内の神社で観察したアオバズク。両親に守られて枝に止まる未熟なヒナが1羽いるだけで(通常2・3羽が巣立ちます)、しかもヒナの左目がつぶれていました。親鳥が子育て中にテンなどの天敵動物に巣を襲われたのかも知れません。怪我をしながら生き残った1羽が親鳥の世話を受けているといった状況にみえました。

秋になるとアオバズクはまた南の国々に渡って行きますが、さて、この幼い子は、無事に飛んで行けるのでしょうか。それとも別の運命が待ち受けているのでしょうか。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

シロホウライタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年08月05日 11時46分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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シロホウライタケ
 キシメジ科、シロホウライタケ属
 白蓬莱茸 (Marasmiellus candidus)



カサの径は1〜3冂度、白くて小さくてかわいいキノコ。
カサの皮は薄く膜質、粉を噴くが光沢もある。ヒダは疎、分岐、脈絡がある、柄も白色であるが、下部は成熟すると黒みを帯びる。近縁のアシグロホウライタケは柄の上部まで明瞭に黒い。


純白で透明感もあり、光が透けて美しい。
夏から秋、枯木、枯枝に群生。

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