ノジスミレ 今年はたくさん出会いました

執筆 菅村定昌   掲載 2017年04月23日 21時58分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

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ノジスミレ スミレ科



 畑がたくさん広がっている場所で畑と畑をつなぐ細い道、そんなところでよくノジスミレを見ました。車を止めて、畑に近づいていくと細い道沿いに必ずといってよいほどノジスミレに出会えました。それが、いつの頃からか、ノジスミレに出会わなくなりました。不思議だなあと思いました。そんな頃『京都府レッドデータブック2002』でノジスミレが準絶滅危惧種になっていることを知りました。「京都はそんななの?」と驚くと共に、「豊岡近辺も少なくなったよなあ。」と思いました。




 さて、このノジスミレ『京都府レッドデータブック2015』では、めでたいことに絶滅危惧種ではなくなりました。これが、増えたのか、調査不足だったのがたくさん発見されたのかは、分かりません。




 但馬においてもここ数年でよく見るようになったのは私の実感です。特に今年は至るところで見ました。
 例えば、コウノトリ市民研究所の4月の田んぼの学校「タンポポなど春の草」でたくさん見ました。十年以上に渡って毎年同じコースで実施しているのですが、ノジスミレを見たのは今年が初めてです。一番身近にあったんだと拍子抜けしました。




 田んぼの学校で、どうしてこれまで見つからなかったのか? それは、時期が関係しているのだと思います。例年、スミレは見つかっていましたが、ノジスミレは見つかっていません。今年は逆でした。ノジスミレはスミレより早く咲きます。他のスミレたちが結構長くだらだらと咲き続ける中でノジスミレは短期集中で咲き終わるようです。しかも、周りの草が一気に大きくなってノジスミレを隠してしまいます。今年は大雪で春が遅かったので例年ならスミレの時期なのにノジスミレが咲いていたのだと思います。毎年、花の終わったノジスミレは草に埋もれて目立たなくなって私や子どもたちに気づかれずに来た。と、まあ、こんなことを考えています。



 ノジスミレは、スミレとよく似た茎のないスミレです。スミレとの違いは、葉や花の柄に白い短い毛が多いことです。スミレは無毛です。ノジスミレは花を正面から見ると花の中に毛が生えていませんが、スミレは中央付近の左右に毛が生えています。花の形も少し違っていてスミレが整った形をしているのに対して、失礼な表現ですが「だらしない感じがする」などと図鑑に書かれていたりします。

 コウノトリの郷公園の近くの農地や駐車場には、茎のないスミレとしては他に小型のヒメスミレと白い花を咲かせるアリアケスミレが生えています。山に入るとシハイスミレが生えています。

オカヨシガモ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年04月12日 14時20分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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但馬で冬を過ごしたカモの多くは、すでにシベリアや北極圏の繁殖地へと帰って行きました。まだ残っているものも、これから北を目指し旅立つでしょう。カモが少なくなった水辺では、これまで多くのカモの中に紛れて目立つことのなかった種に観察の目が向きます。今回紹介するオカヨシガモも、そのひとつです。

カモはオスの方が綺麗な羽根を持ち、メスは茶色の地味な色をしているものがほとんどです。上の写真はオカヨシガモのペアで、手前がオスで奥がメスです。どうでしょう、ずいぶん地味なオスですね。オカヨシガモの識別で一番よく目立つのが「お尻の黒」です。尾羽の付け根の上尾筒と下尾筒が黒いのです。


オスが伸び上がったシーンです。頭頂部と喉に淡く赤い色が混じります。胸はウロコ模様です。翼の翼鏡が白いのもオカヨシガモの特徴です。


汽水域の閉鎖湿地で、水中の植物を逆立ちして採食していました。逆立ちするとオレンジ色の脚がよく目立ちます。

オカヨシガモは派手なところはないですが、ベテランバーダーにはその渋い魅力が人気となっています。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

ノビル

執筆 稲葉一明   掲載 2017年04月02日 12時13分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

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ノビル   ヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属Allium macrostemon
(野蒜)




円山川の河川敷に生えている。
ネギに近い植物で千切ってみると強い葱臭がする。時に大きな群落を形成する。
葉は空洞であるが断面は三角。土の中の白い部分は球根型に膨らみ、小さならっきょうのようである。


