ヤブレガサ

執筆 菅村定昌   掲載 2017年09月25日 14時06分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

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ヤブレガサ キク科



 依頼があって20年ほど前に見つかった植物を探しに行きました。
 この植物、兵庫県では2か所でしか見つかっていなくてどちらの場所も現状不明になっています。頑張って探しましたが結局見つけることはできませんでした。もう一度行こうと思っています。



 さて、目的の植物はありませんでしたがヤブレガサはたくさんありました。状況から見て、シカが食べ残したようです。花が咲いているものもいくつかありました。ちょっと不思議な山で、高いところほどシカの食害がひどく、ふもとの方は、イノシシ用の低い柵で囲われた畑も被害を受けていませんでした。ヤブレガサは最も被害のひどいあたりに生えていました。




 ヤブレガサというのは、文字通り「破れた傘」です。確かに頑丈そうで大きくて立派な葉ですが、さすがに人が傘にするには小さすぎます。葉は、中心近くまで深く切れ込み、さらに裂けたそれぞれがまた裂けています。破れているというような生やさしい状況ではありません。もう裂けまくっています。この開いた葉から傘を連想するのはちょっと難しいです。



 この植物が芽生えた春先の姿は、なるほど傘です。やがて落ちてしまう白い毛が生えてなかなか風情もあります。この姿ならヤブレガサは納得です。近い仲間のモミジガサ、タイミンガサ、ニシノヤマタイミンガサなどみんな同じような姿をしています。

 シカにほとんど食べられていないヤブレガサでしたが、中にはしっかり食べられているものもありました。





クロジ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年09月15日 13時06分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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クロジという鳥がいます。ご存知でしたか? 兵庫県レッドデータBランクの希少種。漢字で「黒鵐」と書き、「黒字」ではありません。ホオジロ科の鳥で、同じ仲間のアオジは冬の間、平地の笹薮でよく見かける鳥なのに対し、クロジは夏の山の上でないと観察できない鳥です。ちなみに、「赤字」という鳥は存在しません。


写真で見るとおり、黒い色をした超地味目な鳥です。クロジの姿を開けたところで見ることはほとんどなく、山の笹薮の中から聞こえる特徴的な囀りで、その存在を知ることができます。高く「ホ〜イ・チョイチョイチョイ」と鳴く声の主が、このクロジです。


長い間、野鳥観察を続けてきて、この夏ようやくクロジの姿を写真に収めることができました。明るいところでもこのように地味ですから、これが藪の地面近くに潜んでいれば、まず姿を見つけることは困難でしょう。

クロジは山で繁殖している期間、虫を食べて暮らしており、秋以降は暖かい地方に移動して植物の種子などを食べる雑食性の鳥です。ひょっとしたら、冬の但馬の里山周辺にもひっそり潜んでいるかも知れませんね。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

コイヌノエフデ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年09月02日 10時24分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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コイヌノエフデ  スッポンタケ目 スッポンタケ科 
子犬ノ絵筆   (Jansia borneensis)




コイヌノエフデ。主に夏、林内に単生〜群生する。高さ約4〜5cm、上部は赤褐色で、下部の柄の部分と明瞭に境界がある。中は空洞。幼菌時は白い卵状で、成長するとツボとして根元に残る。



かわいらしい和名である。スッポンタケの仲間で、図鑑を見るとシマイヌノエフデ、キツネノエフデ、キツネノロウソク、キツネノタイマツ、、、楽しい和名がたくさんある。その中の一つ。

写真のものは、下部の柄の部分もオレンジ色がかっている。下部が白いものをコイヌノエフデとし、オレンジ色のものを別種としてウスキコイヌノエフデ、あるいはコギツネノエフデとして分類する説もあるようだ。



写真のものではまだ表に出てきていないが、胞子を形成する基本体(グレバ)は黒褐色の粘液化し、それが染み出てくるので、筆にインクが付いたようになる。動物たちがそれを絵筆として使うということが連想されのが和名の由来であろう。ユニークな形とかわいらしい和名、森の中で鮮やかな色彩。たまに出会う楽しいキノコである。
無毒のようであるが、食用価値は無いというのが一般的な評価。

シモフリシマハゼ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年08月31日 13時14分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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シモフリシマハゼ   スズキ目 ハゼ科

 あまり聞きなれない名前の魚かもしれません。シモフリシマハゼは汽水域に住んでいるハゼの仲間です。大きさは10cmほどになりますが、5cmくらいのものをよく見ます。名前のとおり、縞模様が目立ちます。円山川では城崎あたりに多いようです。川岸の石の隙間などに住んでいます。


 こちらが近づくと、石積みの隙間に入っていきました。撮影した川岸は、石積みで護岸がされています。もしコンクリート護岸であれば、シモフリシマハゼは住んでいなかったかもしれません。雑食性でして、エビなどの水生動物の他、藻類なども食べるようです。


