フジバカマのお引っ越し

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執筆 菅村定昌   掲載 2017年01月22日 20時37分   カテゴリ たじまのしぜん » しょくぶつ

フジバカマ キク科



 秋の七草で知られている植物ですが、生育場所が失われて絶滅危惧種になっています。畑などに栽培されているものや花屋で売られているものは、フジバカマと呼ばれていますが、本当のフジバカマではないと言われています。



 フジバカマは兵庫県では、揖保川、千種川、加古川、武庫川、円山川などで知られています。但馬では、大屋町、豊岡市、城崎町で記録されています。現在、大屋町では現状不明。城崎町も現状不明。豊岡市では、2カ所で消失し、2カ所で健在です。



 豊岡市には比較的規模の大きな群落がありますが、道沿いの非常に人目に立つ場所なのでこれまで写真を公開することは避けてきました。フジバカマの背景から分かる人にはすぐに分かってしまうからです。それを今回公開します。もはや隠す必要がなくなったからです。2004年に大きな被害をもたらした台風23号によって設置が始まった特殊堤の工事がフジバカマ自生地に及び、自生地が消失することが確定したのです。


この地のフジバカマは石垣に生育する。ここから下流に広がることがあるが数年で消えてしまう。


石垣の隙間にがっちりと根を張っている。


少し前まで石垣の縁まで水田があった。稲作のための管理で石垣は日当たりがよい状態で維持されてきた。隙間のある石垣と水田耕作が重なってここにだけフジバカマが生き残ったのだと思われる。


耕作されなくなるとフジバカマは草におされてかつてほどの勢いはなくなった。しかし、予想に反して洪水でヨシが破壊されたあとに広く侵入した年もあった。

 幸いなことにこの自生地は失われますが、種子の採取、苗の育成、移植実験が行われてうまくいっています。移植先の候補も複数検討され、移植後のモニタリングも計画されていますので、なんとか円山川の別の場所で生育できそうです。自生地が失われることが分かったときには、かつて、加古川で行われたように、フジバカマの苗を里親に預けて、種子を送り返してもらったり、校区である五荘小学校や城崎小学校に苗を預けて、河原に植え戻すことも考えましたが、そのようなことをしなくてもいけそうです。

 数年前に小規模ですが、別の場所で生育していることも確認できました。また、保険のためにと、知人の家の庭に移植したものは旺盛に繁茂しています。

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