春先のノビルをさっと湯がいてお浸しで食べると、とてもコク、甘味良好で、野趣に富んで美味しい。同じく円山川の河川敷ではネギに近いアサツキも採取できるのだが、こちらの方がより柔らかく味もさわやかで、さらに扱いやすいので、これまで私はもっぱらアサツキの方を好んで採取していた。


野生動物写真家で著名な宮崎学氏が「ギョウジャニンニクを醤油漬けにすると大変おいしい。」とおっしゃっていたのを思い出し、ノビルでしてみてはどうかと、今回やってみた。すると、予想以上に美味である。



シャキシャキした歯ごたえと、ニンニクよりも穏やかな風味、わずかに残るネギ類の辛味。ちなみに市販の九条ネギの白い部分を同様に醬油漬けにして比べてみたが、ネギの辛味が残り、歯ごたえ、甘味、風味どれもノビルと比べて落ちる。



ノビルで厄介なのは、収穫後の調整作業。つまり泥を落としたり、古くなった外皮や黄色くなった葉先を取り除いてきれいにする作業である。採取現場では、まず、移植ゴテを株の周りに差し込み、株ごとごっそりと掘り取る。



次にノビルを一本づつ分けていき、できるだけ球根の大きなものを選抜する。細いものは埋め戻す(資源保護の面からも重要)。土をできるだけ払い落として、緑の葉の部分は大胆に半分くらい切り落としてから持ち帰る。



キッチンで水洗いし、古い外皮を取り除き、根を切り落とす。ここまでの作業は結構面倒であるが球根部を利用するのであるから仕方がない。あとは適当に切って瓶に入れてしょうゆを注げば、半日もすれば馴染んでくる。



ご飯に載せて食するととてもよく合い最高クラスのご飯の友となる。チャーハンに入れたり、中華の薬味とか、様々な利用方法が思いつく。また、漬け込んだ醤油も調味料に使える。保存もできるし、山菜メニューの新たな定番となりそうである。



円山川河川敷のノビルは、洪水対策の河川改修により表土がめくられることにより、その場所では壊滅的打撃を受ける。しかし、それは一時的なもので、私がフィールドとしていた場所については、徐々に回復してきている。河川敷は広大で、おそらく資源量は豊富と言って良いと思う。山菜としての採取が少々広まっても問題ないと考えている。

なお、ネギの仲間は、分類ではユリ科と思っていたが、近年はヒガンバナ科とされているようである。

動き出したシマヘビ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年03月31日 22時21分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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シマヘビ   有鱗目 ナミヘビ科

 ようやく春らしくなってきました。昨日3月30日、今年初めてヘビを見ました。大きなシマヘビです。気温が高かったのでヘビたちもそろそろ動き始めたようです。ヘビと聞くと、「怖い」「気持ち悪い」といったイメージが多いかもしれませんが、日本に生息するヘビは性質がおとなしい種が多いです。が、このシマヘビは少し気が荒いようでして、うかつに触ろうとすると怒ってきます。ですが、毒はありません。


 この個体は平均的な体色のシマヘビです。時々「カラスヘビ」と呼ばれる真っ黒な黒化型もいます。



 ヤモリを除くトカゲの仲間には瞼がありますが、ヘビの仲間は瞼がありません。そのかわり眼は透明な鱗で覆われています。ヘビの眼をまじまじと眺めた方は少ないかもしれませんが、シマヘビは本州に住むヘビの中では鋭い目つきです。
 ヘビの仲間はすべてが肉食です。シマヘビはトカゲ・カエル・ネズミ・小鳥などを食べますが、カエルを好んで食べるようです。そのためか、田んぼの近くでよく姿を見ます。ヘビが多い地域は、餌となる小動物がたくさん生息している豊かな自然環境と考えることができるかもしれません。

写真・文 コウノトリ市民研究所 北垣和也

マルバスミレ

執筆 菅村定昌   掲載 2017年03月20日 21時21分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

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マルバスミレ スミレ科



 数年前にコウノトリ文化館でスミレの企画展をしました。このスミレの写真はスライドでしかありませんでした。ということは、20年ほど前に撮ってそれ以後写真を撮っていないということになります。当時、但馬の高い山を通る林道に車を止めて林縁の崩れかけたところに入るとわりと簡単に見ることができたと思います。なので、特別に珍しいスミレとは思っていませんでした。



