蓼川堰 日本有数の全面魚道

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執筆 菅村定昌   掲載 2017年12月21日 22時52分   カテゴリ たじまのしぜん


2006年撮影 改修前

 蓼川堰は、右岸側の新田用水、左岸側の蓼川用水に円山川の水を取り入れるための堰です。明治2年に完成し、およそ450haの水田に水を供給してきました。しかし、老朽化が激しく治水上の問題もあって平成20年度から平成26年度にかけて全面改修されました。


2017年撮影 改修後



 この堰は、円山川で最下流の堰です。川を遡る魚たちの多くはここで止まり、上流に上れません。この堰には魚道がありましたが、あまり役に立っていなかったようです。


右端が魚道。左端は、水が流れているが魚道ではない。

 旧の堰は、巨大なコンクリートの塊で、左右にだけ水の流れがありました。


左端は水量が多い。


左端は上流に向かって切れ込んでおり行き止まりになっている。

 魚は川を遡るときは流れを見つけて集まります。昔の堰は右岸側の水量が多く、魚はこちら側に多く集まりましたが、ここは魚道ではなく、段差が大きくて流れもきつくて魚は上れません。右岸側は、上流側に大きく窪んでいて、遡れない魚がたまっていました。


魚たちは魚道の入り口を見つけることが難しかった。

 左岸側に移動すれば、魚道があるのですが、一度下流側に下らなくてはならず、しかも魚道までの距離は長く、目安となる流れが無いのでなかなか行きつくことはできません。また、行きついても魚道としては出来が良くないのでやはり遡ることは難しいかったようです。





 それが今回、こんな画期的な魚道になりました。広い河道に全面魚道という全国的にも稀なものができました。土地改良センターの土地改良事業関連の工事になりますので、河川内の工事ですが農林水産省の予算が使われており、農林水産省のHPに紹介があります。






「階段式魚道」は、魚が段差を乗り越えて休めるようにプールが階段状に続いています。プールの深さは、魚の体の高さに合わせて20cmと30cmに設定されています。傾斜は30mの長さで3mの段差なので1/10になります。





 泳ぐのが苦手で、水底に張り付いて移動するタイプの魚もいます。そんな魚たちのために5が作られています。「突起型斜路式魚道」です。


突起型斜路式魚道と切欠き+アイスハーバー併用階段式魚道


切欠き中央階段式魚道、斜路隔壁中央階段式魚道、傾斜隔壁片側階段式魚道

 プールの壁には切欠きが作ってあります。これに4つのタイプがあります。片側に階段状に作ったのが1です。2は中央が一番深く階段状になっています。3は、階段状ではなく中央に向けて直線で深くなっています。4は、片側に向けて直線で深くなっています。
水量によって水深が変わるのでそれの対応するための工夫です。切り方が変わると水の流れも変わります。いろんなタイプの魚が対応できるようにいろいろな切り方がしてあるのです。



 水の上に出っ張っているのがアイスハーバーです。ここで水が止められるのでこの下流は流れが穏やかになり魚が休むことが出来ます。

 さて、この魚道ですが成果はあるのでしょうか?
 アユとサケで調査がされています。

 アユは、平成26年の5月30日・31日、6月17日・18日、6月30日・7月1日に遡上数の調査が行われました。

 突起型斜路式魚道           ほとんど利用せず
 切欠き+アイスハーバー併用階段式魚道 およそ2万2千
 切欠き中央階段式魚道         およそ2万3千
 斜路隔壁中央階段式魚道        およそ2万3千
 傾斜隔壁片側階段式魚道        およそ7万5千

 サケについては、産卵床の数が調査されました。
 魚道設置前は、上郷橋の上流では平成19年に3か所確認されていましたが、以後、平成24年度まで産卵床は確認されていません。ところが、魚道の右側だけが完成した平成25年には、18か所で確認されました。魚道が完成した平成26年には、さらに多くの場所で確認されました。

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