 2匹います。円山川の下流部には、割と多く住んでいるようです。


 水が澄んでいる時であれば、上から眺めていても見つけることができます。

写真・文 コウノトリ市民研究所 北垣和也

ニシノヤマタイミンガサ

執筆 菅村定昌   掲載 2017年08月23日 22時05分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

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ニシノヤマタンミンガサ キク科



 これは兵庫県では大変に珍しい植物です。
 『兵庫県版レッドデータブック2010』には、県内分布に「但馬、東播、丹波」、特記事項に「県内では1カ所で知られている。」と書かれています。かつては何カ所かで知られていたものの1カ所しか残っていないということです。


これはタイミンガサ。タイミンガサによく似たヤマタイミンガサという植物があって、その西日本タイプのようなのがニシノヤマタイミンガサ。タイミンガサは但馬にはたくさんあったがシカに好まれて激減している。お隣の京都府には少なく絶滅危惧種の指定を受けている。


ニシノヤマタイミンガサ。準不嗜好性種。今年はシカの食害が低減しているようで7月末でも多くが残っていた。

 依頼を受けて2か所を見に行きました。一か所目は過去の記録がある場所です。広い範囲を示す地名だけなので、無理だろうなと思いながら最も自然度の高い谷を中心に探しました。やはり見つけることができませんでした。もう一か所は、京都の方が林道を車で走っていて見つけられたという場所です。写真と印のついた地図を送っていただいていたので楽勝と思って見に行きました。車から見えると思って何度も印の周辺を探しましたが何もありませんでした。


こちらの群落は食害がひどく8〜9割方食べられていた。

 なんかもう今すぐにでも絶滅しそうな感じですが大丈夫です。実は、ニシノヤマタンミンガサは、シカが好んで食べようとはしない植物の一つなので、生育場所は少ないのですが、生育しているところでは数千〜数万株という大群落をつくっています。
 春には食害を受けることが稀で、季節が進んで他の植物が食べられて姿を消すにしたがって食べられるようになり、夏から秋には姿を消すことが多いのだそうです。


大群落。食害はひどくないが開花株はぎりぎり2桁。

 この春に、たくさんある場所を教えていただいて見に行きました。少し苦労しましたが見つけることができました。大群落でした。その周辺を歩き回りました。以前、京都の方が見つけられた場所は、教えていただいた場所から極近いので、そこは特に丁寧に歩きました。すると大群落がありました。前回、車を止めた場所のすぐ上です。あと10mほど登っていたら見つかっていたんですね、惜しかったです。



 見つかるときは見つかるものです。その日は、別の植物を見にすぐ近くの山に行きました。そこでも2群落見つけました。これは新産地になります。さらに、6月に別の山系で1群落を見つけました。但馬にはまだまだたくさんの産地があるようです。



これはテツカエデ。尾根から見るとニシノヤマタイミンガサに見えた。この群落に隣接してニシノヤマタイミンガサがあった。林床を覆うほどの個体数があったのはこの2種のみ。

アオバズク

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年08月11日 14時34分   カテゴリ たじまのしぜん » どうぶつ

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アオバズクはフクロウ科の鳥で、日本には夏鳥として東南アジアの国から繁殖のために戻ってきます。青葉のしげる頃、日中でもその姿が観察されることからの命名でしょう。

夜行性で、フクロウがネズミを中心とする小型哺乳類を捕まえるのに対し、アオバズクは昆虫を捕まえて食べています。フクロウは「ホーホー・ゴロスケホッホ」と低く鳴き、アオバズクは「ホーホーホーホー」と連続的に高く鳴きます。


アオバズクの繁殖地として、人里の神社杜がよく選ばれますが、神社にはケヤキの古い巨木が立っていて、長い年月のうちに樹洞があき、その穴をフクロウの仲間が巣として利用するのに適しているからです。神聖な場所なので、眠っている日中、人々の喧騒もありません。


豊岡市内の神社で観察したアオバズク。両親に守られて枝に止まる未熟なヒナが1羽いるだけで(通常2・3羽が巣立ちます)、しかもヒナの左目がつぶれていました。親鳥が子育て中にテンなどの天敵動物に巣を襲われたのかも知れません。怪我をしながら生き残った1羽が親鳥の世話を受けているといった状況にみえました。

秋になるとアオバズクはまた南の国々に渡って行きますが、さて、この幼い子は、無事に飛んで行けるのでしょうか。それとも別の運命が待ち受けているのでしょうか。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

シロホウライタケ

執筆 稲葉一明   掲載 2017年08月05日 11時46分   カテゴリ たじまのしぜん » きのこ

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シロホウライタケ
 キシメジ科、シロホウライタケ属
 白蓬莱茸 (Marasmiellus candidus)



カサの径は1〜3冂度、白くて小さくてかわいいキノコ。
カサの皮は薄く膜質、粉を噴くが光沢もある。ヒダは疎、分岐、脈絡がある、柄も白色であるが、下部は成熟すると黒みを帯びる。近縁のアシグロホウライタケは柄の上部まで明瞭に黒い。