 2015年に『近畿地方のスミレ』という本が出ました。マルバスミレのところを読んでみると減少率が最も高く、滋賀県では絶滅した可能性が高いと書かれていました。そこで、一昨年にかつて見た場所を訪れてみました。4カ所回りましたがどこにもありませんでした。やっぱり減っているんだなと思いました。



 昨年、別のスミレを見るついでにかつてあった場所の周辺を見て回りました。
 ありました。かたまっては生えていませんが、離ればなれに百以上の個体がありました。少し離れたところにももう一群落ありました。どんな場所に生えているかも思い出しました。今年は、ちょっとまじめに探してみたいと思います。



 主に太平洋側の内陸側に生育するそうですが、但馬にも生育します。葉が丸いことからマルバスミレという名前になっています。4月下旬から5月中旬にかけて白い目立つ花をつけます。茎や葉や距にも毛が生えています。


ウミスズメ、ウトウ、ミツユビカモメ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年03月10日 11時11分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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2月半ばの竹野浜で、とても珍しい海鳥を間近に観察するチャンスがありました。まずはウミスズメです。チドリ目ウミスズメ科の鳥で、海岸から離れたはるか沖合で海上生活をする仲間です。

今回、浜辺近くに寄ってきたのは理由があります。おそらく、大型魚に追われて浜まで逃れてきたカタクチイワシの大群に、それを餌としている海鳥が一緒に付いてきたのです。


ウミスズメはスズメの名がありますがスズメより大きく、ツグミぐらいのサイズです。黒と白のモノトーンの羽は、夏羽では喉の周辺も黒くなって顔の黒とつながります。夏羽移行中の個体もたくさん見かけました。

潜水採餌をするウミスズメの足は尾羽の真下あたりに小さく付いており、水面を蹴ってすぐに水中に突っ込んで行きます。水中での推進はもっぱら翼を使い、「海の中を飛ぶ」鳥といったイメージがふさわしいです。


ウミスズメの大きな群れに混じっていたのが、沿岸では非常に珍しい観察例になるウトウでした。ウミスズメ科の仲間ですが、ウミスズメより大きくコガモくらいのサイズです。

北海道の天売島がウトウの有名な繁殖地で、北海道周辺の海にいる鳥のイメージが強いですが、今回の観察から、山陰海岸の沖合でもウトウが生息していることを認識させられました。ユニークな顔つきが印象的な海鳥でした。


もう一種、カタクチイワシに付いてきたのがミツユビカモメです。これも沖合で暮らす海鳥で、沿岸で普段目にすることのないカモメです。ウミスズメが潜水採餌するのに対し、カモメは水面近くの小魚をくちばしで捕まえます。

カタクチイワシの群れは徐々に縮小拡散した様子で、1週間ほどでこの騒ぎも収まって行きました。珍しい記録でした。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信



キチャワンタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年03月01日 00時10分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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キチャワンタケ   チャワンタケ目 ピロネマキン科 キチャワンタケ属 
        (Caloscypha fulgens)




キチャワンタケ、名前の通り茶碗形でレモン色から黄色が美しい。直径 2-3 cm程度で、早春から春に発生する。散生から群生。針葉樹林地内に多いようだが写真のものは針葉樹交じりの雑木林。



もろく椀の外側に少し青緑色が見られ、傷つけると黄色から青緑変する。青緑は濃いものからあまり色が出ない系統もあるようだ。




小さく、もろく、色合いからも食用に適さない。食毒不明。
黄色から青緑変しないものでキンチャワンタケという種もある。




チャワンタケ目の仲間は分類ではマツタケなど一般的なキノコと同じ菌界の真菌門であるから同じキノコの仲間といえるものの、少し別の子嚢菌亜門で盤菌綱に属する。同じ脊索動物門であるが、脊椎動物亜門の人間と尾索動物亜門のホヤぐらい別の生物である。