純白で透明感もあり、光が透けて美しい。
夏から秋、枯木、枯枝に群生。

キヌバリ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年07月31日 18時53分   カテゴリ たじまのしぜん

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キヌバリ   スズキ目 ハゼ科

 夏真っ盛りになりました。これから海に行く方、またはもう行ったという方もあるでしょう。
磯でスノーケリングをした方なら、この魚に見覚えがあるかもしれません。キヌバリという縞模様がはっきりしているきれいなハゼです。水深約2メートルより深いところでよく見ますので、背が届く場所での海水浴では、あまり見ることは少ないかもしれません。稚魚の頃は群れでいますが、大きくなると単独行動です。あまり泳ぎ回らずに、底から少し離れたところを漂っている事が多いです。動物食で、エビなどの甲殻類やゴカイなどを食べます。





 キヌバリは朝鮮半島と日本列島周辺に住んでます。日本海にも太平洋にも住んでいますが、胴体の縞の本数が異なります。太平洋に住むものは6本ですが、日本海に住むものは7本です。この写真は竹野海岸で撮影しましたので、もちろん7本です。


 岩の隙間に隠れました。潜って近づくと、警戒してこのような場所に身を潜めます。


 別の個体ですが、カメラを向けてしばらく待っていると、こちらの様子を伺って少しだけ出てきました。

写真・文 コウノトリ市民研究所 北垣和也

ミゾホオズキ

執筆 菅村定昌   掲載 2017年07月26日 11時35分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

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ミゾホオズキ ハエドクソウ科


氷ノ山

 名前のミゾ(溝)から分かるように水辺に生えます。水辺といっても大きな川ではなく山間の小さな流れの脇や水のしみ出る崖地などによく見られます。
 但馬では、コウノトリの郷公園の遊歩道のような標高の低いところから氷ノ山の高所までいたるところで見られます。山間部に行くと農業用水路の脇にも生えています。


氷ノ山

 ホオズキというのは、あのホオズキのことです。がくに包まれた果実がホオズキによく似ているところから来ています。ただし本物のホオズキのように赤くなったりはしません。


扇の山

 茎は四角い形をしており、葉には柄があります。長さ10mm〜15mmくらいの花を6月〜8月に咲かせます。黄色くて特徴的な形の花が目立ち思わず写真に収めたくなる植物の一つです。

 花びらは上下二つに分かれ、さらに上部は二つに、下部は三つに分かれています。


阿瀬渓谷

 先日、登った阿瀬渓谷では、シカによる植生被害が非常に深刻にもかかわらず背丈が低いことや崖地に多いことが幸いしてか、あるいはシカの駆除が進んだことが功を奏してか、ところどころで見ることができました。


氷ノ山

 よく似た種類にオオバミゾホオズキがあります。兵庫県はほぼ分布の西限に当たります。
 岡山県ではすでに80年近く発見されておらず絶滅が危惧されています。鳥取県では、兵庫県の近くの数カ所でわずかに知られています。兵庫県でも、但馬の高い山の標高の高いところにわずかに知られています。私は兵庫県産の花のついた写真を持っていませんので、先日、訪れた大雪山系のものを貼っておきます。

 一番大きな違いは、葉の柄です。
 ミゾホオズキには葉に柄がありますが、オオバミゾホオズキには葉に柄がありません。


大雪高原温泉沼巡り登山コース






ムラサキサギ

執筆 コウノトリ市民研究所   掲載 2017年07月14日 14時50分   カテゴリ たじまのしぜん

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珍しいサギが豊岡盆地内で観察されました。コウノトリ人工巣塔の営巣状況を継続観察しているコウノトリ文化館職員が、「汚いアオサギがいる」と撮影した写真を見せてくれて判明しました。

たしかにパッと見ではアオサギに見えますが、翼上面の色が濃い紫色なのと、首の側面に明らかなラインが入ります。


警戒心が強く、一定の距離以内への接近を試みると、すぐに飛んでしまいました。飛翔時の色も、アオサギより黒っぽいです。


豊岡に飛んできた証拠に、コウノトリとの2ショット。


アオサギと一緒に飛んだところ。これを見るとアオサギとの違いがよく分かります。
名前のとおりアオサギは青っぽく、ムラサキサギは紫っぽいです。

「但馬野鳥の会」によれば、当地への飛来は過去2回しか記録されておらず、今回が3回目とのこと。日本では沖縄地方で留鳥として観察されますが、このあたりへの迷行飛来は珍しいです。今回飛来したのは若鳥。成鳥になるとさらにコントラストが強くなります。

近年、おなじく沖縄地方で留鳥のシロハラクイナが豊岡に飛来したり、南方系の留鳥の北への進出が目立つようになっています。これもやはり、地球温暖化の影響と考えてよいのでしょうか。

今回飛来したムラサキサギは、一週間ほど同じエリアに滞在したのち、どこかに飛んで行ってしまいました。本種の今後の動向に注目したいと思います。

写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信


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