ルリビタキ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年02月26日 18時30分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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但馬で越冬した渡り鳥たちが、そろそろ北へ帰る準備を始める頃です。そんな冬鳥の中で一際存在感のある「青い鳥」がルリビタキです。冬鳥は赤系の色を持つアトリ科の小鳥が多く飛来しますが、冬の青い鳥は本種以外に思い浮かびません。

ルリビタキはヒタキ科の鳥で、スズメとほぼ同じ大きさ、冬の間は里山周辺で暮らしています。オスの羽根は、この写真のように鮮やかなルリ色で、脇のオレンジ色がアクセントカラー。


こちらはルリビタキのメスです。多くの鳥と同じように、メスは地味な褐色をしています。尾羽の付け根に少し青い色を持っているのと、脇の橙色はオスと共通です。

ルリビタキは普段、林の中にひっそり潜んで姿を見せませんが、餌を求めて出て来るときが観察チャンスです。道路際のウルシの実や、路上の小さな虫を食べにやってきます。


さて、ルリビタキの識別で注意が必要なのは、若いオス個体です。オスは若い間はメスと同じような羽根色をしており、次第に青い羽根に生え変わって行くのです。この写真の個体は、メスに比べて全体的に青っぽい色が滲んでいることでオスだとわかります。

ルリビタキは冬の渡り鳥というより、漂鳥として区分される短い移動を行う鳥です。繁殖期には高い山の中や、少し北のエリアに移動します。但馬の普段の生活範囲では、冬の間でしか観察できない、美しき「青い鳥」なのです。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信


シシガシラ

執筆 菅村定昌   掲載 2017年02月20日 22時00分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

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シシガシラ シシガシラ科



シダ植物は、どれもこれもよく似ていて難しいものです。そんな中にも分かりやすいものがあります。それがこのシシガシラです。海岸沿いの低地から高い山まで至るところに生えていて一目で分かる特徴的な形をしています。



葉は放射状についていますが、斜面に生えていることが多いので、たいがい斜め下方向に垂れ下がっています。葉は大きなものは長さが40cmくらいあって、両側がくしの歯のように切れ込んでいます。こんな形の葉のシダは兵庫県にはシシガシラ、ミヤマシシガシラ、オサシダの3種類しかありません。シシガシラ以外は、生育する場所が限られているので、私たちが普段生活する中で出会うのはシシガシラだと思ってまず間違いありません。


ミヤマシシガシラ 日本海側の高標高地にわずかに生える。

日本では至るところに普通に生えているシシガシラですが、日本以外には生えていません。シシガシラは日本の固有植物なのです。


シシガシラの葉の基部。下のミヤマシシガシラと比べると羽片の形と葉柄の色の違いがよく分かる。

 シシガシラの名前は、葉の生えている様子がシシ(ライオン)の頭(たてがみ)のように見えるというところから来ているそうですが、葉柄に密生する鱗片の様子がシシ(イノシシ)の頭のように見えるという説もあるそうです。なるほど、イノシシもシシですね。


ミヤマシシガシラ




 
 
 

越冬マガン

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年02月13日 10時56分   カテゴリ たじまのしぜん

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豊岡盆地で越冬中のマガンの飛来状況を、記録として書き記しておきます。


2016年12月15日
冬期湛水に向け、トラクターで土起こし中の伊豆地区の田んぼに、10羽のマガンが飛来しました。この群れは、短い時間で飛び去りました。


2016年12月22日
一週間後、冬期湛水が始まった同地区の田んぼに、4羽のマガンが飛来しました。先の10羽の群れの一部かもしれませんし、別の越冬グループかもしれません。外観から判断して、この4羽は少し若いマガンのグループです。

成鳥が付いていないせいもあるのか、非常に警戒心の強い群れで、田んぼ1枚分の距離をとっても飛び立ってしまいます。遠くからの観察しかできません。


2016年12月31日
大晦日の伊豆地区堪水田、4羽のマガンが5羽になっていました。別のはぐれ鳥が、4羽の群れを見つけて合流したようです。以降、年があけてからも、この5羽のマガンは同じエリアで冬を過ごしています。


2017年1月29日
1月の終わりにまとまった雪が降りました。堪水田という安全地帯と、隣接する二番穂の田んぼの餌場を、マガンはうまく使い分けながら、やがて訪れる北帰行の時を待ちます。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

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